『Pragmata』試遊レポート:TPSとパズルの“二人羽織”がやみつきに 「面倒では?」の不安を打ち砕く圧倒的爽快感

少しずつ敵が迫り来る恐怖と、パズルが生み出す大ダメージの絶妙なバランス

 「パズルを解きながら戦う」というゲーム性において、恐らく最大のフラストレーションとなるのは、解いている最中に攻撃を食らって、作業が中断されてしまうことだろう。その点を考慮してか、(少なくとも試遊版に登場した)敵の行動パターンや速度は、いずれも「並行してパズルを解く」という前提の元に設計されているように感じられた。歩行型はじわじわと迫り来るようになっていたり、いわゆるスナイパータイプは照準を合わせてから実際に発射するまでにかなりの時間差があったり、大型のボスであっても、攻撃のフェーズが明確になっていたりと、どのシチュエーションにおいても「今はパズルを解く/解かない」という判断がかなりしやすくなっている。

 もちろん、そうは言っても攻撃を食らわないように、パズルだけではなく、主人公たちの置かれた状況もチェックしながら臨機応変に対応しなければならない。前述の通り、パズルの難易度は自力である程度調整できるため、余裕がある場合は最大ダメージの解法を狙い、そうでなければ最短でサクッと解くという状況判断が求められる。さらに、道中で手に入る「敵の被ダメージ量アップ」といったサポートアイテムも取得次第、自動的にパズル内に組み込まれるため、「いつアイテムを発動するか」も踏まえながら、頭をフル回転させることになる。だからこそ、敵に大ダメージを与えた瞬間の爽快感は、従来のTPSでは得られないほどに大きい。

 例えば、『バイオハザード RE:2』では、限られた弾薬の中でゆっくりと迫り来るゾンビに、的確に弾薬を当てるという緊張感が大きな魅力となっていたが、『Pragmata』では、そのリスクとリターンのバランスを、「リアルタイムでパズルを解く」という斜め上の発想で進化させているというわけだ。

 そうした爽快感をさらに増幅させているのが、ダメージ量を表示するサイバー感強めのUIと、機械のド派手な破壊音&エフェクトである。銃弾が一発ヒットするごとに鳴り響く強烈なクラッシュ音は、刺激を求めるシューター欲をしっかりと満たしてくれる。さらに、ヘッドショットに加えて、敵には弱点部位の概念がある。一方のプレイヤー側には、相手の動きを一定時間食い止めるガジェットが用意されており、その気になれば、「ガジェットで敵の動きを止める→一気にパズルを解いてバフを得る→敵の弱点部位を狙い、特大ダメージを与える」というコンボを決めることができるのだ。この爽快感といったら尋常ではない。

 さらに、大型ボスに一定ダメージを与えると、超必殺技的なハッキングや、渾身の一撃を食らわせるシークエンスが入り、ドラマティックな戦闘をさらに盛り上げてくれる。この辺りは、まさに『メタルギア ライジング リベンジェンス』の演出を想起させ、スタイリッシュアクションの片鱗すらも感じさせてくれる。「パズルを解きながら戦う」という、いかにもフラストレーションが溜まりそうな要素に対して、障壁はなるべく削りつつ、成功した時の快楽をあらゆる角度から盛り上げてくれるので、試遊を重ねていくうちに、この未知の爽快感の虜になってしまった。

 また、「快活で無邪気な少女アンドロイド」のディアナと、「口は悪いが思慮深い男性兵士(?)」のヒューの相性もちょうど良く、二人の姿はまるでちょっと硬派な『シュガー・ラッシュ』のヴァネロペとラルフのようにも感じられる。戦闘と探索の両面において、頻繁に声を掛け合う二人の軽妙なやり取りは、それ自体がゲームを進める上でのモチベーションになりそうだ。

 2020年代屈指の「謎」となっていた『Pragmata』は、その世界観や物語こそ、今なお膨大な謎に包まれているが、今回の試遊では、「パズルを解きながらTPSで戦う」というトリッキーなゲーム性の魅力を最大化するために、さまざまな形で創意工夫が盛り込まれていることを感じられた。実験的でありながらも、そのプレイフィールは極めて良好で、もしデモが公開されたら、「面白いから、まずは触ってみてほしい」と万人にオススメしたい仕上がりである。個人的にも、その先の世界が気になって仕方がないので、リリースを既に心待ちにしている。

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