楽器が弾けなくても“音”を操作して遊びたい iPhoneと『SP-404MKII』で始めるサンプラーのススメ(前編)

 さて、『SP-404MKII』は一台でサンプラー・エフェクター・オーディオインターフェイスを兼ねるとても多機能な機材で、買ってしばらく経つが触れていない機能がたくさんある。そのすべてを網羅的に解説すると大変な分量になってしまうので、ひとまず基本的な使い方をさらっていこうと思う。

 まずは電源を入れる。本体上部のスイッチをオンにするとディスプレイが点灯し、「ローランド」のロゴが表示される。ちなみに指定の形式の画像を作ってインポートすることで、ここに表示される画像をカスタムすることもできるようだ。電源をオンにして16個のパッドを叩くと、本体にはじめから収録されているサンプルを聞くことができる。

オープニング画面に表示されるこのロゴは『TR-808』の裏面に記載されていたローランド社の古いロゴをもとに作られているそう

 上部にあるツマミは左上がボリューム、残りの3つは左から数えて「CTRL1」「CTRL2」「CTRL3」というコントロール用のツマミで、設定の編集やエフェクトの操作、サンプルの加工などさまざまな役割を持っている。

 画面の両脇にあるボタンは音の性質を変化させるエフェクトのボタンだ。デフォルトでは代表的な5つのエフェクトが前面にボタンとして表示されており、「MFX」のボタンを押すともっとたくさんのエフェクトが選択できる。デフォルトでエフェクトが割り当てられているボタンに、別のエフェクトを割り当てることもできる。

 高音・中音・低音を選んでカットできる「ISOLATOR(アイソレーター)」の効き方などは動画で観たようにパワフルで「これこれ!」という感じ。「PATTERN SELECT」を押して番号の書いてあるパッドを押すとあらかじめプログラムされているデモソングを再生できるので、これを流しながらエフェクトのつまみをひねってみると効果がわかりやすい。そしてそれだけでも楽しい。

 こういった機材を使うときにまず覚えたいのが音の鳴らし方と、止め方だ。サンプルもパターンも、音を鳴らすには基本的に1〜16の番号の振られたパッドを叩けばOK。「EXIT」ボタンを4回押すと音が止まる。パターンの再生を止めたいときには「Shift」キーを押しながら「EXIT」を押せばOKだ。

「音が止まらなくなってしまった!」というときはひとまず「EXIT」を連打する

 音楽制作の中心がDAWになって久しい昨今、こうした機材は機能の取捨選択とその明示方法でカラーが出る。本機は外に持ち出して使ったり、膝の上に置いてヘッドフォンを付けて簡単な編集を行ったりといった用途には特に向いており、「手軽に」使える機材だと感じた。反面、全ての機能を網羅しようとするのは結構大変。多くの機能が階層化しており、「Shift」キーと他のキーの組み合わせでアクセスする必要があるし、旧機種から操作感を引き継いでいると思われる部分は新規ユーザーである私には慣れが必要だった。ただ、個人的にはボタンをたくさん押したり、機材の使い方を覚えたりすること自体が楽しいので、悪い印象はあまり無い。

 さて、長くなってしまったので、今回は前後編でお届けしようと思う。次回はサンプル音源を使って『SP-404MKII』を手軽に楽しむ方法、本体と一緒に使っているアクセサリ、そしてiPhoneと接続しての動画収録などについて解説していきたい。

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