ゴシップ記者を演じる福原遥から感じた、社会人に刺さる”絶望”『透明なわたしたち』1話

『透明なわたしたち』1話

 1話を見て率直に感じたのは、大人を"やっていくしかない"感だ。

 主人公の碧は、もともと新聞記者になりたかった。高校時代、「私、ゴシップなんてやらないよ」と言っていた。しかし、そこから数年がたったいま、彼女はゴシップライターとして仕事をしている。「この2人も終わりですね」「これで(スクープ)何組目でしたっけ?」と後輩から聞かれ「何組目だろう……」と浮かない顔で答える姿が切ない。

 ただ大人を"やっていくしかない"感が溢れているのは、なにも碧だけではない。地元で一児の母として生活している風花(小野花梨)は、碧の前でこそ「幸せ!」と言う顔をしているが、現実はゴシップ記事のコメント欄に「死んで償ってください」とコメントするほどに、心が荒んでいる。梨沙(武田玲奈)は、女優になる夢をなかなか実現できずホステスとして生計を立てる日々を送っていた。

 碧のモノローグ「いつからだろう、自分の心に嘘をつき始めたのは。なにも感じなくなってしまったのは。自分の居場所を見失ってしまったのは……。いつから大人になってしまったんだろう」が心に染みる。これはこの物語のなかだけのことではない、私たちの心の内にも多かれ少なかれある感情なのではないかと感じた。

 そんな"やっていくしかない"大人としての日々と対照的なのが、碧たちのキラキラとした高校時代である。少し気になる男子にワイワイキャッキャとしたり、祭りを舞台に男女混合の仲良しグループが結成されたり、そんなメンバーで花火を見たり……。「なにかをつかみ取れると信じていた、世界が輝いて見えた」そんな心情だったこの頃は、まるで永遠に続く時間のように表現されている。大人パートが、なんとも言えぬやるせなさに溢れているのは、そのせいだろう。

 そして、1話のなかで、もう1つ大きな出来事は渋谷で起きた凶悪事件だ。この凶悪事件、どうやら碧たちに深く関係がありそうな予感。果たして、どのような関わりがあるのか。そして、碧たちは、この事件にどう向き合っていくのか。注目していくことになりそうだ。

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