最近のゲームに“リメイク作品”が多い理由は? 専門家に聞く

リメイク作品が“好循環”を生むために

――「リメイク作品は別段多いわけではない」という話でしたが、今後もリメイク作品は同じペースでリリースされそうですか?

中川:はい。昔ながらのコンテンツがあの手この手でリメイクやリブートを重ねていくのはゲームに限らず今やエンタメビジネスの当たり前の状態になっていますし、特にゲームの場合は数年単位でハードやプラットフォーム環境が変化していくので、常に最新の環境で往年の名作を遊べるようにしたいという需要は当面、一定の規模で発生し続けていくのだと思います。現在の高度化したゲーム環境では新作ソフトの開発コストは大きく高騰してしまっているので、リスクの大きな未知の新作よりも、過去の有力なIP資産をもつゲーム企業が収益の基盤をリメイク作に置く傾向は、ビジネスとしてはやむをえない状況でしょう。

――30〜50代以上の層をターゲットにできることも大きそうですね。

中川:そうですね。ちょうど団塊ジュニアからミレニアル世代なので人口ボリューム的にも社会の多数派で購買力も高いですし、次々と新作タイトルがリリースされてしのぎを削ってきた1980〜2000年代くらいのゲームの高度成長期を原体験として持っているので、今後20年くらいはなんだかんだでゲーム産業にとってのパトロン的な購買者であり続けるはずです。そうしたベースラインが健在なうちに、リメイクやリブートを通じてもともとの作品を知らない若い層にも既存IPを文化的な伝統や教養として世代継承していきつつ、その売上を常に新規タイトルにも挑戦していける環境づくりへと回していけるような循環構造を作っていくという意識が、いまのゲーム産業には求められているのだと思います。

 まあ、少子高齢化で市場のパイ全体が縮小していく流れ自体は避けられないですし、新規の挑戦に還元できるリソースは「失敗しても取り返しのつく規模」にならざるをえないとは思いますが……。

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