歌広場淳×くんぺー。「SFL 2024」開幕直前対談 出場全12チームの注目ポイント&見どころを語り尽くす

歌広場淳×くんぺー。「SFL 2024」開幕直前対談

 大のゲームフリークとして知られ、ゲーマーからの信頼も厚いゴールデンボンバー・歌広場淳による連載「歌広場淳のフルコンボでGO!!!」。今回は、フリーランスの声優・VTuberとして活動する“くんぺー。”こと山下薫平との対談を行った。

 『ストリートファイター6』(以下、『スト6』)の公式チーム制リーグ「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024」(以下、「SFL 2024」)の開幕を目前に控え、“日本一「SFL」に詳しい男”との呼び声が高い山下薫平に、今季のリーグの見どころや展望について歌広場淳が直撃。

 記事後半では、ふたりによる「SFL 2024」出場全12チームのレビューもお届けするので、観戦のお供や、推しチーム探しのために役立ててほしい。

“日本一「SFL」に詳しい男”の圧倒的情報量で「SFL 2024」を対策!

歌広場淳:この連載では格闘ゲームに関わるさまざまな方と対談させてもらっているのですが、今回は「SFL 2024」の開幕直前ということで、“日本一「SFL」に詳しい男”こと山下薫平さんをお招きしました!

山下薫平
山下薫平

山下薫平:本日はお声がけいただきありがとうございます! 会社経営の傍ら、フリーの声優や個人VTuberとして活動しています、“くんぺー。”こと山下薫平と申します。どうぞ、くんぺーと気軽に呼んでください(笑)。

歌広場淳:ありがとうございます! 僕がくんぺー。さんの存在を知ったきっかけは、プロゲーマー・えださんの動画でした。えださんが「プロゲーマーがSFL2024出場選手を本気で予想する【スト6】」という動画を上げていて、そこにくんぺー。さんが出演されていたんですよね。

 僕自身もかなりの「SFL」通だという自負はあったのですが、くんぺー。さんが持っている情報量はまさに圧倒的。僕だったらせいぜい、ここ1~2年の状況と照らし合わせて考えるようなところを、くんぺーさんは5~6年前くらいのデータまで引っ張ってきて分析するということをやっていたので、「そんな見かたもあるんだ!」って感動しちゃいました。

山下薫平:こちらこそ、対談のお誘いのメールをいただいたときは驚きました。びっくりしすぎて、「詐欺なんじゃないか!?」って(笑)。

歌広場淳:突然メールしちゃってすみません(笑)。そんなわけで今回は、いよいよ開幕となる「SFL 2024」の注目ポイントや展望について、“日本一「SFL」に詳しい男”にお伺いしていきたいと思います!

山下薫平:よろしくお願いします!

格ゲーでチーム戦、企業対抗の図式――「SFL」に魅了されたワケ

歌広場淳:じつはいま、「EVO 2024」(※1)の『スト6』部門トップ6が絶賛進行中(対談実施は7月22日)で、我々も横目で配信をチェックしながらお話しをさせていただいているわけなんですが……。この「EVO 2024」での戦いは、いわば「SFL 2024」のプレシーズンマッチと捉えることができますよね。

※1……「Evolution Championship Series」(EVO)。アメリカ・ラスベガスで年1回開催されている世界最大規模の格闘ゲーム大会(オープントーナメント)。

山下薫平:そうですね。昨年は先に「SFL 2023」が開幕してから、約1か月後に「EVO 2023」が開催されるというスケジュールでした。そういう意味で今年は、「SFL」開幕に先駆けて大きな大会がいくつもあるわけですから、各選手の仕上がりが見えておもしろいですよね。

歌広場淳:8月2日からは、サウジアラビアの「Esports World Cup」(※2)内で『スト6』部門もスタートしますよね。こうした個人戦のトーナメントがある一方で、「SFL」はチーム形式のリーグ戦だから、チームが勝てば個々人の敗北が帳消しになるようなこともあるじゃないですか。格闘ゲームというひとつのコンテンツを使って、さまざまな遊びかた、楽しみかたができるって素晴らしいことだなと思います。

※2……7月3日よりサウジアラビア・リヤドにて開催中のeスポーツ大会。賞金総額は6000万ドル。

 僕が思う「SFL」の魅力って、終わった後で振り返ったときに「リーグ全体が盛り上がって良かったよね!」というポジティブな空気感が生まれるところなんですよね。選手・関係者・ファンのみんなからそうした雰囲気を感じるというか。ちなみに、くんぺー。さんが「SFL」に注目するようになったのは、いつごろ、どんなきっかけだったのでしょうか?

