連載「YouTube with her」第九回:西野未姫

西野未姫、YouTubeは“ホームビデオ”の感覚 大反響の出産動画は「もっと撮りたかった!」

 コロナ禍をきっかけに、一気に増加した女性芸能人のYouTubeチャンネル。テレビやSNSとはまた別の魅力を発揮しており、パブリックイメージとは異なる面を楽しむことができる。

 YouTube配信に力を入れている女性芸能人に、動画投稿を始めたきっかけや今後の展望について聞く連載企画「YouTube with her」。

 第9回は、登録者数21万人を記録するYouTubeチャンネル『西野未姫』にて、夫の山本圭壱(極楽とんぼ)と、「にこちゃん」こと愛娘のにこりちゃんとの日常を発信する西野未姫を迎えた(※登録者数は2025年8月時点)。

 AKB48のメンバーとしてデビューし、卒業後はバラエティ番組で光を放った西野。現在はYouTubeで主婦層にも支持されているが、なぜ西野は多くの視聴者に愛されるようになったのか。

 今回はプライベートをオープンにする理由やモチベーションなど、YouTubeでの活動についてたっぷり話を聞いた。(せきぐちゆみ)

感情爆発したら、すぐ撮影!「誰かに聞いてほしい」

ーー2020年8月に個人チャンネルを開設されましたが、YouTubeを始めたきっかけを教えてください。

西野未姫(以下、西野):YouTubeの個人チャンネルはちょうどコロナ禍に開設したんですけど、そのときはお仕事もあまりなくて、YouTubeならできるんじゃないかと思ったんです。

西野未姫

ーー当時のチャンネルコンセプトは、「韓国人になる物語」でしたよね。

西野:黒歴史かもしれない(笑)。当時は韓国ドラマにすごくハマっていて、韓国語をペラペラ喋って、現地でも仕事をしたくて。韓国語の学校にも行っていたんですよ。

ーー韓国関連からダイエットチャンネルを経て、今のVlogに繋がっていますが、動画の内容はどのように決めているんですか?

西野:基本的に私がひとりで企画と撮影をしています。韓国関連の動画よりも、ダイエットで感情的になったときに撮影した動画の方が再生されるようになったんです。徐々に韓国熱も薄れていったので、ダイエットチャンネルに移行させていきました。いっぱい食べちゃって悲しくなったときにカメラを回す感じで(笑)。

 今も企画案は常に自分の頭の中にあって、最近は娘のハイハイやお出かけの様子とかを撮ったりしています。そういうふうに前々から考えていた案で撮ることもあれば、瞬発的に撮ることもありますね。たとえば、何かで悩んでいるとき「話したい!」と思ったらすぐカメラを回す感じで。

ーー感情が爆発しているときに撮影されているから、多くの方が共感できるのかもしれないですね。

西野:そうかもしれないです。「とりあえず伝えたい」「誰かに聞いてほしい」と撮っていたら、コメントで共感してもらえたり、解決方法を教えてもらえたり。イライラしたことも動画で話したらすっきりするし、「自分だけじゃないんだ」と安心できます。

リアルイベントも開催!視聴者同士のコミュニティも

ーー世の中のママさんたちも動画を見ていらっしゃいますが、YouTubeを通して視聴者の方々とのコミュニティができてきたようですね。

西野:たまに事務所の一室でファンを集めたイベントをやるんですけど、最初はあまり集客力がなくて、10人くらいしか集まらなかったんです(笑)。でも、YouTubeでファンになって応募してくれる人が増えてきて、今では70人以上の方が応募してくれるようになりました。出産してから初めてのイベントは30人限定だったんですけど、子連れの方がいっぱい来てくれて、そこで参加者同士がママ友になったりしました。

 実際に会って話すと温度感が伝わって、共感が生まれて。私が参加者の方の悩みに答えられないときは、ほかの参加者の方が代わりに答えてくれたり、そういうファンの方が増えてきているのはすごくありがたいです。

ーーイベントで視聴者同士の繋がりができているなんて興味深いです。YouTubeでやりがいを感じることはありますか?

西野:動画がアップされてコメントを見るまでは、どういう反応が来るかわからないし、投稿するのがちょっと怖いときもあります。でも、「同じ悩みを抱えていたけど、未姫ちゃんもそういうことあるんだと知って元気づけられました」というコメントをもらえると、やりがいを感じますね。

ーーコメントがモチベーションになっているんですね。過去と比べてコメントの内容に変化はあるのでしょうか。

西野:めっちゃ変わりました。前までは「面白かったです」「山本さんとの絡みに癒されました」といったコメントが多かったんですけど、今は「続きを読む」ボタンを押さないと全文が読めないぐらいの長文コメントが増えました。子育てに悩んでいる動画では「こういうのがいいと思いますよ」とアドバイスしてもらえたり、コメント一つひとつにファンの方の熱意が感じられて、それも嬉しいです。

ーー温かいコメントが多いですよね。再生数は気にします?

西野:再生数も、もちろん気にはしています。予想外に再生された動画や、そんなに再生されなかった動画もあって。再生数が伸びなかったときは、どこがよくなかったのか考えています。

 私が動画の中で間違ったことをして、厳しめなコメントが来たとき、それをほかのファンの人がフォローしてくれることもあって。それで気づくこともいっぱいあるので、教えてくださる人がいることもありがたいし、ほかのファンの方が私のことを気遣ってくれるのもすごく嬉しいですね。

ーー初めての子育てはわからないことだらけですよね。これまでさまざまなコメントがあったと思いますが、YouTubeをやめたいと思ったことはありますか?

西野:伸び悩んでいるときは、はたしてこれで合っているのか、やっている意味はあるのかと思ったことは何度もあります。それこそ韓国系の動画のときは、再生数も回っていないし、なんのためにやっているのかもわからなくなって。

 でもダイエットチャンネルに変えてからは、一緒に成長している人たちや同じ悩みを抱えている人たちが見てくれるようになったんです。そういう人が私の動画で悩みを解決してくれたら、気持ちが少しでも楽になってくれたらと思うと、やめたいという気持ちはなくなりました。今はYouTubeが生活の一部になっているというか、ホームビデオのような感覚でやっています。昔の動画を見返すと発見があったりして夫婦で笑い合うこともあります(笑)。

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