レンタルモバイル充電器、返せなかったらどうなる? 企業とユーザの攻防戦に迫る

レンタルモバ充、返せなかったらどうなる?

 人々の生活に根付き始めたレンタルモバイル充電器「ChargeSPOT」。最近、「返せた試しがない」といったXの投稿が散見されているが、そもそも返せなかったらどうなるのだろうか。ChargeSPOTをはじめとしたレンタルサービス運営企業が、こういった問題にどう対抗しているか。企業とユーザーの攻防戦に迫ってみたい。

 コンビニや駅などでよく目にするようになったレンタルモバイル充電器「ChargeSPOT」。USB-C、iOS、Micro USBの3タイプのケーブルを内蔵していることから、ほぼすべてのスマートフォンで使用できるという優れものだ。2024年7月1日に改訂された利用料金をみると、1時間未満で330円からと時間が増えるごとにアップ。12時間から24時間未満でも640円というリーズナブルさが目を引く。返却は自分のいるすぐ近くのバッテリースタンドの空きスロットに差し込むだけ。専用アプリには空きスロットを確認できる機能がついており、スムーズに返却できそうだ。

 しかし最近Xでは、「返せたことほとんど無い」「返せた試しがない」という投稿が話題に。Xではとんでもない数を返却していないユーザーも出現しているが、運営企業はこういったユーザーにどう”対抗”しているのか。

 ChargeSPOTの場合、レンタル期間は120時間を上限にしており、120時間以内に返却しなかった場合にはユーザーに4,080円(利用料、違約金2,000円を含む)の支払い義務が生じる。低価格のモバイル充電器であれば購入できる金額設定だが、違約金を支払ったからといって、自分のものになるわけではない。7月11日には運営元であるINFORICHが、「利用後に返却していただけないケースがあることを、転売サイトやSNSなどで確認いたしました」とし、違約金発生後も「返却義務がございます」と、買い取りにはならないことを注意喚起し、返却を促している。

(参考:モバイルバッテリーの返却に関するお知らせhttps://chargespot.jp/article/5181/

 最近はモバイルバッテリーだけでなく、レンタル傘や電動キックボードや電動アシスト自転車などの電動マイクロモビリティのシェアサービスなどもあるが、これらのサービスではどのような対策が講じられているのか。

 傘シェアリングサービス「アイカサ」は、24時間140円で借りられるサービス。ビニール傘を購入するよりも安い値段で利用できることから、スポットの数は日本全国に拡大中だ。傘でよくあるのは、店先などの傘入れや電車での置き忘れ。アイカサでは万が一、借りた傘を紛失してしまった場合には、864円の支払い義務が生じるという規約があるため、うっかり忘れてしまうと違約金を支払うことになる。

(参考:アイカサ公式サイトhttps://www.i-kasa.com/terms

 電動マイクロモビリティのシェアサービス「LUUP」は基本料金50円に加え、1分当たり15円という安価な価格設定がウケ、近年利用者が激増。昨年7月に施行された改正道交法で、基準を満たせば16歳以上、運転免許なしで乗れるようになったことも、ユーザー数増加に一役買ったようだ。

 LUUPでは返却すべきとされている場所以外に返却した場合は30000円(駐停車禁止区域を除く※)の違約金の支払いを課しているほか、駐停車禁止区域に駐停車等した場合やモビリティに放置車両確認標章が取り付けられたとき、モビリティが放置されたものと運営企業が判断した場合には50,000円の違約金を請求する規定を定めている。モバイル充電器や傘に比べ、本体価格もグッと高くなる電動キックボードとあって、違約金もそれ相応のものになっていることがわかる。

(参考:LUUPのご利用料金についてhttps://support.luup.sc/hc/ja/articles/360051196234-LUUP%E3%81%AE%E3%81%94%E5%88%A9%E7%94%A8%E6%96%99%E9%87%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

(※LUUPでは、サービス提供エリア外の場所、法令等で駐停車等または走行が禁止されている場所、ポート以外の第三者が所有・管理する場所で所有者又は管理者が駐停車等を禁止している場所、歩行者・自動車その他の車両の通行の妨げになる場所、その他の駐停車等をすることが不適切であると合理的に判断される場所を「駐停車禁止区域」としている)

 いまやいろんなものが低価格で借りられるレンタルサービス。ChargeSPOTとアイカサの“購入するよりもちょっと高い”という違約金設定を安いとみるか、高いとみるかは人によって変わりそうだが、人々のモラルによって成り立っているサービスだからこそ、違約金も絶妙な価格設定なのかもしれない。

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