山下薫平:じつは格ゲーを始めたのは『ストリートファイターV』(以下、『ストV』)の終盤からなので、格ゲー歴で言うと4~5年くらいなんです。「SFL」を観始めたのは2021年で、ちょうどその年から「SFL」の各チームのオーナーを企業が務める形式で開かれるようになったんですよね。

 やはり格闘ゲームは1対1の個人戦のイメージが強かったので、チームでリーグ戦をやるというのは衝撃的でしたし、企業がチームオーナーをするということで企業対抗戦のような図式になったのも、キャッチーでとっつきやすかったなと。

 僕は一度ハマったらとことんのめり込んじゃうオタク気質なので、「SFL」を観るようになってからは暇さえあれば「格ゲープレイヤーwiki」で選手たちのプロフィールを調べるようにもなり、ますます「SFL」で生まれるドラマに魅了されるようになっていきました。なかでも一番好きなのは「SFL 2021」で、ときど選手がウメハラ選手に対してバイソンを出したあの1戦ですね。

歌広場淳:ああ、あの裏切りのバイソンですね! ときどさんはそれまでずっとユリアンを使用していたのに、ウメハラさんとの試合で隠し玉的に温めていたバイソンをぶつけたという。

山下薫平:ホーム&アウェイルールをうまく利用したという意味でも「SFL」を象徴するような試合だったなと思いますし、展開としてもすごくドラマチックで、格闘ゲームの魅力が詰まった1戦だったなと思います。

歌広場淳:ときどさん対ウメハラさんの試合をきっかけに、いまや“日本一「SFL」に詳しい男”と呼ばれるまでにドハマリしてしまったと。でも初めて格ゲーに触れたのが2020年ごろというのは意外でした。格ゲー歴5年にして、これほどまでに深い見かたができるものなのか……と。

山下薫平:当時はコロナ禍で、格ゲーマーの方々の配信を目にする機会が増えて。みなさんの人となりを知って「おもしろそうな業界だな」と思ったことをきっかけに格闘ゲームに興味を持ちました。それと僕はフリーランスで声優をやらせていただいているので、格ゲーの大会実況なんかもおもしろそうだな、自分でもやってみたいなと。

歌広場淳:なるほど、キャスター業にもご興味があったわけですね。

「『スト6』での「SFL」が本格的に始まるのは、今年から」(山下薫平)

歌広場淳:「SFL」自体は『ストV』のころから開催されていましたが、『スト6』が発売されたことでリーグも転機を迎えていると思います。有名ストリーマーさんやVTuberさんの影響もあって大きな盛り上がりを見せた発売1年目のシーズンでしたが、この流れを受けて開催される「SFL 2024」はどんなものになると思いますか?

山下薫平:昨年の「SFL 2023」は『スト6』で開催される初めての「SFL」ということで、見守る側としては「これまでとは全然違うぞ!」という感覚になったかと思います。ただ今年の「SFL 2024」は、ともすれば昨年にも増して「違い」を感じられるシーズンになる予感がありますね。

 というのも、「ギルティギア」シリーズや『グランブルーファンタジー ヴァーサス』などのタイトルで活躍されていた、もっちー選手の参戦や、韓国のトッププレイヤーであるLeShar選手の来日参戦、さらには『スト6』の発売を契機に知名度が急上昇したts選手らの待望の参戦が発表されましたので。

歌広場淳:たしかに、「SFL 2023」はタイトルが『スト6』になったとはいえ、出場選手たちの顔ぶれはおなじみというか。実績十分のプロプレイヤーたちが順当に名を連ねていたわけですからね。

山下薫平:おっしゃるとおりです。そういう意味では、ついにこのタイミングで競技シーンとしての大きな“うねり”が到来しようとしているのではないかなと思っています。『スト6』での「SFL」が本格的に始まるのは、今年からだと言っても過言ではないかと。

