着物姿で海外へ日本文化を紹介 Kimono Momに聞く成功の裏側と「グローバルな発信」の重要性

Kimono Momに聞く成功の裏側

 日本の家庭料理や暮らしを、着物姿でやさしく紹介するYouTubeクリエイター「Kimono Mom」ことMoeさん。京都生まれで舞妓・芸妓としての経験を持ち、現在はアメリカに拠点を移して、母として、主婦として、そして起業家として発信を続ける彼女の姿は、いまや世界中の人々の共感を集めている。

 チャンネル登録者数は300万人を超え、自ら開発したビーガン・グルテンフリーの調味料「UMAMI SAUCE」も話題に。今回は、YouTubeを始めたきっかけから、海外での活動の工夫、そして家族への思いまで、たっぷりと語ってもらった。(中川真知子)

「普通の暮らし」が世界のコンテンツになると気づいた日

Moe

 Moeはまず、YouTubeを始めたきっかけについてこう語った。「自分の生活を変えたいと思っていたときに、アメリカ人のYouTubeクリエイターから取材の依頼があったんです。『日本人のママと赤ちゃんの生活』をテーマにしたもので、自分の日常が誰かのコンテンツになると初めて気づきました」

 Moeは、着物の写真や出産後の生活をインスタグラムで発信していた。それを偶然見かけたアメリカ人のYouTubeクリエイターの妻が興味を持ち、取材につながったという。“着物を着ている普通の主婦”という存在が、海外の人々にとっては新鮮だったのだろう。

 チャンネルの「海外×日本食」というコンセプトは、チャンネル開設当初から決まっていたのだろうか?

 「はい、日本の家庭料理や文化を海外に向けて発信したいと考えていました。最初は、赤ちゃんのお世話で手一杯だったので、その生活をそのまま発信することにしたんです。毎日3食ご飯を作っていたので、レシピ動画も始めました」

Mom's life in Japan | 24hours | Just Be Yourself

 自分の等身大の生活を見せることが1番の魅力になると気づき、元芸妓である自分のアイデンティティを活かし、着物姿で日常を映し出すスタイルを確立したMoe。海外向けに発信する難しさはなかったのだろうか。「むしろ、日本の方に向けて発信する方がハードルが高いと感じていました。日本人同士だと細かい部分まで気を遣いますし、文化的な閉塞感もある気がして……。自分の家をさらけ出すことも、日本の視聴者の方に向けるよりは、海外の方が気持ち的に楽でした」

 海外の視聴者は、日本の家庭や文化に対する前提知識が少ないぶん、見え方もよりフラットなのだろう。だからといって、Moeさんは「Kimono Mom」が日本文化を代表しているといった伝え方はしたくないそうだ。

 「あくまで選択肢として提示することを心がけています。難しい文化やしきたりを押し付けるようなことはしたくありません。自国の文化に誇りを持っている方々に向けて、日本の家庭にこんな一面もあるんだよ、という選択肢のひとつとして見てもらいたいんです」

 Moeは「日本と海外の接点となる責任を感じながらも、自由に発信できている」と語る。

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