東海オンエア『オフィシャルストア』レポート バディ&グッズ担当が明かす“岡崎”にこだわる理由
動画×リアルの魅力
そして今年はゲームブースも誕生。様々なところで罰ゲームとして登場しているにんじんをモチーフにしたデザインが特徴だ。人参が登場する代表的な動画といえば、「【食えなきゃ負け】相手を満腹にしろ!ご飯食べ食べポーカー!!!前編」だろう。「食べ食べポーカー」は2020年の5月に公開され、2,000万回再生を突破している大人気動画だ。(2025年8月時点)
動画のなかでもひと際辛そうだったのが、負けたメンバーが食べる“人参”。今回はその人参を使ったゲームブースとなっている。だが、人参をゲームに取り入れるのはかなり試行錯誤があったようで、最初は動画と同じく「お客さんに食べてもらう」という案もあったと服部さんは明かしてくれた。
紆余曲折の末、メンバーに食べさせる方が面白いのではという結論に至り、今回のようなかたちに収まったという。来場者は制限時間内でメンバーの口に人参を投げ込み、胃をいっぱいにさせると景品がもらえるというものだ。
取材日時点では、A賞を獲得した方はまだ5人ほどしかいないらしく、難易度は高めに設定されている。服部さんは「何度来ていただいても楽しめるように、難易度は少し高めに設定しました。メンバーのパネルも週ごとに替わるので、リピートしてくれた方にも楽しんでいただくことを意識しています」と教えてくれた。
動画とリアルを連動させるクイックさは、YouTuberならではの楽しませ方なのではないだろうか。実際、メンバーのグッズ担当でもあるとしみつさんは、動画と並行してグッズを制作することにこだわっていることを、柳川さんは明かした。「たとえば何かの罰ゲームで新しいキャラクターが生まれたら、動画がまだ世に出る前からグッズの制作は動き出しているんです」
実際、グッズやブースに動画の要素を取り入れることで、同時に“東海オンエアらしさ”の実現にもつながっているのではないだろうか。柳川さんは、グッズの考え方についてこう語った。「グッズを考えるときは、世間で何が流行っているのかと、東海オンエアらしさの2軸で考えています。たとえば、りょうさんの菜箸は東海オンエアらしさを全面に出した商品です。逆に世間では前髪クリップはアイテムとして定番化しているので、そこのニーズも取りこぼさないように企画しました」
ちなみに、前髪クリップは前々回から企画を出していた念願の商品だという。「としみつさんに熱弁をして、ようやく実現しました。やはりメンバーは日常で前髪クリップに馴染みが薄いかもしれないんですけど、世間ではかなり人気のアイテムです。しかもショップに来ていただける方のほとんどは女性になるので、絶対に人気商品になると思っていました」
以前、東海オンエアは公式Xで、グッズのアイデアを募集していた。その際も、前髪クリップの要望は多かったという。視聴者の声と、柳川さん、服部さんの熱弁もあり実現に至ったようだ。
岡崎市にこだわる理由とは
前回に引き続き、岡崎城公園という場所で開催した『TOKAI ONAIR OFFICIAL STORE 岡崎城公園店』。なぜこの地を選んだのかについて、改めて柳川さんに聞いた。「岡崎城公園は、立地的に屋外の施策がやりやすいんです。いまは週末限定で『東海オンエ揚げ』や『ピースの二乗のあいつ着ぐるみグリーティング』『ピースの二乗のあいつかき氷』を実施しています。ショップだけではなく全体的な空間作りにこだわりたい、と考えたときに、岡崎城公園はぴったりな場所だったんです」
筆者が訪れたのは平日だったのだが、実際に岡崎城公園に来園する人の多くが10〜30代なことに驚き、改めて東海オンエアの影響力を実感した。もし東海オンエアのアンテナショップが東京にあったら、とんでもない集客力と売り上げになるのでは……と想像してしまうが、生まれ育った岡崎にこだわるからこそ、今回のように岡崎市との連携も実現できるのだろう。
この「ピースの二乗のあいつ ベビーマグネット」(税込1,650円)も、地域の特性を活かした商品なのではないだろうか。愛知県含め地方では車を所有してる人が多いため、車アイテムであるベビーマグネットは、実際にそういった地域で暮らしている東海オンエアだからこそ生まれたアイデアのように感じる。
また、東海オンエアはYouTuberのなかでも活動の歴史が長く、同世代の視聴者はメンバーと同じように歳を重ね、結婚や出産など、新たなライフステージを歩んでいる人も多い。柳川さんは「昨年販売したキッズTシャツとスタイがかなり人気だったんです」と振り返った。
そこで、子どもがいる世代の視聴者に喜んでもらえて、尚且つ使いやすいものは何かを考えた結果、車に貼り付けられるベビーマグネットが新商品として誕生し、視聴者だけではなく、東海オンエアメンバーもともに成長していることを表す象徴的なアイテムである。
そして、担当者は東京にあえて出店をしないことについてこう明かした。「東京で出店をしないのは、第一にメンバーの方たちが岡崎を大切にしているからです。売り上げを伸ばしたいというよりかは、実際にファンの方に岡崎まで足を運んでいただいて、その土地のお店やスポットを楽しんでもらうことで、岡崎という地域に還元できたらと思っています」
実際、ショップに来店するだけではなく、メンバーが撮影したスポットを回る“聖地巡礼”を行っている視聴者は多い。目的はクリエイターかもしれないが、自然な流れでその土地を楽しむことができるというのは、素敵なサイクルなのではないだろうか。
ここまで知名度がありながら、密接に地域とつながっているクリエイターはなかなかいないだろう。改めて、東海オンエアだからこそ実現できる地域との関わりかたを知ることができた。