HD-2D版『ドラクエ3』発売日決定と『ドラクエ1&2』のサプライズ発表 順序が示唆するのは“次なるリメイク”か?
6月18日、任天堂の新作情報番組「Nintendo Direct 2024.6.18」のなかで、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、『ドラクエ3』)HD-2Dリメイク版の発売日が明らかとなった。
発表以降、動向が注目され続けてきた同タイトルは、ファンの期待に応える復刻版となるだろうか。発売日の決定とともに公開された新たな情報から、その可能性を読み解く。
RPG史にその名を刻むシリーズ屈指の人気ナンバリング『ドラクエ3』
『ドラクエ3』は、人気RPG「ドラゴンクエスト」シリーズのナンバリング第3作。1988年にファミリーコンピュータで発売され、ゲームショップに大行列を作るなどの社会現象を巻き起こした、誰もが知るジャンルの金字塔だ。プレイヤーは地球をモチーフにしたと考えられる世界を舞台に、主人公とその仲間たちを操作し、悪の根源である魔王バラモスの打倒を目指す。
特徴的なのは、勇者以外のパーティーメンバー3人を自由に選べるシステム。同作における最初の街・アリアハンには「ルイーダの酒場」と呼ばれる冒険者の集う場所があり、プレイヤーはそこで自身の好みにあった仲間をパーティーへと迎え入れることになる。シリーズファンにはおなじみの「ダーマの神殿」が初登場したのもこの作品。冒険の最初に選んだ仲間たちはここで「転職」を行うことで、新たな個性を獲得し、より心強い味方となっていく。
そのような画期的なシステムから、発売から35年以上が経った現在もなお、シリーズ屈指の名作に推す声が大きい。後発のRPG作品にもさまざまな面で影響を与えていると考えられるのが『ドラクエ3』である。
同作がリメイクされるのは、スーパーファミコン版(1996年発売)、ゲームボーイカラー版(2000年発売)に次ぎ、今回で3度目。発表では、シリーズ第1作『ドラゴンクエスト』(以下、『ドラクエ1』)と第2作『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(以下、『ドラクエ2』)が1タイトルとしてHD-2Dリメイク化され、2025年に発売となることも新たに明かされた。
『ドラクエ3』HD-2Dリメイク版は、2024年11月14日発売予定。対応プラットフォームは、Nintendo Switch、PlayStation 5、PC(Steam)で、価格はパッケージ/ダウンロードともに税込7,678円となっている(※)。
※ソフト単体のほかに、特典が付属した商品も複数展開されている。詳細は公式ウェブサイトを参照のこと。
新たな職業「まもの使い」と見られる姿が話題に
2021年5月に配信されたシリーズ35周年記念の特別番組でその存在が明らかとなった『ドラクエ3』のHD-2Dリメイク版。各所から期待の声が寄せられた一方で、続報はまったくなく、その後の動向に注目が集まっていた。そのような経緯も後押しし、SNSでは発表直後からトレンド入り。映像に盛り込まれた新たな情報が話題を集めた。
なかでも最もわかりやすかった変化は、グラフィックと音楽の進化だろう。これまで二度にわたりリメイクされてきた『ドラクエ3』だが、そのグラフィックは過去作と比較しても大幅にパワーアップ。現代に発売されるタイトルとしてまったく見劣りしないクオリティとなっていた。スクウェア・エニックスの浅野チームによる開発ということで、「ブレイブリーデフォルト」「OCTOPATH TRAVELER」といったシリーズのグラフィックと比較したファンも多かっただろう。バトル映像では、おなじみのコマンド操作中、モンスターと戦う仲間たちの姿が見られる仕様も確認できた。この点も操作キャラクターへの愛着を増幅させるポジティブな変化となるに違いない。