 昨年に引き続き出場している選手のなかでも、いわゆる大器晩成型のプレイヤーはなかなか活躍できずにファーストステージで敗退してしまったということがあったかと思うのですが、今年は1年間かけてしっかり仕上げた状態でリーグに臨めますよね。

歌広場淳:いや、そうか……! 昨年は『スト6』の発売から1か月後には「SFL」が開幕して、みなさん手探り状態のなかでリーグを戦ったわけですもんね。たとえば、ガチくん、ももちさんのように、やりこみによる練習量、ゲームへの理解度の高さを武器にしているがゆえに「SFL 2023」では苦戦した選手たちは、「今年こそ!」と燃えているでしょうね。

大本命「Crazy Raccoon」、「広島 TEAM iXA」は台風の目……注目チームをピックアップ

歌広場淳:くんぺーさんのお話を聞けば聞くほど、「SFL 2024」の展開は読めそうにないなというか。本当にどのチームが優勝してもおかしくないなと期待が高まるところなんですが……。くんぺーさんが現時点で注目しているのはどのチームですか?

山下薫平:やはり最注目は「Crazy Raccoon」(クレイジーラクーン)ですね。まさに“大本命”と呼ぶにふさわしい、リーグトップクラスのポイントゲッターたちが集結するチームになっています。ちょっとこのデータシートを見ていただきたいんですけれども。こちらでは、「SFL 2023」に出場した各選手の勝率や獲得ポイントなどをまとめていまして。

 今回、「Crazy Raccoon」として出場することになった4名の選手たちで、前年の勝率を平均すると64.8%。前年の獲得ポイント数を合計すると360ポイントという、とんでもない数値になるんです。

歌広場淳:360ポイントなんてファーストステージを余裕で突破できるどころか、そのままぶっちぎりで優勝まで行けちゃうんじゃないのって感じですね……! 各チームで大将格を張ることが多かった選手たちが集まっているがゆえ(※3)、という部分はあると思うんですけど、それにしても平均勝率6割超えはすさまじいですね。

※3……「SFL 2023」での各対戦での獲得ポイントは、先鋒・中堅戦が10ポイント、大将戦のみ20ポイントとなっていた。

山下薫平:一方で、台風の目になりそうな予感がしているのが「広島 TEAM iXA」(ヒロシマ チームイクサ)です。A.K.I使い・ひかる選手、リリー使い・ひびき選手といったレアキャラ(使用人口の少ないキャラクター)使いを揃えていますし、ACQUA選手も「EVO 2024」で大活躍されていましたから、今年はなにか大きなことを成し遂げてくれるのではないかという期待感がありますね。

歌広場淳:じゃじいさんも、昨年は「SFL」初参戦ながら後半から勝率を伸ばしていって、場馴れもしたでしょうし。レアキャラ使いのおふたりに注目しがちですが、総合力の高さも申し分ないチームですね。

くんぺー。&歌広場淳が「SFL 2024」出場全12チームを徹底レビュー!

歌広場淳:「SFL 2024」の見どころや注目チームを伺ってきましたが、僕もくんぺー。さんもまだまだ語り足りないということで……。ここからは「SFL 2024」に出場する全12チームのレビューを、くんぺー。さんにお願いできればと思います。

山下薫平:よろしくお願いします!

【「SFL 2024」出場チームリスト】

●Division S
・Good 8 Squad
・Saishunkan Sol 熊本
・忍ism Gaming
・DetonatioN FocusMe
・名古屋NTPOJA
・FUKUSHIMA IBUSHIGIN

●Division F
・VARREL
・Crazy Raccoon
・CAG OSAKA
・広島 TEAM iXA
・Belc FAV gaming
・Yogibo REJECT

※ 「SFL 2024」は「Division S」、「Division F」の2ディビジョン制を採用。全12チームが6チームごとにわけられ、それぞれのディビジョンを勝ち上がった上位1チームずつがグランドファイナルで対戦し、優勝チームが決まる。

■Good 8 Squad(グッドエイトスクアッド)

山下薫平:昨年は惜しくもファーストステージ敗退となりましたが、その後、所属選手たちは個人としてさまざまな大会で好成績を収めていました。昨年からの成長率でいえば、全チーム中で随一だと思います。

