遊び心を日常に ゲーミング×デイリーユースの融合スマホ『ROG Phone 8 Pro』徹底レビュー

 『ROG Phone 8 Pro』徹底レビュー

「ROG Phone 8」シリーズのゲーミングスペックは日常使いでどう映える?

 ROG Phone 8シリーズのキャッチコピーは「ゲームは日常というフィールドへ」となっている。ゲーミングというと未来っぽさや七色ライトを想像しがちだが、そうではなくもっと日常生活に存在するスマホになろうとしているのが本機だ。

ROG REVIEW

 デザインについてみていくと、その姿勢がよく感じられる。例えば発光する『Anime Vision』は便利でユニークだが、光らせたくないという人もいるだろう。そんな時は設定からオフにすればOK。光っていないときにLEDが目立たないというのが、デザインとしてもよく考えられている。実際、光らせないで使えば普通の黒いスマホにしか見えないだろう。FeliCaや無線充電への対応も、デイリーユースにはありがたい。

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 一方で使い心地やソフトウェアの面では、スペックの高さによるサクサク動作を実感できる。今回試用している『ROG Phone 8 Pro』は、SoCにSnapdragon 8 Gen 3を搭載し、16GBのRAMと512GBのストレージを搭載している。参考までに、iPhone 15 Pro MaxのRAMは8GB、今春登場したサムスンのフラッグシップスマホ『Galaxy S24 Ultra』のRAMは12GBだ。

 こうした高いスペックはゲームプレイを想定したものではあるが、アプリの起動やブラウザのスクロールといった一般的な用途でももちろん活躍してくれている。ある意味でやり過ぎスペックというか、ポルシェで近所のコンビニまで出かけるような贅沢体験ともいえる。

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 日常スマホとして使うなら、カメラ性能も重要。本機のカメラ構成は50MPの広角(メインカメラ、35mm換算で23.8mm相当/F値1.9)+13MPの超広角(12.7mm相当/F値2.2)+32MPの光学3倍望遠(65.3mm相当/F値2.4)のトリプルレンズとなっている。上のオムライスは広角カメラで撮影したが、暗所ながらシズル感も良い。

 また、上記のメインカメラのレンズのみ、6軸のジンバルモジュールが搭載され強力な手ぶれ補正が実現している。正直、この広角っぷりであれば手ブレの恩恵はあまり感じないが、ロスレス2倍ズーム時はジンバルのおかげで片手持ちでも安定した写真が撮影できた。

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 超広角は画角120度で自動歪み補正アリ。さすがに四隅は流れているが、不自然な歪みは出ていない。個人的には常用できる画角と画質だと感じた。

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 望遠カメラモードで遠くの鳩を撮影してみたが、羽の質感やおなかのモコモコ感もよく捉えられている。こちらにも手ぶれ補正が付いている。

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 『HyperClarity』による10倍デジタルズームを使えばここまで寄れる。さらに最大30倍までデジタルズームが可能だが、画質的にはこのあたりが限度だろう。

 正直、カメラ性能についてはスタンダードな印象だが、前モデル『ROG Phone 7 Ultimate』は望遠レンズをもっていなかったため、そこを抑えただけでも日常スマホを意識するようになったといえるだろう。旅行先や動物園などに持っていっても、より幅広い撮影が楽しめるはずだ。

さらなる冷却で処理性能を大幅アップ

 ここまで『ROG Phone 8 Pro』のデイリーユースを紹介してきたが、もちろんゲーム性能も進化している。伝導熱の利用やSoCの直上に急冷用ヒートシンクを搭載するなどの新機構により、冷却性能は前モデルから20%向上。

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 そして、さらなる冷却性能を実現するのが外付けのクーラーユニット『AeroActive Cooler X』だ。スマホ側面のUSB Type-C端子に取り付けることで電源が供給され、内蔵ファンがスマホの背面を強力に冷やしてくれる。物理キーも搭載しており、ゲームパッドのように使うことも。

 前モデルのクーラー『AeroActive Cooler 7』と比較してより軽く、より冷やせるように進化している。スマホと接する部分のペルシェ素子は2.6倍と大幅に増加しており、実際に指で触ってもその冷たさを実感できるほどだ。

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 スマホゲーム『原神』を60fpsの最高画質でプレイしてみたが、快適そのもの。プレイが引っかかることもなく、マップ移動も2秒とかからなかった。

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 また、筆者が特に感動したのが上記のフローティングによるブラウザ表示だ。ゲームプレイをアシストしてくれるアプリ『GAME GENIE』の進化により、ゲームを落とさずオーバーレイさせるかたちでブラウザが表示できるようになった。これで「あのアイテム、だれが落としたっけ?」といった検索したい場面でもゲームを落とすことなく検索ができる。まさに神機能!

 さらに『Video Ginie』なる新機能もあり、こちらは動画や音楽をバックグラウンドで再生してくれるというもの。いわばゲームの裏でYouTubeを再生できる機能であり、なんちゃってPremiumアカウントのような使い方もできてしまう。ありがたすぎる…...。

 個人的に、ゲームの動作性能については前モデルでも頭打ちに近い部分まで来ていたと感じていた。しかし、本機はスペックだけでなくUIの改良によりゲーム体験を向上させている。これは巧みな施策であり、よりディープにゲームと向き合いたいユーザーにとってはかゆいところに手が届いたと言えるだろう。

ゲーミングスマホを見つめ直した、二刀流的フラッグシップ

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 デイリーユースにおいての使い心地も重視しつつ、このスマホを求めるゲーマーにとって必要な進化も盛り込んだ、なんとも贅沢な一台。冒頭でも述べたが、スマホの性能が向上することで「ゲーミング」を冠するスマホのアイデンティティーは揺らぎつつある。スペックだけを求めるなら、ゲーミングでないスマホも候補になるものだ。

 だからこそ「ゲーミングとはなにか」を再定義した本機には独特の魅力と立場が与えられている。背面の『Anime Vision』や外付けクーラーなどはゲーミングらしい遊び要素であり、フラットな外観とトリプルレンズなどはデイリーユーススマホに求められるものだ。高品質なディスプレイや高いスペックは、そのどちらのシチュエーションにおいても快適性を与えてくれる。

 意外とありそうでなかったポジションのスマホであり、ゲームに対する意識が変化した現代だからこそのモデルだろう。「ハイエンドというだけではちょっと物足りない」といった、遊び心を忘れないユーザーには特に受け入れられるはずだ。

●参考情報

https://rog.asus.com/jp/

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