名作の遺伝子は海を越えて受け継がれる…“日本産”ゲームIPを海外が制作した例5選
70年代前後にゲーム文化が花開いてから、現代までに多くのシリーズが発売されてきた。基本的にはどんなシリーズもオリジネーターが作るものだが、諸々の事情により、他社がその精神を受け継ぐ場合もある。
そこで今回は、日本で生まれたゲームIPを、海外の開発会社が作ったケースを5つ紹介しよう。
『SILENT HILL 2』
1999年にコナミから発売されたシリーズだが、5作目に当たる2007年発売の『サイレントヒル ゼロ』からはすべて海外スタジオが制作している。
多くのスタジオが開発に携わってきたシリーズだが、今年発売された『SILENT HILL 2』は特に重要な作品であり、開発をポーランドのBloober Teamが担当したことも注目された。
彼らは『Layers of Fear』のようなサイコロジカルホラー作品を中心に作ってきた経歴があり、「サイレントヒル」シリーズにも強く影響を受けてきた。まさしく念願叶った形と言えるだろう。
各所から大絶賛を受けている本作、ぜひとも一度遊んでみてほしい。
『METAL SLUG TACTICS』
1996年にSNKがアーケードゲームとして売り出した本シリーズも、大量の続編が発売されている。
ハリウッドのB級映画のネタをこれでもかとてんこ盛りにしたコテコテの世界観に、グリグリと動く美しいドット絵、当時のアーケードゲームらしいハードなゲームプレイなど、多くのプレイヤーが魅了されたシリーズだ。
今年、フランスに拠点を置くLeikir Studioにより開発されたスピンオフ作品『METAL SLUG TACTICS』。本作は「メタルスラッグ」のシミュレーションRPGだ。
一般的なSRPGと同じく、マス目式のフィールドでユニットを動かし、敵を排除していくゲームなのだが、走れば走るほどスキルを使うポイントが溜まるシステム(「メタルスラッグ」シリーズのジャンルである「ラン&ガン」を意識したのだろう)や、味方を十字砲火の形に置いておくと支援攻撃をしてくれるシンクロといった仕組みが面白い。
詳しくはレビューも掲載しているので、そちらも参考にしていただければ幸いだ。
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『Synergy』のようなユニークなゲームを作ったかと思えば、『Rogue Lords』のような鉄板のデッキ構築ローグライトまで作れるLeikir Studioの今後にも注目していきたい。
『DmC: Devil May Cry』
2001年にPlayStation 2から始まった「デビルメイクライ」シリーズ。本作のスピンオフも海外スタジオが担当している。
その名も『DmC: Devil May Cry』。Ninja Theoryが開発した本作は、大元のシリーズとは少し違う世界を舞台にした作品だ。
発売当時は主人公ダンテの見た目がお笑いトリオ・ネプチューンの名倉潤に似ているなど、いろいろと言われた作品ではあるが、ゲームプレイ自体は斬新で、デーモンパワーとエンジェルパワーを切り替えて戦う面白さは唯一無二だ。
『Gimmick! 2』
1992年にサンソフトから発売されたアクションゲーム『Gimmick!』の続編も、海外開発である。およそ32年ぶりに出た本作『Gimmick! 2』の開発を手掛けたのはBitwave Games。
かわいい見た目に反して激ムズな難易度や、印象的な音楽がたまらない一本である。ぬいぐるみのゆめたろーが持ち主の少女のために頑張るというストーリーも夢があって楽しい。リアルサウンドテックではレビューも掲載しているので、あわせて読んでみてほしい。
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『ソニッククロニクル 闇次元からの侵略者』
セガが誇る「ソニック」シリーズも、実はRPGのスピンオフが開発されていた。
Nintendo DSで発売された『ソニッククロニクル 闇次元からの侵略者』は、「Mass Effect」や「ドラゴンエイジ」シリーズで知られるカナダの老舗RPGメーカーBioWare製の作品だ。
操作がタッチペンのみであることや、あまり良くないグラフィック品質など問題点は多いが、ソニック初のRPGとして評価する向きもある作品だ。続編の話も出ていたが、アメコミ版ソニックの脚本家との訴訟問題が起きたため、残念ながら発売されることはなかった。
https://sonic.sega.jp/SonicChronicles/
以上、日本産のゲームシリーズを海外の開発会社が作った例5選をお届けした。
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