まもなく開幕の『Pokémon UNITE The k4sen』、見どころは? コーチの個性は“ほぼ未経験”チームをどう導くのか
12月18日開催のゲームイベント『The k4sen』の競技タイトルに、『Pokémon UNITE(ポケモンユナイト)』が採用されることが明らかとなった。
本稿では、『ポケモンユナイト』のルールや特徴、『Pokémon UNITE The k4sen』の開催概要を踏まえ、その見どころを考えていく。直近、大きく盛り上がりを見せている同タイトルの界隈。人気イベントの競技タイトルへの採用は、さらなる成功へのターニングポイントとなるだろうか。
ストリーマーのk4senが主催する人気ゲームイベント『The k4sen』
『The k4sen』は、ストリーマーのk4senが主催する多人数参加型のゲームイベントだ。2022年1月の第1回以降、マルチプレイが可能な人気タイトルをフィーチャーしながら、著名なゲーム実況/配信者をゲストに迎え、不定期に開かれている。
直近の開催は、2024年12月5日。同回では、オンライン対戦麻雀『雀魂 -じゃんたま-』を競技タイトルに、k4senや恭一郎、DJふぉい、関優太など、12名の参加者が4チームにわかれて、その勝敗を競い合った。
開催回ごとに扱うタイトルが変わる点を特徴としているが、唯一『League of Legends』は何度も登場し、定番化している。今回採用されることとなった『ポケモンユナイト』と同タイトルのあいだには、双方ともにMOBAジャンルに分類されるという共通点がある。
12月18日開催の『Pokémon UNITE The k4sen』には、「Team The k4sen」としてk4sen、天宮こころ、きなこ、一ノ瀬うるは、橘ひなのが、「Team The UG」としてJapaneseKoreanUG、赤見かるび、白波らむね、Kamito、本間ひまわりが名を連ねた。大半が未経験者であることを踏まえ、各チームには、『ポケモンユナイト』の競技シーンで活動する1LevUP(ZETA DIVISION所属・Team The k4sen担当)と、piui(REJECT所属・Team The UG担当)がコーチとして参加している。本番の実況/解説は、おなじく同タイトルの競技シーンで公式キャスターを務める篠原光、たきしま/Takishimaが担当する。
一般的なMOBAと一線を画する『ポケモンユナイト』のゲーム性
先にも述べたとおり、MOBAに分類される『ポケモンユナイト』だが、『League of Legends』などに代表される同ジャンルの人気タイトルたちとは、ルールやゲーム性に明確な違いがある。その最たる例が、「敵チームの本拠地への到達」ではなく、「野生のポケモンを倒したときに得られるポイント(エオスエナジー)のゴール数」で勝敗が競われる点だ。そのため、一般的なMOBAとはマクロ面での戦略が異なるケースもある。リリースからこれまでに、敵との戦いを拒否し、ゴールを決めることだけを優先する作戦が、環境を席巻した時代もあった。
また、そのような根本的な勝利条件の違いから、『ポケモンユナイト』には「1試合10分」という制限時間が設けられている。この点もまた、敵チームの本拠地に到達するまでマッチが継続する一般的なMOBAとは異なる点である。くわえ、年齢・性別を問わず愛されるIPとの親和性を意識してか、「制限時間が残り2分を切ってからは(それまでと比較し)得点が2倍になる仕様」「倒すことでゴール行動を阻害されない効果が付与される特別な野生ポケモン・レックウザの出現といった、大逆転を促す要素も存在する。特に後者は、競技シーンまでを含めても、かなりの割合で試合の行方を左右する、同タイトルにとって最も重要な勝敗分岐点となっている。
他方、細かいところでは、上下2つのレーンとジャングルとなる中央エリアしか存在しないこと、マッチ開始以降に組み上げるビルドの概念がないこと(使用するポケモンには、マッチ開始前に3つの「もちもの」と1つの「バトルアイテム」を装着できるが、一般的なMOBAのように、試合展開によってこれらの能力がアップグレードされることはない)、総じてクラウドコントロール(スタンや強制移動など、敵の行動を阻害する能力)の数/種類が豊富であること、といった違いもある。これらもまた、新規参入のハードルが高いとされる多くのMOBAとの差別化を意識した、『ポケモンユナイト』ならではのカジュアル成分であると言える。
見どころは、コーチの個性がチームにどう影響するか
人気イベント『The k4sen』の最新回として、戦前からいつもどおりの注目を浴びている『Pokémon UNITE The k4sen』。その見どころはどのような点にあるのか。私は各チームのコーチの個性が、どのようにメンバーの成長に影響を与えるのかに注目している。
「Team The k4sen」のコーチである1LevUPは、k4senがストリーマーとして所属するプロゲーミングチーム・ZETA DIVISIONのポケモンユナイト部門に、控えメンバーとして登録されている選手。役割にこだわらず力を発揮するタイプのオールラウンダーで、競技シーンで活動する以前から、界隈では一目置かれるプレイヤーだった。
一方、「Team The UG」のコーチであるpiuiは、『ポケモンユナイト』部門を日本で最初に設立したプロゲーミングチーム・REJECTに所属する選手で、現在もプロリーグで活躍を続けている。下レーンを担当するメイジ(スキルを駆使して遠距離から継続的にダメージを与える役割)を得意としており、こと自身の守備範囲においては、競技シーンでも有数の実力を持っている。
このように各チームのコーチには、どちらかと言えば、1LevUPがジェネラリスト、piuiがスペシャリストという対照性がある。彼らのアイデンティティがほぼ未経験であると推測されるチームメンバーにどのように受け継がれるのか。おそらく自身の造詣の深いロール/キャラクターに関しては、より的確なアドバイスが行えるものと想像する。使用したいポケモンやチームの構成に関して、当事者の意思が優先されるのはもちろんだが、コーチの個性が全体に影響した結果、チームバランスの「Team The k4sen」、メイジをチームの中心に据えた「Team The UG」という構図も見えてくるのではないか。
また、場外では、コーチ同士が親密な関係性にあることも、ひとつの面白さとなっている印象がある。イベントを終えた両選手が自身の配信でどのようなアフタートークを繰り広げるのか。この点にも注目したい。
2024年8月に開催された世界大会『ポケモンワールドチャンピオンシップス2024』でのプロゲーミングチーム・FENNELの戴冠、国内におけるプロリーグの誕生など、競技シーンを中心に大きな盛り上がりを見せている『ポケモンユナイト』界隈。『Pokémon UNITE The k4sen』の開催は、そうした熱狂を一般層まで広げる起爆剤となっていくかもしれない。
本番はまもなく。はたしてどちらのチームが勝利を手にするのか。いちプレイヤーとして、同イベントが界隈に与える影響に期待している。
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