人気芸人が“パクり”動画に激怒? トラブルの火種になりやすい「情報まとめ系漫画チャンネル」の裏側とは
昨今YouTubeで人気を博している情報まとめ系漫画チャンネル。お笑いコンビ・レインボーのジャンボたかおが、とあるチャンネルが自身のコンビのコント動画のネタを“パクっている”と告発し、大きな騒動となっている。そこで今回は、YouTube上に多くのコンテンツが存在する情報まとめ系マンガチャンネルの闇に迫ってみたい。
情報まとめ系漫画チャンネルは、エンタメから社会、経済まで、まさにいま話題になっている時事ネタを元に、漫画動画を制作・投稿。数多くのチャンネルが存在しており、競争の激しいジャンルのひとつだ。そのなかにはいち早く動画を投稿しようと、クラウドなどで台本制作や動画制作を大量発注するケースも。ここ数年の間でさまざまなコンテンツがAIで制作できるようになったことも、漫画をはじめとする情報まとめ系動画の量産に関係しているとも考えられる。外注やAIで作られた台本や動画はというと、チャンネル責任者やそれに準ずる者がチェックし、問題があれば該当箇所を修正するなどの対応が行われ、ようやく世の中に公開される。このような制作体制で動画投稿を行っている場合が多い。
そのようななか、ジャンボが2024年9月16日にXで「凄いこいつら、俺らのコント何本もパクリにパクってるけど、許されるのか?!」と投稿。ジャンボの投稿には、YouTubeチャンネル「オンナのソノ」(登録者数18.3万人/9月22日時点)で、レインボーのコント動画「【コント】夫フリーターだけど幸せな妻と、夫社長だけど幸せじゃない妻」を「【漫画】夫フリーターだけど幸せな妻と、夫社長だけど幸せじゃない妻」というタイトルで投稿していたことを指摘。
するとジャンボの投稿を引用する形で、お笑いコンビ・エレガント人生の中込悠が、「僕たちもやられていました…!絶対ダメ!」という文章とともに、「心の底から『彼氏がいらない』と思っているのに周りから理解してもらえない人」というコント動画が、「【漫画】心の底から『彼氏がいらない』と思っているのに周りから理解してもらえない人」というタイトルで投稿されていたことを明かしたのだ。
ジャンボのSNSでの告発は、みるみるうちにネット上で話題に。すると、オンナのソノ側はYouTubeのコミュニティで「本件投稿者の動画コンテンツの動画タイトルと一致していること、及び本件動画の作成にあたって、本件投稿者の動画コンテンツを参考資料として用いていたことが確認されました」と、ジャンボらのコンテンツタイトルを“パクった”ことを認め、謝罪。事態の経緯を、「責任者の不手際により、投稿前後に行うべき確認作業が適切に行われず、本件投稿者の動画コンテンツのタイトルをそのまま用いていることを看過したため、このような事態が生じたことが判明しました」と説明し、ファクトチェックが疎かになっていたことが明らかになったのだ。なお動画のストーリーやセリフについては、「本件投稿者の動画コンテンツと一致している事実はございませんでした」と、レインボーら第三者のコンテンツと異なっていると釈明している。
(参考:「オンナのソノ」コミュニティhttps://www.youtube.com/@manga_onsono/community)
バズっている、成功しているヒト・モノからヒントを得るというのは、YouTubeをはじめとしたSNSのみならず、多くのビジネスでも取り入れられるマーケティング手法だ。とくにYouTubeにはジャンルを問わず、バズったコンテンツを真似た動画が再生されやすいという傾向があり、今回の一件においてもレインボーらの動画を参考資料としていたという点に驚きはない。しかし、外注への大量発注やAI生成コンテンツにおける最終的なファクトチェックは、いまなおチャンネル運営者やコンテンツ制作における責任者などが動画公開前に行うべき重要事項であることに変わりはないはずだ。今回の騒動は、クリエイターやコンテンツにまつわる著作権やファクトチェックの大切さを改めて考えさせる、そんな出来事だったといえるだろう。