歌広場淳:ある意味、“「SFL」から解き放たれる”ことで個人としての成長に集中できるという側面を体現したチームですよね。

山下薫平:新メンバーとして、ダルシム使いのYHC-餅選手が加わったことも大きいと思います。「SFL 2024」におけるダルシム使いといえば、「Yogibo REJECT」所属の鶏めし選手もいるわけですが、「Good 8 Squad」と「Yogibo REJECT」はディビジョンが違うので、選手たちはダルシム対策を相互にできてしまうんです。

歌広場淳:「相互に」とはつまり、「Division S」の方々は鶏めしさんを誘ってダルシム対策をするし、「Division F」の方々はYHC-餅さんを誘って……と。実質的に、YHC-餅さんの“鶏めしさん攻略”と、鶏めしさんの“YHC-餅さん対策”の、どちらが上回るかという勝負が行われるわけですね。

■Saishunkan Sol 熊本(サイシュンカン ソル クマモト)

山下薫平:先ほど、僕が“『スト6』の「SFL」が本格的に始まるのは、今年からだ”と言った理由のひとつには、昨年の「SFL」に参加していなかったウメハラ選手が、「Saishunkan Sol 熊本」のメンバーとして待望の参戦を果たしたことがあります。

歌広場淳:そうそう! やっぱりウメハラさんの参戦はうれしいです。極端なことを言えば、「『スト6』は知らないけどウメハラさんのことは知っている」って方が大勢いらっしゃるほどに、唯一無二の存在感を持っている方なので。

山下薫平:昨年は3位ということで、本当に悔しい思いをしたと思います。さらにエース格のShutoさんが移籍とのことでチーム編成も気になっていたんですが、フタを開けてみればウメハラ選手、ふ~ど選手が加入と、なにがなんでも優勝を取りにいくんだという意気込みがうかがえます。

歌広場淳:メンバー全員がラスボス級ですね。

■忍ism Gaming(シノビズム ゲーミング)

山下薫平:長年同じメンバーでリーグに出場している老舗チームですが、昨年は“頭領”たるももち選手がセカンドステージでまさかの0勝と、苦戦することになりました。

歌広場淳:驚きでしたよね。「あの、ももち選手が!?」ってみなさん衝撃を受けたと思うんですけど、直近の「第5期 TOPANGA CHAMPIONSHIP」(※4)や「EVO 2024」では大活躍していましたし、今年はなんの不安もないと言ってもいいのではないでしょうか。

※4……招待選手と予選通過選手による個人戦リーグ。大会主催は株式会社CELLORBが展開する「TOPANGA」。

山下薫平:ももち選手が不調ながらあれだけの戦いぶりを見せていた「忍ism Gaming」なので、ももち選手がエースに復権した暁にはどうなってしまうんだろうという恐ろしさすらあります。

■DetonatioN FocusMe(デトネーション フォーカスミー)

山下薫平:昨年は、大事な試合で抜群の安定感を見せていたふ~ど選手がとくに注目を集めていたと思うのですが、ふ~ど選手が移籍し、まちゃぼー選手を新たに迎えました。ただ、あらためて昨年の勝率を見直してみると、ふ~ど選手以外の3名もかなりの勝率を誇っていて、しっかりと勝ちきれるメンバーが揃っているんですよね。

歌広場淳:さすが、昨年度準優勝チームは伊達じゃないと。

山下薫平:バトルバランス調整でザンギエフが強化を受けたことも、チームリーダーの板橋ザンギエフ選手にとっては追い風ですね。これまではキャラクター相性的に起用しづらい場面も多くあったように見受けられるのですが、今年は格段に出番が増えそうな予感がします。

■名古屋NTPOJA(ナゴヤエヌティーピーオウジャ)

山下薫平:昨年からメンバーを大幅変更。他タイトルから主戦場を移して「SFL」初参戦となるもっちー選手を筆頭に、不気味な存在感を持っているチームです。抜群のコーチング能力を持つ立川選手を擁しているので、「立川選手のサポートのもと、もっちー選手が『スト6』を攻略したらどうなるのだろう?」と期待せざるを得ません。

