プロ野球で客席からの撮影がNGに? 話題のNPB“新規定”とJリーグ、Bリーグの現状を比較
日本野球機構(NPB)と12球団は2日、東京都内で実行委員会を開催。「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」を新たに定め、2025年2月1日からの施行を決めた。「ボールインプレイ中のプレーヤーを撮影した写真・動画等」「ボールインプレイ中のプレーヤー以外を撮影した動画のうち、140秒を超えるもの」といった写真や動画などの配信・送信が禁止されるため、観客席から撮影された現地の様子を見られなくなることに落胆するSNSユーザーは少なくない。
とはいえ、家族や友人など身内に向けたものであれば認められる場合もあると記されている。加えて、「業として行われず、主催者が有する権利及び法益を侵害しないと認められる場合」とも書かれていた。明確なラインは不明だが、広告収入が発生しない場合はSNSや動画プラットフォームへの投稿は認められる可能性もあり、現地の写真や動画が全く見られなくなるわけではないのかもしれない。
(参考:写真・動画等の撮影及び配信・送信規程https://npb.jp/npb/satsuei_haisin_kitei.html)
「主催者が有する権利及び法益を適正に保護しながら」と今回の決定の背景が示していることから察するに、SNSや動画プラットフォームで収益を得ている人達への対策が主な目的のように思う。ただ、主催者だけではなく、一般人を守ることも目的の1つなのではないか。本規程には「監督、コーチ、選手、主催者の職員等、チアリーダー、販売店その他の球場関係者、特別応援許可を受けた応援団員及び他の観客に対し、その身体の一部を拡大または強調して撮影する行為や身元が分かるID等を撮影する行為」という項目もある。近年、売り子の悪質な盗撮被害は問題視されており、売り子をはじめとした一般人を守る側面も強いのだろう。
今回のNPBが発表した規程は不明瞭な部分も少なくない。今後より深い議論が必要であり、より良い規程が定められていってほしい。
Jリーグの対応は?
野球以外の競技では、観戦者の写真・動画の撮影にどのようなルールが設けられているのか。Jリーグは以前まで、公式試合が行われるスタジアムとその周辺で撮影した写真や動画をインターネット上に投稿することは禁止していた。しかし、Jリーグを周知してもらうため、2022年1月に写真の投稿を許諾。ハーフタイムを除くピッチ上の映像、スタジアム内に設置された大型映像装置から映し出されている試合映像でなければ、動画の投稿も認めた。とはいえ、NPBの規程同様、「他者の肖像権を侵害する、又は侵害のおそれがある投稿」「営利目的での利用(YouTube収益プログラムやアフィリエイト広告などコンテンツに付随される広告からの収益が見込まれる投稿は除く)」などは許可していない。
(参考:Jリーグ公式試合における写真・動画のSNSおよびインターネット上での使用ガイドラインについて【Jリーグ】https://www.jleague.jp/news/article/21734)
次にBリーグでは、こちらも写真の投稿自体の規制は厳しくない。動画はコート上であれば15秒以内、コート外であれば時間制限はなく投稿が許されている。こちらもJリーグと同じく、「他者の肖像権を侵害する、又は侵害のおそれがある投稿」「営利目的での利用」などは許諾していない。
(参考:B.LEAGUE公式試合における写真・動画の撮影およびSNS・インターネット上での使用ガイドラインについて
https://www.bleague.jp/news_detail/id=241580)
Vリーグの苦悩
Vリーグでは、各チームがホームゲームでの撮影におけるルールを公開している。男子チームのジェイテクトSTINGSは「会場での写真・動画撮影データは個人での利用を目的とした場合に限り、可能となっております」と営利目的での利用を禁止するような内容が記されている。また、「SNS等での動画投稿は、プレーシーンは1セット1ラリーまで、それ以外のベンチなどの様子は30秒以内でお願いいたします」と動画撮影の規制に関するルールもあった。「営利目的の撮影・投稿の禁止」「30秒以上の動画撮影の禁止」など、多少の文言は違うものの男女問わずほとんどのチームの公式ホームページに記載があり、Vリーグにおける共通のルールなのだろう。
(参考:観戦にあたってのお願いhttps://www.jtekt-stings.jp/match/match_schedule.html)
(参考:【重要】ホームゲームにおけるご観戦ルール ※1/24一部修正※https://red.necrockets.net/news/20231202/)
いずれもJリーグやBリーグと共通しているが、Vリーグは大きく異なる部分がある。それは性的目的の撮影の排除を徹底していることだ。Vリーグの公式ホームページでは、「アスリートの写真・動画を使用した性的目的のSNS投稿やWEB掲載を固く禁止しています」と書かれていた。加えて、「6月28日から開催する2024 V・サマーリーグ女子西部大会/東部大会において一部撮影エリアを設け、撮影エリア以外の場所からのカメラ・ビデオ撮影を不可とする事といたしました(スマートフォン・携帯電話での撮影は可)」とも記されており、撮影可能エリアを一部に絞る取り組みも行われている。VリーグではNPB同様、今まさに最適な撮影ルールを模索しているようだ。
(参考:試合会場におけるカメラ・ビデオ撮影制限の検討についてhttps://www.svleague.jp/ja/sv_women/topics/detail/23083)
各競技が知恵を出し合い、選手はもちろん、観客も快適な環境を作っていくことを願いたい。
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