にじさんじ・石神のぞみに感じる“のびしろ”の正体とは 「Idios」の名付け親となった慧眼と向上心

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

 育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)」からも新規ライバーがデビューし始めており、現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与え始めている。

 今回から数週にわたり、2023年にデビューしたタレントたちにフォーカスした特集記事を書いていく。Idios、Oriens、Dytica、みたらし団といった面々はVTAに所属・学んだメンバーが多く、2025年現在までに3Dビジュアルを手に入れ、今後のにじさんじを背負っていく中核メンバーとなっていくだろう。今回は7人組としてIdiosのメンバーから最後の1人、石神のぞみについて書いていこう。

「クセになる」と言われた“ゲームの腕前”

 白銀のロングヘアー、右目がピンク・左目が白というオッドアイ、渋めの赤と黒を貴重にしたパンキッシュな服装で着飾り、当初プロフィールや初配信でも「悪魔と人間のハーフ」「スーパーカリスマインフルエンサー」を強調するなど、どこか厨二病っぽさを演出したビジュアルで石神のぞみは登場した。

 実際には「悪魔と人間のハーフという設定でSNSをやっているフリーター」であり、そのうえで「目立ってやろう」とする野心を持った一般人というプロフィールは、多くのファンの興味を呼ぶこととなった。

 そんな彼女は、多彩なバックグラウンドをもった女性でもある。

 英検や漢検にくわえて普通自動車免許、秘書技能検定持ちと、さまざまな資格を取得していると明かしており、じつはかなりの常識人寄りな一面を持っている。

 Idios内でのメンバートークに始まり、ゲーム配信やリスナーからのコメントをピックアップして話していく雑談など、様々なシチュエーションにおいて、話題をあげ、引っ掻き回し、オチをつける。その中でもオチ担当・ツッコミ役・受け身なポジションと様々に振る舞うことができる。彼女の常識人らしいバックボーンがあるからかもしれない。

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 一方で裏の顔として、インターネットカルチャーととても近しいという顔を持っている。小学生の頃に友達の家でおもしろフラッシュをよく見て過ごしていたと話しており、「インターネットってよくわからないけどおもしろいかもしれない」と感じたことで、徐々にインターネットの世界にのめり込んでいったのだという。

 こうしたルーツは現在にもつながっており、配信開始時の挨拶「Welcome to Underground」と配信終了時の挨拶「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」は、いずれも2ちゃんねる(当時)に投稿された言葉であり、“厨二病”を意識したネットスラングとしてご存知のかたは多いかもしれない。

 配信開始直前に流れるオープニング映像・エンディング映像は、80年代後半から90年代ごろの「電脳ネット」的な世界感のサイバーなムードを漂わせており、配信中に口走るネットミーム、先達にも見劣りしないアニメやマンガへの知識と愛情も、配信で話題に上げる頻度からよく伝わってくる。

 総じて彼女は、ネットカルチャーフレンドリーな女性としてファンに知られるようになり、同期の鏑木ろこと並んで“インターネットの女”と言われるほどとなったのだ。

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 このように個性豊かな石神のぞみであるが、一際ユニークなのは「クセになるヘタさ」とまで言われたゲームプレイにある。

 にじさんじのコミカライズを連載しているコロコロコミックの2024年4月号にて初出となったこの言葉は、石神が配信で継続しているレトロゲームにおいて披露されてきた数々の珍プレーを評してのものだ。

 じつは石神は幼少期にほとんどゲームをプレイしたことがなく、その上でネットカルチャーに詳しくなったという経緯があり、VTuber~バーチャルタレントとなってからは「ネットミームの原典を知りたい」「ゲームの腕前を上げたい」と思い、レトロゲームをプレイするようになったようだ。

 「スーパーマリオ」シリーズを筆頭に、スーパーファミコン・ファミリーコンピュータ・ニンテンドー64のソフトを主にプレイしている。この当時のゲームといえば、いわゆる2Dゲームが主であり、3D空間で奥行きがあるわけではなく、横スクロールのアクションゲームなどでは左右移動による微調整やスピード調整がキモになる。

 端から見ているだけでは単純そうなのだが、実際にプレイしてみると“効きすぎ"に感じる瞬間も多々あるため、気を抜くとすぐにゲームオーバーになってしまう。当然プレイ中にさまざまな内容のコメントが届くわけで、石神はそれらコメントに対して真面目に反応してしまい、余計注意散漫になって酷いミスを犯し……そんな無限ループにハマってしまう。

 「そのタイミングでそのミスを!?」と思える珍プレーの数々に笑いながら、なかなかゲームが進行せずリスナーをやきもきさせていく。目が離せないとはまさにこのことだろう。

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 他のゲームでも好むのはアクションゲームであり、今後もおそらく数多くのアクションゲームをプレイしていくことになるだろう。いつか彼女が「クセになるウマさ」といわれるほどにゲーム上手になる未来は訪れるだろうか?

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