iPhone 16でパワーアップした「フォトグラフスタイル」の機能がすごい 肌の色が美しく、簡単にルックがキマる

iPhone 16に搭載されたカメラは「Fusion Camera」といい、新たなセンサーやカメラコントロールとの融合を果たして大きく進化している。この恩恵のひとつとして、iPhone 16では「フォトグラフスタイルを撮影中・撮影後に適用できるようになった」。……と言われてもなんのことやら、というユーザーも多いことだろう。iPhoneには撮影する写真のトーン(色調)を変更できる「フォトグラフスタイル」の機能があり、これはiPhone 15までは特定のスタイル(たとえば鮮やか、暖かい、冷たい、といった)を選んだらその後撮影するすべての写真にそのスタイルが適用される、という形で実装されている。

撮影するすべての写真に一つのスタイルが適用されてしまうため、筆者は「撮影した写真はどうせ後から編集するしなあ」ということで普段はオフにしていたのだが、この機能がiPhone 16でアップデートされ、撮影中・撮影後にスタイルを適用できるようになった。そしてこれが、かなりスゴい機能なのだ。

フォトグラフスタイルは単なる「フィルター」ではなく、写真の中の特定の色に対して作用する。iPhone 16からはトーンの種類も追加され、とくに人の肌の色に対して適切なトーンを選べるようになっておりポートレートモードと組み合わせるとスタジオ写真のようなルックを簡単に実現できる。人物を撮影してみると、これが単なるフィルタではないことがわかるはずだ。スタイルの適用は写真編集のプロセスとしてはカラーグレーディングの工程に近い。これは露出やホワイトバランスをととのえたうえで、写真にスタイルを付与する作業のことだが、iPhoneはこうした処理を撮影中に行ってしまうのだ。



もちろんこうした処理は専用のソフトウェアで今までも実現できたことだが、手軽さと得られるルックのクオリティがいずれも非常に高いと感じる。特に人の肌に対する処理が秀逸だと感じたので、人物写真でいくつか作例を作ってみた。

特に数値を調整せずとも、人物の肌のトーンが"イイ感じ"に補正されることがわかる。続いて、各スタイルの適用量を変えて作例を作ってみた。

- こちらが補正前の画像(スタイル「標準」、補正なし)
- スタイル「標準」、トーン-50、カラー50。彩度を下げ、落ち着いた色調に補正した。こういう色補正を すると血色の悪い画ができがちだが、「フォトグラフスタイル」を使うと肌の色変化を抑えたまま全体の色を補正でき る
- スタイル「アンバー」、トーン-100、カラー-30、パレット100。彩度を落としつつ上の例よりもシャドウを重 く、コントラストのある画に補正した。補正前の画像と比べると露出はグッとアンダーになったが、顔周辺のトーンが 暗すぎずまとまる。顔にかかる影が自然な階調を保ったままなのもうれしい
- スタイル「クールローズ」、トーン-60、カラー70、パレット100。個人的にはこの「クールローズ」というスタ イルに一番驚いた。青白さとほのかなピンク色が付与される上品なスタイルだ。
- スタイル「ゴールド」、トーン-40、カラー-55、パレット70。マイナスの補正で彩度・輝度を落とし、「パレッ ト」の数値でその適用量をコントロールして画作りを行った。いろんなスタイルを試しながら適用量を変えてみるのも 面白い
肌の色に対するアダプティブな処理を勝手にやってくれるので、手軽に高クオリティなルックが手に入るところがすごい。フォトグラフスタイルは「写真」アプリ備わっている既存の編集モードと合わせて使えるので、ポートレートモードと合わせて使えば大きなセンサ・レンズで撮影したような風合いの写真も編集で作ることができる。
- こちらはスタイル「クールローズ」
- こちらはスタイル「アンバー」を適用
HDR・HEICをSDR・JPEGに変換するにあたり露出補正のみMacで行ったが、そのほかの補正はすべてiPhone 16の「写真」アプリで行っている。Proシリーズでなくとも純正アプリと新しいカメラの相乗効果で写真のクオリティがとても高くなっていることがわかる。
- こちらはスタイル「ローズゴールド」
- こちらはスタイル「ゴールド」を使用
こちらの作例は「フォトグラフスタイル」に加えて「ポートレートモード」の被写界深度操作も組み合わせたもの。色乗りの良いレンズの"感じ"がでていると思うのだが、いかがだろうか。iPhone 16のカメラは前機種iPhone 15と比べても大きく進化していると唸らされた。
最後に「フォトグラフスタイル」を使う上での注意点を一つ。被写体と背景の光を別々にコントロールするようなシチュエーションでフォトグラフスタイルを適用すると、ビデオチャットアプリのバーチャル背景のような感じになってしまい、違和感が生まれることがある。画面全体に注いでいる光をイメージしながら編集するとよい結果が出やすい。これを踏まえたうえでぜひ試してみてほしい機能だ。
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