歌広場淳:もっちー選手のサポートに関しては、きっとタチ(立川)も使命感を持って取り組んでいるんだろうなと想像しちゃいますね。

山下薫平:立川選手と大谷選手という、愛されキャラのおふたりをセットで獲得したことも大きいのかなと思います。もちろん、実力も折り紙付きですし。

歌広場淳:僕の視点で言うと、「名古屋NTPOJA」には女の子ファンが多くつきそうだなと思います。立川&大谷コンビって、ずっと見ていたくなるような魅力があって、若い女性に刺さる感じなんですよね。

 あと、これはチームレビューと関係ないお話なんですけど、「名古屋NTPOJA」さんは早い段階から「SFL 2024」に向けたトライアウト大会をやってくれたことに個人的に感謝しています。結果的にトライアウト大会の上位入賞者から「名古屋NTPOJA」へのメンバー入りはなかったわけだけど、あの大会のおかげで新たなプロライセンス獲得者が増えたし、「SFL」への新たな挑戦者の門戸を開く流れを生んでくださったと思っているんですよね。

■FUKUSHIMA IBUSHIGIN(フクシマ イブシギン)

山下薫平:正直、“台風の目”枠として「広島 TEAM iXA」と「FUKUSHIMA IBUSHIGIN」のどちらを挙げるかは非常に悩みました。翔選手は言わずもがな、昨シーズンは個人として圧倒的な成績を残していて、今回がリーグ初参戦ながら絶対的エースとして活躍できるポテンシャルを持っていると思います。

 逆に翔選手以外の3名は、いずれもリーグ経験者なので安心ですし。チームとしてパブリックビューイングやファンミーティングを積極的に開いていて、地域密着でPRをがんばっていらっしゃるので、愛されるチームだなと感じます。

歌広場淳:僕は「SFL」って最終的には地域創生につながると思っているので、「FUKUSHIMA IBUSHIGIN」の取り組みには注目しています。優勝したら地元の商店街で凱旋パレードとかやってくれないかなと(笑)。そんな風に、地域に根ざして盛り上がっていってほしいですね。

■VARREL(ヴァレル)

山下薫平:前年にチーム「魚群」として出場したマゴ選手、水派選手、もけ選手が、チーム統合に伴い「VARREL」に移籍。そこに新加入・だいこく選手を加えた4名での出場となっています。だいこく選手は「SFL」初参戦ですが、格闘ゲームコミュニティでは長年活躍されてきた方なので、実力面やコミュニケーション面ではまったく問題ないと思いますね。

歌広場淳:このチームは、究極的にはマゴさんがどうチームをうまくまとめるかだと思うんですよね(笑)。だいこくさんの実力はもう間違いないんですけど、初参戦ということで必ず「SFL」の洗礼を浴びる瞬間がどこかであると思うんです。そのあたりを、どうチーム全体としてサポートしていくかに注目していきたいですね。

山下薫平:「魚群」が「VARREL」に統合されたことで、チームのサポート体制もより充実したようですね。あと、「VARREL」のみなさんはいずれも強力なキャラクターを使用していて、ここと対戦するチームはキャミィ対策を強いられるという点でも手強いチームだと思います。

歌広場淳:シーズン2で評価が高いキャミィの使い手たち(※5)が、「VARREL」に集中しているんですよね。

※5……マゴ選手はサブキャラとしてキャミィを使用している。

■Crazy Raccoon(クレイジーラクーン)

山下薫平:先ほど注目チームの話題でも触れましたが、本大会の大本命チームです。

4名とも格ゲー業界で数々の実績を上げてきていて、“勝ちかた”を知っている方々なんですよね。

歌広場淳:本命すぎて逆に不安になりますよね。本当にこれ以上ないチーム編成というか、野球でたとえたら巨人軍みたいな。こんなことを言っておいて野球は詳しくないので、もし的外れだったら申し訳ないんですけど。

山下薫平:そのたとえは間違っていないかもしれないです(笑)。これまでの「SFL」では、「FAV gaming」(今季は「Belc FAV gaming」として出場)が毎回スター選手を集めて注目されていましたが、今年は「Crazy Raccoon」がその立場になったと言えます。

歌広場淳:当然周囲のチームも警戒するでしょうから、“Crazy Raccoon包囲網”のようなものが形成される可能性も大いにありますよね。

■CAG OSAKA(シーエージー オオサカ)

