“沼男”横浜流星にハマる南沙良、約束のない曖昧な関係に…『わかっていても the shapes of love』4・5話
#4 大切にしたいとわかっていても
4話でスポットライトが当たるのは、漣と同じくどこか掴みどころのない光莉。これまで誰とも深い仲になることを望まなかったのは「お別れが苦手」だったからだと語る。ボロボロになっても捨てることができないお気に入りのブーツ。深く愛するほどに別れが辛くなる。一見すると軽そうだが、実は誰よりも愛が重いのかもしれない。そんな自分を守るように、誰に対しても本気にならないようにあえてしてきたように思えた。
しかし、そんな光莉の心を開けようとしていた颯。ストレートに告白された光莉は戸惑い、過去に関係を持っていた男性と再会したときにも「めっちゃまっすぐに『好き』って言ってくるやつがいて困ってる」とボヤく。だが、その顔には明らかに喜びが浮かんでいた。忘れていた「好き」という感情を思い出しつつある幸せ。でも、だからこそお別れが怖くて一歩踏み出せない。そんな光莉が鎌倉バンクシーの作品である発見をする。
「鎌倉バンクシー」とは、謎のストリートアートを残す素性のわからないアーティストだ。そんな見知らぬアーティストの作品に、光莉が捨てられずにいたあのブーツを履いた女性が描かれている。そのエピソードを知っていて、しかも律儀に描くほど愛情深い人など颯しか考えられなかった。
そして、問い詰められた颯もあっさりとそれを認める。鎌倉バンクシーとして作品を残し始めた理由は、漣への憧れと存在表明。「特別ではないとわかっていても」とひたすら仏像を彫り続けてきた颯にもドロドロとした思いがあったのだと知った光莉は、むしろ安心した様子で彼に飛び込むことができたようだった。
影の部分でしか繋がれない人たちもいる。それは、漣と「幼馴染」の千輝もそう。時を同じくして、美羽も漣に、鎌倉バンクシーとしてあの絵を描いたことを問い詰めていた。理由は、あのブーツを履いた女性の背中には美しい蝶の羽が描かれていたから。
無許可のストリートアートは犯罪行為だ。その颯を諌めるどころか描き足して完成度を上げていった漣。そんなことをしなくても漣は十分に特別だ。美羽にはなぜ漣のことがますますわからなくなる。「本当の姿が見える作品が見たい」そうまっすぐに伝える美羽は、千輝にとって眩しすぎたに違いない。「そんな狭い視野で私たちの世界を語ってほしくない」と美術を語りながらも、千輝は漣との間にこれ以上踏み込んで来ないでと拒絶するのだった。