“沼男”横浜流星にハマる南沙良、約束のない曖昧な関係に…『わかっていても the shapes of love』4・5話
#5 そばにいたいとわかっていても
漣がどんなに千輝のことを「幼馴染」「そういうんじゃない」とは言っても、「付き合うとかそういう約束に意味ある?」なんて言うものだから、美羽は信じたくても信じきれない。そこに輪をかけて千輝の「私たちの世界」発言。実際に、千輝は美羽の知らない漣を見つめてきた。その事実がさらに美羽の心を寒々しくさせる。
そんな彼女に温かな鍋焼きうどんを作ったのが、密かに想いを寄せていた琉希(佐野玲於)だった。冷えた心に琉希の優しさがじんわりしみる。このまま、そのぬくもりに甘えてしまいたい気持ちが溢れそうになっていた。
実際に、彼らはお似合いだった。琉希は、箸袋を折り紙のようにして鳥の箸置きを作る美羽の可愛らしさを見逃さない。美羽がたとえ他の人に恋をしているときでさえ、その幸せを喜ぶことができる。しかし、相手が漣となれば話は別だ。
ずっと美羽を見つめてきたからこそ、彼女が今心を乱されていることがわかる。自分ならそばでその笑顔を守ることができる。「見ているだけはもうやめよう」と一歩踏み出すことにした琉希。大胆にも漣に美羽を「幸せにする」宣言をしてみせる。
きっと琉希なら、美羽の言う「普通に付き合う」という概念も共有することができるだろう。一つひとつちゃんと言葉にしてくれる琉希なら、漣のように不安にさせられることもないはずだ。そして、お互いの夢を応援しながら、穏やかな日々を送ることができるに違いない。
しかし、琉希なら自分をちゃんと幸せにしてくれるとわかっていても、漣に対する気持ちを消すことができないのが恋の難しいところ。どんなに意識をして距離を取ろうとしても、漣にじっと見つめられるとすぐさま心が引き戻されてしまう。その傍らに千輝がピッタリと離れずにいても、だ。
「ずっと好きだったんだ」と言ってくれる琉希の言葉に、どう返事をしようかと迷っているまさにそのとき、千輝が倒れてしまう音がした。どんなときも余裕の表情を浮かべていた漣の慌てた表情に、どうしようもなく「私たちの世界」を見せつけられる。
なぜ千輝に対して漣がただの幼馴染というには、あまりにも献身的に尽くしていた違和感が、ここに隠れていそうだ。千輝にとって漣がどんな存在なのか。むしろ恋以上の何かが彼らの間にはあるのだろうという予感が、美羽の心をさらにかき乱す。
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