『祇:Path of the Goddess』の“原点”とは いまこそ『深世海 Into the Depths』をオススメしたい
作風を継承した『祇:Path of the Goddess』の発売は新たなブランドの誕生に繋がるのか?
トガった部分もあれど、そこを素直に味わえて、海底探検という独自性の高い体験が楽しめる良作。それが『深世海 Into the Depths』であり、数少ないカプコンの探索型アクションゲームのなかでも、個性と面白さを適度なバランスで両立させた作品だ。
また、そのビジュアルの通り、本作はカプコンのゲームとしては珍しく、雰囲気作りにも独自のこだわりが現れた作品でもある。
「ロックマン」シリーズのコミュニティサイト「ロックマンユニティ」掲載のインタビューによれば、もともと、『深世海 Into the Depths』は小規模なプロジェクトとして始まり、制作メンバーも少人数だったという。
ゆえにディレクターの川田氏もキャラクターデザインなど、多岐に渡って担当されたとのことで、結果としてクリエイターとしての色が強く現れたのだろう。
※参考リンク:2Dアクションファンにおススメ『深世海 Into the Depths』ディレクターインタビュー
そんな『深世海 Into the Depths』だが、作中のストーリーは1作をもって完結することから、以降の新展開を望むのは際どいところがあった。
しかし、その作風と精神を継承した作品としてこのたび、『祇:Path of the Goddess』が発売。実質、『深世海 Into the Depths』の血筋が継承され、続く形となった。
『祇:Path of the Goddess』はアクションストラテジーゲームで、『深世海 Into the Depths』とは完全な別物である。しかし、独特なセンスが炸裂したグラフィックとエフェクト、それを活かした雰囲気作り、そして言葉(セリフ)であまり語らないストーリーと演出は、紛れもなく『深世海 Into the Depths』の系譜。英語のサブタイトルが付けられている点でも同じである。
こうした展開を見ると、ひとつの未来を期待せざるを得ない。同じ作風を持った作品にひとつのブランド名が付けられ、新たなカプコンの看板タイトルとして成長・発展していくというものだ。
そのようなブランドとしてのシリーズ名が付けられ、新作が展開されていった例としては、過去にも他社作品になではあるが、『伝説のオウガバトル』に『タクティクスオウガ』といった「オウガバトルサーガ」がある。少しマイナーだが、当初は独立した作品として数作展開されながら、後に『Dept. Heaven Episodes(デプト ヘブン エピソーズ)』というシリーズ名が付けられて統合された、スティング作品(※)のケースもある。
※『Riviera ~約束の地リヴィエラ~』『ユグドラ・ユニオン』『ナイツ・イン・ザ・ナイトメア』『グングニル -魔槍の軍神と英雄戦争-』のこと。このうち、『グングニル』を除く3作品はNintendo Switch、PC、スマートフォン向けにHDリマスター版が販売中。
『深世海 Into the Depths』と『祇:Path of the Goddess』も、いずれはそうした名が付けられるのか? こうして、系譜がつながる展開が起きたからこそ、その新展開には自然に期待してしまうところだ。もし、そうなればカプコンの数ある看板タイトルのなかでも、珍しい立ち位置になる可能性が高いゆえ、そのような未来の到来に期待したい限りだ。
とは言え、『祇:Path of the Goddess』が発売されて間もない現時点でが気の早すぎる話。いまはただ、『祇:Path of the Goddess』を堪能しつつ、この種の作品の次なる一手を待ちたいところだ。
そして、『深世海 Into the Depths』もまだ遊んだことがないという方は、この機会にお試しいただきたい。惜しまれるのが、本稿執筆時点ではNintendo Switch以外で展開されていないことだが。こうも個性的なゲームを遊べる環境が限定的になってしまっているのはちょっともったいない。それについても今後、さらなる広がりがあることを願う。
なお、最後になったが、これから『深世海 Into the Depths』を遊ぶに当たっては、ヘッドホン、もしくは有線イヤホンの装着を強くおススメする。
本作は楽曲、効果音ともに本当に水の中にいるかのような気分に浸れる、独自性の強いもので、それも魅力のひとつとなっているからだ。なので、ぜひヘッドホン装着のうえでお試しいただきたい。
「だったら、よりよいヘッドホンを探したい!」と思ったのなら、リアルサウンドテックでは最新のヘッドホン紹介とレビューも行っているので、そちらもぜひ参考に。
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