にじさんじ随一のFPS強者、ローレン・イロアス 活動の軌跡から考える「エデン組とプロフェッショナリズム」
エデン組が求める「プロフェッショナリズム」
周囲との和を重んじながらユーモアある性格で盛り上げつつ、ゲームでは持ち前のゲームスキルの高さで周囲を圧倒。喋りでもゲームでも注目を集めやすい彼の下には、にじさんじ内外を問わず非常に多くの友人が集まることになった。
特ににじさんじ外のストリーマーたちが集まるサーバー企画においてはこの傾向が顕著であり、k4sen、ボドカ、ふらんしすこ、rion、じゃすぱー、SellyといったFPSタイトル出身のストリーマーにくわえて、歌い手としても活動している天月やnqrse、さらに最近では参加型サーバー企画『ストグラ(ストリートグラフィティ ロールプレイ)』にも参加し、持ち前のコミュニケーション力とユーモアで多くの参加者に知られる存在となった。
実際ここ1年ほどのローレンの配信を振り返ってみると、ローレン1人での配信よりも、複数人でのコラボ配信や参加型サーバー企画や大会などの配信が主になっており、多くの人達との信頼関係のなかにおいて活動が続いているといっても過言ではない。
とはいえ、彼にはすこしだけ他の面々とは違った経緯で信頼できるメンバーがいる。
エデン組、ローレンの同期であるレオス、オリバー、レインのことだ。
エデン組の4人は自身の配信の中で、同期に関して特別な言葉を口にすることは少ない。コラボ配信が前後にあったり、にじさんじ公式の企画やグッズなどで共にすれば一言二言話題に上げるが、基本的には話に上げることはない。
一方で、ひとたび顔を合わせればどんなに脈絡のないボールを投げてもキャッチしてしあえる、阿吽の呼吸・コンビネーションを見せることもある。むしろ彼らの場合、「雑魚ダウン!」などといった煽り合いに罵りあいが多かったかもしれない。最初のコラボ配信の段階からこうした傾向は見え隠れしており、早い段階からいまに繋がるコミュニケーションがなされていた。
デビュー当初は「今後いったいどのようなチームワークを見せてくれるのか」と想像を巡らせたファンも多かったはずだ。
そういったなかで、各々の活動に影響を与える激震が走ったことがある。
2022年2月末にローレンが不祥事により数ヶ月の活動休止し、8月には4人の同期としてデビューしたアクシア・クローネが活動休止、その後卒業したのだ。この2つの出来事により、「エデン組は配信上で集結しづらいかもしれない」と感じていたファンもいたはずだ。
だが、2023年9月16日に動画企画「エデン組、富士山を登る」が投稿されると、9月22日には記念すべきローレンの3Dビジュアルお披露目配信に4人が登場、先述したコラボ配信『僕らはいつも以心伝心!?エデン組で一致するまで終われまテン!!』が10月13日におこなわれた。ローレン復帰後から数えて、実に1年半ぶりに4人が一同に介したのだ。
そこにいたのはデビュー時に見せていたように、軽快にしゃべりつづけ、煽り合いと罵りあいで笑い合い、勇気づけ合う4人の姿だった。
4人がそれぞれにやりたい活動や「こうありたい」という理想があり、そのなかでひたむきに努力する働き者であることは、今回の記事を含めて4週連続で記してきたエデン組の足跡からアリアリと伝わってくるだろう。
だからこそ、とある時期から「エデン組」はコラボ配信をしない、正確にはできなくなってきたといえる。今回ピックアップしたローレンに関して言えば、活動休止となったタイミング直前あたりから、VTuberやFPS系ストリーマーが多く参加するゲーム大会やサーバー参加型企画に顔を出し始めており、さまざまな面々と交流を深めつつあり、ほか3人についてもそれぞれが自身の活動に注力していたタイミングであったのだ。
くわえてアクシアが卒業して年が明けた2023年以降は、エデン組の4人は猛烈かつ怒涛の勢いで所狭しと活躍していくことになる。
にじさんじ内の大小さまざまな企画・大会には4人のうち必ずといっていいほど誰かが登場し、エデン組4人全員が何かしらの番組でMC・ナレーションとして出演。くわえてにじさんじ外で開催される大会・参加型企画、大手企業とのコラボレーショングッズやショップが展開され、さらにはテレビやラジオにライトノベルなどのオリジナルコンテンツにも参加している。
4人が活動の裏側でなにを話し合い、なにを決意したかを詳しく計り知ることはできない。だが4人には共通した方針・フィーリングがあるのではないかと、筆者は考えている。
それは、VTuberを「エンターテインメントのプロフェッショナル」へと押し上げようとするスタンス・理想の追求である。
先に書いたローレンの炎上と復帰に際して、オリバーとレオスはこのように言葉を述べていた。
「彼がしたことに関して擁護するつもりは僕は一切ありません」
「色んな人にたくさんの迷惑をかけたし、その事についてはきちんと反省を示さなくてはならない」
「僕がその事についてイジったりすることは絶対ないし、触れることは今後一切ない」
「でも戻ってきてくれたからにはすごく頑張ってほしいし、起きてしまったからには100%は無理かもしれないけど、一緒に笑えたら嬉しいなと個人的には思う」
(オリバー)
「ローレンが復帰して一ヶ月くらいだけど、基本的な考えはオリバーくんと同じ。ずいぶん優しい言い方してあげるのね、と」
「私も仕事で色々やっている部分があって、今後の諸々の事情を考えたら遅いよりも速いほうがいいのかもしれないなということで、あくまで個人的な考えに基づいて今回コラボする」
「ただ、どんどん続いてコラボやってるからといって、全員が全員そう(同じ考え)ではない。そういう点でも皆さんご理解していただいたうえで、コラボの方をご視聴していただければいいかなと」
(レオス)
このように、当時の2人からは厳しくも優しい言葉が語られている。ネガティブではなくポジティブを。悲しい顔ではなく笑った顔を。堂々としながら突き進む真摯さを。そんなスタンスを持って言葉を発したのならば、「趣味の延長線上」などではなく、「結果を生み出す仕事人(プロフェッショナル)」としての色合いが非常に強く見えてくる。
先ほどの2人の言葉を俗っぽく言い換えれば、「不甲斐ないローレンのケツを叩いた」と言ってもいいだろう、そしてその後のローレンの活躍は前述した通り。VTuberをエンターテイメントのプロフェッショナルへと押し上げんと追求していく心が、エデン組4人には共通している。
バラバラのフィールドで活動を続け、得意なジャンルも大きくは被らない4人は、「にじさんじ」の看板をそれぞれが背負いつつも、もしかすれば今後揃って配信に登場したり、ふだんの配信中に名前をあげることも、話題に上げることも少ないままなのかもしれない。
だが、誰よりも厳しくて優しい、なにより頼りになる存在が同期として揃っていることが、彼らにとってかけがえない財産であることは間違いない。そんな信頼関係が、リスナーとだけではなく、エデン組4人を結びつけているのだ。
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