初の『シャドバ』チーム戦で感じた楽しさと、少しだけ戻った“あの感覚” 『Shadowverse 最強チーム決定戦』参加レポート

 いきなりだが、筆者は本格スマホカードバトル『Shadowverse』(以下、シャドウバース)において、それなりに競技シーンに参加してきた自負がある。一方で「チーム戦」という形式は経験したことがなかったが、11月17日に千葉・幕張メッセにて開催された『Shadowverse 最強チーム決定戦 powered by RAGE 千葉予選』に参加。初のチーム戦を堪能してきたので、その様子をレポートする。

 そもそも1vs1のカードゲームにおいて、チーム戦とは? というところを簡単に説明したい。シャドウバースの競技シーンは基本的にBO3(2本先取)の形を取っている。2デッキを持ち込んで、両方のデッキで先に勝利を収めた側の勝利という、かなりシンプルな形式だ。

 そして、今回のチーム戦は3人1組。デッキかぶりなしで準備し(すなわち6デッキ必要)、大会に臨むこととなる。チームメンバーにはA、B、Cと記号が振られ、相手の同じアルファベットのメンバーとBO3ルールで対戦。2名以上が勝利を収めたチームが、チームとしての勝利を得る……というものになっている。なお、対戦中のチームメンバー同士のアドバイスがOKとなっており、イメージするよりも“チーム感”が強く感じられる。

 今回の大会に向けて、筆者が持ち込んだのはネクロマンサーとネメシス。どちらも一般的な葬送ネクロマンサーとアーティファクトネメシスだ。わかりやすく言うとドラフト形式に近い方法で持ち込みデッキを決めたのだが、希望の2つがサクッと取れてしまった。うれしいやら、これで勝てなければ情けないやら。タイムスリップローテーションの環境は「Fortune's Hand / 運命の神々」。当時のRAGE Shadowverseでは1次予選を突破したプライドもあり、無様な姿は晒せない。特にネメシスは2次予選でボコボコにされたデッキだったため、勝手にリベンジのためにかなり練習していった。

 そして迎えた大会当日ーー対戦後にわかったのだが、なんと1回戦の相手はRAGE Shadowverse 2024 Springのファイナリストを擁する超強豪チームだった。それでも勝利の可能性は転がっているのがシャドウバースなのだが、どちらかと言うと楽しむマインドで入ったわれわれはちょっとしたプレイングミスがポロポロ生まれ、それを見逃してくれる相手でもなく。見事な0-3負けからスタートすることとなった。

 ただ負けたと言うだけでも芸がないので、簡単に自分の戦いを振り返ると、いま思えば分岐となったのは1敗して迎えた2戦目。葬送ネクロマンサーvs式神ウィッチという、環境当時に激アツバトルが(妖怪ネクロマンサー時代ほどではないかもだが)繰り返されたマッチだった。相手が体力6で残った《幽暗の墓守》を取れず、横の《カーニバルネクロマンサー》と合わせてフリーで9点ぶち込めるという大チャンスを5ターン目に迎えたものの、相手の盤面に残った進化済みの《カオスウィザード》(繰り返すが進化済みである。無視しろよ!)に付き合ってしまい、7点しか与えなかったことが響き、結果的に押し込みが足りず敗戦。明らかに勝負勘がなまっていた。1戦目もバアルヴァンパイアに対してあとひと押しが足りずに負けており、「練度が低いとよくあるやつだ……」と0.2秒ほど落ち込んだ後、次の試合に向けて切り替えることになった。

なぜ俺はあんな無駄な選択を……

 大会2試合目は、1試合目での反省点を頭に入れつつ試合へ。これは大会あるあるなのだが、前の試合での反省を意識していると、今度は真逆の戦い方を強いられるということが頻繁に発生する。この試合もまさにそうで、1戦目の相手のデッキはネクロマンサーでも葬送軸ではなく《ソウルテイカー・ララ》と《大妖狐・ギンセツ》を採用したコントロール気味のハデスネクロマンサー。RAGE王者が使っていた、あのデッキだ。葬送ネクロマンサーのミラーマッチを戦う感覚で常に先手を取って展開していったら、めっちゃコントロールされた挙げ句に無限に盤面に当たられて《冥府への道》を速攻で起動されて負けた。

 これはまずい。希望デッキが2つ通って完全ストレート負けという屈辱が脳裏をよぎったが、あきらめたらそこで試合終了。開き直って次のエルフ戦に備えた。相手のエルフは、当然ながら豪風のリノセウスエルフ。プレイングが勝敗に直結しやすい対面である一方、意識すべきことは明確なデッキだ。場に出すフォロワーの攻撃力はなるべく3以上、できれば4以上(もっと欲を言えば6以上だが……)に保ち、《征伐の死帝》は葬送せずに《デッドメタルスター》からは《幽暗の墓守》が出るようにする。その意識が奏功したのか、盤面で常に押し込み続けると、最後は盤面に本体で出てきた《フォレストダーク・レオネル》を放置し、「フォロワーをプレイしたとき」の効果を受けない《フェイタルオーダー》連打で勝利。首の皮一枚つなげて初勝利を懸けての一戦へと進んでいく。

《デッドメタルスター》からは《幽暗の墓守》が出てくるぞ

 ここに来てやっとアーティファクトネメシスを繰り出すことになったが、やりたいプレイングよりも、豪風のリノセウスエルフの対策意識を優先して臨んだ。先攻を取られて1ターン目から《豪風のリノセウス》をプレイされる展開にやや焦ったものの、冷静に《パラダイムシフト》を複数回収して《プロテクトアーティファクト》の準備を進行。《豪風のリノセウス》カウントが進んだタイミングからは、常に2枚以上の守護を展開し、その裏に攻撃力の高いフォロワーを残すことでなんとか主導権を握り返した。豪風のリノセウスエルフ相手に耐え忍ぶ展開だと負けるのがセオリーではあるのだが、冷静に相手の手札状況を推察しながら戦えたこともあり、最後は《ヴァーテクスコロニー》の一撃で勝利をつかむことができた。

 チームとしては1-2で2回戦敗退となってしまったのだが、久しぶりに真剣勝負のなかで研ぎ澄まされる感覚をちょっと取り戻すことができ、非常に有意義な時間となった。チームとして勝敗の一喜一憂を共有するのも、想像していたよりもはるかに楽しい体験だった。敗退決定後にもう一戦やろうかという話になったものの、対戦相手が現れずに不戦勝→解散となったのもご愛嬌。個人戦のRAGEでは良くも悪くも勝利への執着心がフロア全体に満ちあふれており、それも含めて楽しんでいたのだが、今回のチーム戦はメンバー同士のアドバイスが認められていることもあり、いい意味でカジュアルな雰囲気もあった。2025年には『Shadowverse: Worlds Beyond』のリリースが控えているが、ぜひチーム戦大会の文化は継続してもらいたい。

 以上、『Shadowverse 最強チーム決定戦 powered by RAGE 千葉予選』参加レポートをお送りした。12月には北海道、年が明けて1月には京都で予選が開催されるので、これまでチーム戦に縁がなかった方も、仲間を誘って一度参戦してみてはいかがだろうか。

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