『キャプテン・アメリカ』『サモトラケのニケ』『サンリオ』……続々登場するユニークなメタバース施策

続々登場する“ユニーク”なメタバース施策

今年も開幕、『サンリオVfes』がさらにパワーアップ 公式3Dアイテム販売も

【#サンリオVfes】 「Sanrio Virtual Festival 2025」 2025年2月9日(日)~3月9日(日)開催決定!

 サンリオによるVRイベント『Sanrio Virtual Festival 2025』が始まった。今年も1ヶ月の長期開催となり、アーティストライブ、グリーティング、コラボイベント、アトラクションなど、多種多様なコンテンツが展開される。

【#サンリオVfes】SHOWBYROCK!! ましゅまいれっしゅ!! キセキかもしれないレゾナンス

 筆者も参加者としてめいっぱい楽しんでいるが、昨年の人口増加もあってか、例年以上の活気が見られる場所も多い。特に好評だったバーチャルパレード(もとい、新作フル3Dアニメ)『SHOWBYROCK!! ましゅまいれっしゅ!! キセキかもしれないレゾナンス』は、『VRChat』内の同時接続数が約4,500人まで届くのを観測した。

 昨年から大きな変化を感じるのはアーティストライブだ。VTuberやVRアーティストのパフォーマンスに対して、様々なクリエイターが空間演出を施す座組となっており、アーティスト性とクリエイティブが融合したステージがいつも以上に目立つ。サンリオキャラクターズとの共演も多く、おそらく今会期はこれまでで最も洗練されたVR空間でのアーティストライブを観覧できる機会になるだろう。

 そして、このイベントに合わせてサンリオ公式の3Dアイテム展開「Sanrio Digital Collection」も始動した。第1弾として、イラストレーター・赤倉が描いた「サンリオ女子」シリーズのイラストを、『VRChat』向け3Dアイテム(髪型、衣装、アクセサリー)化したものが登場、「BOOTH」およびアダストリアのデジタルEC「StyMore」にて発売されている。

 「著名なクリエイターのイラスト作品の3D化」は、これまでフィギュア化などでおこなわれていた展開が、3D・メタバース領域へと発展していると考えればイメージしやすい。ユーザーが自由にアバターに着せ替えできるアパレルのひとつとしてリリースする流れは、これまでサンリオが『VRChat』方面で積み上げてきたものを踏まえれば納得感がある。既存コンテンツの3D化は、IPホルダーのわかりやすいメタバース進出の経路になりそうだ。

『サモトラケのニケ』のアバターも 専門家監修の古代ギリシア衣装が登場

 『VRChat』向け衣装展開として興味深い事例がひとつ増えた。デジタルファッションに取り組む株式会社harmonyの新規デジタルファッションブランド「IΛIAΣ(イリアス)」だ。古代ギリシャ研究家の藤村シシンとコラボした、古代ギリシアなどをモチーフに据えたデジタルアイテムを取り扱うブランドとなる。

 同社のデジタルファッションSNSアプリ「flah」にて、カメラ越しにデジタル試着することもできるが、『VRChat』向け3Dデータも発売されているので、『VRChat』でアバター越しに袖を通すことも可能だ。アバターに着せるコレーだけでなく、装飾品として花冠や盾もあり、さらに「サモトラケのニケ」がアバターとして登場している。専門家も監修したユニークなアセット群は、意外と事例が少ない。面白いアプローチだ。

老舗・HIKKYは『バーチャルマーケット2025 Summer』の開催を発表しつつ、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』公開を記念した特設ワールド「VR Shibuya」を公開した。「バーチャルマーケット」とは独立させて、こうしたタイアップコンテンツを公開するのは、HIKKYとしてはめずらしい。

「VR Shibuya」は、その名の通り渋谷を再現した空間で、街の各所に、展示コンテンツや体験コンテンツを配置。キャプテン・アメリカの盾を投げて的当てができるゲームに、レッドハルクのアドトラック、キャプテン・アメリカのなりきりフォトブースなど、シンプルながらわかりやすいものが中心となっている。ちなみにモバイル対応されているので、Android端末や『Meta Quest 3』などの一部VRヘッドセット単独での訪問もできる。アクセス性の確保はこの手のPRコンテンツでは重視されるところだ。

ちらほらと続くVTuberの『VRChat』参入 VRアイドルはポータルサイトを立ち上げ

VRChatでみなさんにお菓子を作ります。バレンタインなので。

『VRChat』を訪れるVTuberもちょくちょく現れている。つい先日には、.LIVE所属・神楽すずがバレンタインデーに合わせて『VRChat』配信を実施した。お菓子作りができる定番ギミックがあるワールドで、視聴者に向けてお菓子作りに奔走する姿が見られた。

 自身のアバターをすぐには持ち込めないためか、配信中は市販アバター『ミルティナ』を利用している。このアバターはちょうどスマッシュヒットを叩き出している新顔であり、ここをピックしているのは情報感度の高さを個人的には感じた(配信テーマとのマッチも大きそうだ)。なお、アバターはテクスチャや表情などをカスタマイズ済みで、アセット利用規約も把握済み、「次はフルトラ(フルボディトラッキング)に再挑戦する」とも述べているあたり、やる気は十分といったところだろう。

 ユニークな展開としては、VRアイドル「えのぐ」がバーチャルアーティスト向けカレンダー「VIRTUAL LIVE CALENDAR」を公開した件が挙げられる。Xなどでは流れがちなバーチャルアーティストが出演するイベント情報を集約し、キャッチアップしやすくすることを目的としたポータルサイトである。

 リアルイベントはもちろん、オンライン配信プラットフォームやメタバースでの開催イベントも掲載対象となっている。このあたりは、「えのぐ」が対バンライブイベント「VRide」でメタバース出身アーティストも呼び込んでることを踏まえると、ごく自然な対応であることが理解できるだろう。いずれにせよ、膨大な数のイベントがあふれる現状で、その情報集約に現役プレイヤーの一人が動いたのは、業界成熟のひとつの形と言えるかもしれない。

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