また、映像には、東京都交響楽団の演奏による音楽が合わせられていた。その壮大で美しい音色に心を奪われた方も多かったのではないか。もしゲームのプレイ中にもあのようなクオリティでBGMが流れるのだとしたら。この点もまた、今回のリメイクにおける変更点の目玉となっていくはずだ。
一方、映像とは別のところで注目を集めていたのが、同時公開されたパッケージ版の特典内容である。「数量限定 ドラゴンクエストIII そして伝説へ… 勇者と旅の仲間コンプリートセット」に付属する「キャラクター&モンスターアクリルブロック コンプリートセット」のなかに、オリジナル版や過去のリメイクには存在しない職業の姿があることが話題となった。その風貌は『ドラゴンクエストX オンライン』に登場する「まもの使い」の姿に酷似するという。まだ公式に発表はされていないため、憶測の域は出ないが、今作の新要素として「まもの使い」と見られる新たな職業の実装がほぼ確定的となった。
そうすると気になるのが、その職業がどのような個性を持っているかについてだ。シリーズと「まもの使い」の関係性から最も想像しやすい仕様は、モンスターを仲間にできるシステムだろう。『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』や派生シリーズ「ドラゴンクエストモンスターズ」などで好評を集めた同システムが、そのまま『ドラクエ3』に導入されるのか、はたまた個性とぶつからないよう別の形で融合するのか。いずれにしても、今後の続報から目が離せない“はみ出し情報”となったことは間違いない。
次にリメイクされるのは『ドラクエ6』か?
先述のように配信では、『ドラクエ3』HD-2Dリメイク版の発売日とあわせ、シリーズ前作・前々作にあたる『ドラクエ1』『ドラクエ2』のHD-2Dリメイク版が開発されていることも明らかにされた。一見すると、シリーズ内での人気からこの順序になったようにも見える両作の発売時期。しかし、そこに描かれた物語を踏まえると、別の意図も見えてくる。
数字上は後発のナンバリング作品となっている『ドラクエ3』だが、シナリオの時系列では『ドラクエ1』『ドラクエ2』より古い時代の話であることがシリーズファンのあいだでの定説だ。実際のクリアタイムを争う競技・RTA(リアルタイムアタック)では、スーパーファミコン以前に発売されたナンバリング6作が、物語の順序に基づく形でプログラム化され、リレー種目となることも珍しくない。つまり、今回の復刻順は、シナリオの時系列に従ったものということになる。実際にシリーズの生みの親である堀井雄二氏は配信のなかで、「3→1→2の順番でプレイしてもらうと、『あっ!』と驚く展開が待っています」と明言している。この発言はもしかすると、まだ未発表の作品に対する伏線であるのかもしれない。
一方でそうしたシナリオの時系列を踏まえると、次にリメイクされるナンバリング作品の姿も浮かび上がってくる。物語の順序において、『ドラクエ3』『ドラクエ1』『ドラクエ2』に続く作品。それは『ドラゴンクエスト6 幻の大地』(以下、『ドラクエ6』)である。同作もまた上述の3作品同様、過去に一度だけニンテンドー3DSでリメイクされているが、それも15年近く前のこと。ファンのあいだでは、スーパーファミコン用ソフトとして歴代3位の販売数を誇りながらも、ハードの進化とともに歴史のなかに埋もれつつある往年の人気ナンバリングの復刻を望む声が小さくない。もし『ドラクエ6』がリメイクされるとなれば、『ドラクエ1』『ドラクエ2』のサプライズ発表に勝るとも劣らないインパクトを界隈に与えるに違いない。今回の復刻順に、そうした淡い期待を抱いてしまったのは私だけだろうか。
とはいえ、そのような未来はまだ先のこと。まずは既発の3作品に盛り込まれた進化に酔いしれたいところだ。『ドラクエ3』HD-2Dリメイク版の発売まではあと5か月ほど。今後は次々と新たな情報も明らかとなってくるだろう。同タイトルはファンの大きな期待に応えられるか。動向を注視していきたい。
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