「〇年間〇〇していません!」SNSで話題沸騰の“マコモ湯構文”とは?

 SNSでここ数週間、『マコモ湯構文』と呼ばれる「〇年間〇〇していません! 〇〇って知ってますか?」というフォーマットを利用した投稿が大きな話題となっている。一体、このマコモ構文とは何なのか。今回はバズりのきっかけとなった動画に触れながら、マコモ構文から派生したコンテンツやミーム化した要因を解説する。

 マコモ湯構文の元ネタは、2024年12月にInstagramに投稿された「うちのお風呂、1年半お湯変えてません。マコモ湯って知ってますか?」という動画。動画では湯船に張られた真っ黒なお湯が目に飛び込んでくるが、この真っ黒いお湯の正体こそ、マコモ湯構文の「マコモ」だ。マコモは日本各地の、小川、沼地、湿地に群生するイネ科の多年草で、食材として知られる「マコモダケのマコモ」といえばピンとくる方もいるだろう。

(参考:東邦大学薬学部付属薬用植物園https://www.lab.toho-u.ac.jp/phar/yakusou/makomo.html

 マコモについてはこの程度にしておき、気になるのは肝心のマコモ湯構文について。動画が投稿された当初は、その内容と画像があまりにも衝撃的だったため、マコモ湯に言及するものがほとんだだった。しかしその状況も徐々に変化し、「〇年間〇〇していません! 〇〇って知ってますか?」という形で構文化。長期間していないことを当てはめて投稿するSNSユーザーが急増。ここ数週間でネットミーム化し、さまざまなプラットフォームでマコモ湯構文を使ったコンテンツが散見されるようになったのだ。

 ではマコモ湯構文を使った動画とは、どういうものなのか。TikTokでは、ライスペーパーで一躍人気者になったみか@ライスペーパーネキが、「1年半、箸使ってません! ハンディーズって知ってますか?」という動画を投稿。もちろん、このハンディーズはみかが作った架空のものだが、動画のなかでは「箸を一切使わずに、手で包んで食事する人たち」と説明しており、みかは自身の代名詞であるライスペーパーにご飯を包んで食べる様子を投稿。オリジナリティを詰め込んだコンテンツに、視聴者も大盛り上がりだったようだ。

実は私…

 そしてYouTubeでは、子ども2人を育てている人気動画クリエイター・あざみ夫婦(チャンネル登録者数112万人/1月17日時点)が、マコモ構文を使って、育児をテーマにしたコンテンツを投稿。動画の内容は、あざみが「1年半、ちゃんと寝ていません! 育児って知っていますか?」と問いかけ、授乳や呼吸の確認などで定期的に夜間に起きなけらばらない苦労と、子どもの可愛さを熱く語るというもの。語呂あわせのうまさが際立った、我が子への愛溢れるハートフルな動画には、マコモ湯構文を知っている視聴者から大きな反響が寄せられている。

 しかし、一体なぜこのマコモ湯構文はSNSを席巻するほど広がっていったのか。マコモ湯構文は先に紹介した通り、もともとは動画で投稿されたものだが、注目したいのはこの構文が文章でも使えるという点だ。

 実際Xでは、「俺はマコモ人間 20年間何もしてこなかった」や「実は僕、12ヶ月勉強してません! マコモ受験って知ってますか」という投稿があり、実に幅広いコンテンツが作れるフォーマットであることがわかる。文章でも使えるとなれば、動画を制作したことのない人や文章で伝えることを強みや楽しみとしている人など、大喜利の波に乗れるSNSユーザー数も必然的に多くなる。その結果、動画クリエイターといった発信者以外のSNSユーザーも加わり、マコモ湯構文が広がっていたと考えられる。

 たった1つの動画がバズったことで、瞬く間にSNSを席巻したマコモ湯構文。派生コンテンツが次々に誕生した理由は、動画だけでなく、文章でも使えるというフォーマットの優秀さにあるといえるだろう。

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