ぶいすぽっ!のクラッチクイーン・胡桃のあ&猫汰つな 『RAGE VALORANT』に挑むメンバーたちを掘り下げる
理知的ながら“ぶいすぽっ!の狂犬”としての側面も併せ持つ胡桃のあ
胡桃のあの人となりに触れる関係で、過去に起こした失態を先に書いてしまったが、もちろんそれだけを紹介したいわけではない。胡桃のあが4年間の活動のなかで見せ続けてきたのは、アグレッシブなプレイングで勝利をもぎ取っていく生粋のFPSプレイヤーとしての姿であり、ぶいすぽっ!のメンバーやシーンの同業者、そしてファンにも広く知られている。
タイトル別のランクを例に見ていくと、『Apex Legends』ではマスター~プレデターランクを数年にわたって継続して維持しており、『VALORANT』ではイモータルランクまであと少しのアセンダント3まで実力を伸ばしてきた。
多くのVTuber/ストリーマーらが参加する大型コミュニティ大会『Crazy Racoon Cup(CRカップ)』『VTuber最協決定戦』のどちらにも出場しており、両大会とも『Apex Legends』での優勝を果たしている。くわえて『CRカップ VALORANT』でも優勝しており、今後『VTuber最協決定戦 Ver.VALORANT』において彼女が優勝した場合、『CRカップ』『VTuber最協決定戦』両大会の『Apex Legends』『VALORANT』両部門を優勝した唯一のタレントになる。
この他にもざまざまな大会企画に参加・好成績を収め続けた結果、ぶいすぽっ!内外にも彼女の高い実力が知れ渡っている。経験・実力を買われて多くのゲームでIGL(イン・ゲーム・リーダー)を担うことが多く、ゲーム中の作戦立てや指示出しといった勝利へのプランニングをひねり出す。それでいて、持ち前のエイムの良さで敵をバッタバッタと撃ち倒していくことも多い。
時として攻めっ気に満ちたプレイングで我を忘れることがあり、チームを組んだメンバーに声をかけられなければずっと敵陣に突撃してしまうこともあるほど。そんなプレイングからついたあだ名が、「ぶいすぽっ!の狂犬」だ。
それでいて、自身よりも上手なプレイヤーと相対する際には、サポート役や求められたロールをしっかりとこなせる高い理解力・実行力をも持ち合わせており、前線役・サポート役どちらもこなせるセンスの良さが多くの勝利を勝ち取ってきた要因ともいえるだろう。
FPSプレイヤーとしての成長も強く意識しており、カジュアル大会中にも個人コーチを招くなど自己研鑽に余念がない彼女は、ぶいすぽっ!のなかでも指折りの負けず嫌いだ。
『Apex Legends』においては2021年12月から同僚の神成きゅぴ、紫宮るなとともに「ぶいすぽっ!フルパでマスターを目指す!」企画を、『VALORANT』では2024年1月からは猫汰つな、白波らむねとともに「ぶいすぽ芋チャレ」企画を、それぞれ進めたことがある。
また、『VTuber最協決定戦』での優勝をきっかけにしてプレデターランクへ挑戦し、さまざまな友達やプレイヤーとともにプレイをして見事に達成した。そして『VALORANT』でも、始めた当初は下から数えた方が早いシルバーランクにいた彼女は、前述したようにイモータルに手が届きそうなところまで成長している。飽くなき高い向上心が、彼女の強さを生み出したのだ。
「いまぼくの配信をみているリスナーさんの中に、VTuberに偏見を持っていましたってひともいるし、のあちゃんのおかげでVTuberに興味を持ったり、好きになったっていう人もいる。今している活動は、きっと価値のあるものだって思う」
「ぼくは『女がゲームをするな!』と直接言われる時代にゲームを始めて、そういう環境がすっごく嫌だった。VTuberとして活動していないときに、ただゲームを楽しんでいると性別が女というだけで叩かれることがあった」
「ぶいすぽっ!に入って、僕はそういうイメージを変えたいと思っていた。そうやって言われることが減っただけで、ぶいすぽっ!に入ってよかったと思うし、これからもぶいすぽっ!で頑張りたいと思っている。これからもそういうマイナスイメージを僕らが変えていけるように、活動を頑張っていきたい」
全ての人がそうではないが、オンラインゲームでは悪意をもって他人を罵倒したり、卑屈ないじわるを繰り返すプレイヤーが後を絶たない。胡桃が語るように「女性というだけで罵声を浴びせられる」という悲しい状況はたしかに存在する。
そんななか、彼女は自身の活動・振る舞いを通して、女性ゲームプレイヤーへの偏見・差別に対するアクションをかけ続けているといってもいいだろう。
彼女の高い熱量・想いは、さまざまなゲーム系大会でのアンバサダーやeスポーツをテーマにした映画への出演などを通して少しづつ世の中に反映されているととらえることができるだろう。強い意志・高い志を心にして自身の道を選んだ胡桃のあ、その足跡は固く残っていくだろう。