にじさんじ・ホロライブ・ぶいすぽっ!の5名が集合 “夢のユニット”への期待とそれぞれの関係性

待ち望んでいたファンも多し ついに実現した“夢のコラボレーション”

 ここまでそれぞれのメンバーの強みや共通点を探ってきたが、そもそも「にじ・ホロ・ぶい」でチームアップする機会はこれまでを振り返っても物珍しい光景であった。

 コロナ禍前の2019年以前には、にじさんじ・ホロライブのメンバーによるコラボ配信も何度かあった。しかし、両プロジェクトともにメンバー数が増えたことや、コロナ禍という特異な状況に置かれたこと、ちょうどその時期を境に両プロジェクトともに一気に人気を集めていったことも相まって、同じプロジェクトのメンバーで固めた配信が圧倒的に多くなっていた。

#にじホロ雪山人狼 いったいなにがはじまるんです…?【白上視点】

 古くから密なコラボを繰り返してきた組み合わせを除けば、なにかしらの“キッカケ”がなければ配信をともにすることはまずない。そのキッカケというのも、ゲームにまつわるもの、大会や企画にまつわるものがほとんどだ。

 三者が集まりやすい『VTuber最協決定戦』を例に見ると、第3回大会でのアルス・アルマル/胡桃のあ/常闇トワ「ぱすてるさわー」、第4回大会での夏色まつり/星川サラ/空澄セナの「ぴかぴか☆星空フェス」、第4回大会での夏色まつり/える/藍沢エマの「三清傑」といったチームが数少ない事例として挙げられる。

 これまで6大会・計120チームが結成されているなかでもわずか3チームしかないといえばそうなのだが、注目したいのは夏色が2チームに関わっているところ。彼女は高いプレイスキルだけでなく、彼女の性格・人柄、なにより友人関係の広さを思い知らされるばかりだ。

 そして、こうした限られた交流が続いてきた状況に、大きな架け橋となるタレントがでてきた。ホロライブ1期生のアキ・ローゼンタールである。昨年10月に開催された『VCR ARK』に参加した彼女は、同作への深い知識とプレイスキルで周囲を助け、これまで『VCR』企画に参加してきたストリーマーやVTuberらから「ホロライブの人」として注目を集めるようになる。

【VCR ARK】初参戦!!スト鯖ARKにムキロゼ降りたつ【アキ・ローゼンタール/ホロライブ】

 その後、vaultroomのサーバー企画にも参加した彼女は、『VCR GTA2』において、「にじさんじ・ホロライブ・ぶいすぽっ!・Neo-Porte・ななしいんく・VEE」とバーチャルタレント~VTuberシーンでも影響力の強いグループの面々が一同に介するギャングを、数奇なめぐり合わせのうえで組むまでに至っている。

 こうして前述した大会やサーバー企画を通じてふたたび交流の芽がうまれ始めているものの、「大手同士のタレントが積極的なコラボ配信をすることは珍しい」という認識を持つファンは今でも多いのはいうまでもないだろう。

 だがあくまで筆者の体感に基づいた推測なのだが、コロナ禍が収束にむかったことやvaultroomでのサーバー企画に参加して多くのリスナーの注目を得たことで、「3者同士で組みやすい状況が生まれている」というのも、今回の企画が成立した裏側にはあるはずだ。

 念頭に置いておきたいのが、彼女たちの活動は配信の外側でも行われているということ。歌や収録、そして今回のようなイベント出演など、さまざまな活動のなかで偶然にも知り合い、連絡を取り合っていたなんてこともある。表に見えるものだけが人間関係のすべてではない。あえて書かせてもらうが、ファンが思っていなかったような交流を図っていることも往々に起こっており、決して険悪な関係性ではないということは強調しておこう。

 話が脇道にそれたが、今回の5人についてあらためてまとめてみると「FPSやサーバー企画を中心に仲が良い・見知った仲の天宮・橘・アルス・夏色」「動画企画で長年活躍してきた尾丸」という構図が浮き彫りになる。

 ここで、さらに新しい見方を投げかけてみよう。「この5人は、会話のなかでどのようなポジションにつきやすいか?」という見方だ。じつは5人それぞれのグループ・集団での立ち位置や扱われ方に面白い共通点がある。

 天宮・アルスの2人といえば、その声色や性格も相まって、フワフワっとした笑顔を浮かべつつ周囲とコミュニケーションを取ることが多い。それはリスナーからのコメントであっても、先輩・後輩であっても変わらない。それでいて相手の心深くに切り込んで茶化した際の切れ味が非常に鋭く、コラボ相手のリスナーをも笑わせてくれるふたりだ。

 夏色・尾丸はカラッとした性格で、会話のなかでオン・オフをつけて会話することが多く、ホロライブ内では、夏色が思いっきりボケ役となり、尾丸はツッコミ役に回ることが多い。とはいえ、天然ボケが多いと評されるホロライブの面々においては、夏色がツッコミ役を自覚して回るシーンもみられ、相手の様子をよく観察するタイプなのが伝わってくる。

 橘は、きちっとしかりとした口調や物腰も相まってか、ぶいすぽっ!内外問わずにツッコミ役・バランサーとして振る舞うことが特に多い。これまで様々な企画に参加しているが、どんな状況でも中立な立場に身を置くタイプで、周囲と偏りなく仲良くしながら自分のやりたいことや世界観を作れるタイプでもある。逆に、自分のやりたいことがうまくこなせなかった際には怒りをあらわにすることも多く、FPSゲームで逆ギレするシーンはその最たる例であろう。

 こうしてみるとボケ役に夏色まつり、ツッコミ役(バランサー)に橘ひなの&尾丸ポルカの3人という構図になったところで、天宮とアルスが優しく笑いながら相手をイジったり、あるいは話題を広げていったりする絵が想像しやすい。夏色が攻めた発言をし、橘がそれを正そうとしたところで尾丸が夏色にのっかり、天宮とアルスが動向を見守りながら笑っているというシーンが生まれそうだ。

 ところで、今回のコラボについて自身の配信でメンバーについて言及していた尾丸は、、橘に対してはかなり良い印象を抱いているようで、以下のようにべた褒めしている。

「ひなのの声ってめっちゃいいなって」
「ひなーの、かわいいね」
「可愛いのにカッコイイんだよね」

 このような調子で常闇のライブで一緒に参加していた橘にかなり興味がある模様。ただ「現時点でぜんぜん絡みはありません。喋ってないです。顔合わせまで絡まないようにしてる」とも話しており、このまま一切絡まないままで顔合わせ配信を迎えるよう。実際にどのような5人の関係が築かれるか、今から楽しみにしておこう。

 最後に、実際に制作されるコンテンツについても少しだけ触れてみよう。

 今回、ahamoとともにYouTube Shortsのロゴが入っているところからも分かるように、YouTube Shortsを使ったコンテンツの提供が予告されている。公式サイトではダンスShortsとアナウンスされているが、それ以外にも尾丸が音頭を取っての面白Shortsも制作・投稿されるかもしれない。

 これにくわえて、「DECO*27が制作するオリジナル曲・MV公開」「オンラインライブ配信」と、PR案件とは思えないレベルの豪華かつ充実した内容だ。2024年10月1日にはahamoオリジナルマンガ公開され、10月17日には5人の顔合わせ配信が予定されている。

 そしてなにより、豪華な企業タイアップが生んだ奇縁が、今後5人の活動に大きな変化を及ぼすかも知れない。プロジェクト終了後の5人にも要注目だ。

■関連リンク
ahamo「GIGA MASH PROJECT」特設サイト

関連記事