山下薫平:長年チームの顔役として活躍してきた、どぐら選手。助っ人として前年大活躍した、かずのこ選手。この両名の移籍に伴い、えいた選手、うりょ選手が加わりました。

歌広場淳:えいたさんは前年、「CAG OSAKA」の選手として「SFL」に出場こそしなかったものの、持ち前の情報収集能力やアドバイス能力の高さを活かして、裏でチームを強力にサポートしていたようなんです。

 今回、えいたさんが選手として参戦することになり、プレイヤーのモードにうまく切り替えることができるのか、大局的な視点が失われてしまわないのか、という点は気になっています。

山下薫平:うりょ選手は、言わずもがな『ストリートファイターIV』時代にトッププレイヤーとして活躍されていた方ですし、『スト6』においても得意の攻め能力を遺憾なく発揮してくださるんじゃないかなと思います。

歌広場淳:願わくば序盤にポイントを稼いで、チームとして一気に波に乗ってもらいたいですね。

■広島 TEAM iXA(ヒロシマ チームイクサ)

山下薫平:“勝敗だけでなく魅せる試合を展開する”というチーム方針のとおり、今回もレアキャラクター使いを揃えた「広島 TEAM iXA」。A.K.I使いのひかる選手、リリー使いのひびき選手とも、そのキャラクターの第一人者的な高い実力を持っているので、対策面も含めて手強い構成となっています。

歌広場淳:ひかる選手クラスのA.K.I使いや、ひびき選手クラスのリリー使いなんて探そうと思ってもなかなかいないから、彼らの対策をするには彼ら本人と対戦するしかないんですよね。

山下薫平:「Division F」に振り分けられたチームは、「広島 TEAM iXA」と対戦するときのためだけにA.K.Iやリリーの対策を強いられることになるので、非常に対策コストが高いチームだと思います。

歌広場淳:苦労してA.K.Iやリリーの対策をして、それで本番ではふたりのどちらかが出てこないという可能性すらあるんだから、対戦するチームとしては嫌ですよね。本当にオーダーが読みづらい。

■Belc FAV gaming(ベルク ファブゲーミング)

山下薫平:前年覇者チームです。前回から顔ぶれが大きく変わりましたが、揃ったメンバーを見れば貫禄は十分と言いますか。1年目のシーズンで結果を残しまくった、りゅうきち選手、ts選手を迎えて連覇を狙います。

歌広場淳:りゅうきちくん、tsさんは今年の「SFL」に絶対出てくるだろうとみんなが思っていましたよね。おふたりともケン使いですけど、tsさんは豪鬼も使える。sakoさんも豪鬼と春麗の2キャラクターを使用するので、意外と道着使いが集まるチームになっていると。

山下薫平:りゅうせい選手に関しても、前回は大事な試合やグランドファイナルの要所などでの起用が目立って、ご本人としてもかなりの経験値を積めたと思うんですよね。そして今年は、ストーム久保さんを専属コーチに迎えてもいますから……。

歌広場淳:あれはビックリしましたよね! りゅうせいさんが、「広島 TEAM iXA」の元選手で現役を引退されたストーム久保さんとコーチング契約を結んだという。

山下薫平:ストーム久保さんは個人的にも大好きな方ですし、今回は古巣の「広島 TEAM iXA」と間接的に戦うことになるという点でも注目したいと思います。

■Yogibo REJECT(ヨギボーリジェクト)

山下薫平:選手層の厚さに関してはこちらも文句なしのチームです。大本命としては「Crazy Raccoon」を挙げましたが、「Yogibo REJECT」も間違いなく優勝候補だと思います。

 ときど選手(「Belc FAV gaming」から移籍加入)、鶏めし選手(「名古屋NTPOJA」から移籍加入)をはじめ、あきら選手もこのタイミングで兼業プロから専業プロになりましたし、LeShar選手も韓国からの来日参戦と、皆さんプレイヤーとしての転換点を迎えたなかでの参戦となっています。

歌広場淳:やはり、こく兄(「REJECT」格闘ゲーム部門プロデューサー)は出てこなかったか(笑)。なにかにつけて、言葉巧みにぼかしてきてはいたんですよね。ただ、ハイタニさん(「REJECT」所属ストリーマー)の「SFL」参戦は本気であり得るかもと思っていました。

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