『Slay the Spire 2』に求められる要素を考察 “完成されたゲームデザイン”からの進化とは?

『Slay the Spire 2』に求められる要素を考察

 米・シアトルに拠点を構えるインディディベロッパーのMega Crit Gamesは4月11日、『Slay the Spire 2』の開発が進行していることを発表した。

 2017年にアーリーアクセスがスタートするやいなや、たちまち高評価を獲得し、人気作の仲間入りを果たした『Slay the Spire』。満を持して登場する続編に期待される進化点を考える。

多くのフォロワーを生んだローグライク・カードゲームの金字塔『Slay the Spire』

Slay the Spire 2 - Official Animated Reveal Trailer

 『Slay the Spire』は、2019年にMega Crit Gamesが開発・発売したローグライク・カードゲームだ。プレイヤーは特性の異なるクラスのなかからひとつを選択し、すごろく状のマップを進んでいくことで、カードやアイテムなどを収集。自分好みのデッキを構築し、ボスの打倒、3ステージの踏破を目指す。

 特徴的なのは、「一度やられてしまうと、すべての進行度がリセットとなる点」と、「(そのような仕様にあわせ)1プレイの所要時間が短く設定されている点」。こうしたゲーム性がほかのタイトルにはないインプレッションをもたらし、無名のインディータイトルながら、口コミで支持を拡大した。

 今回発表された『Slay the Spire 2』は、シリーズ待望の続編。完成されたシステムで多くのフォロワーを生んだローグライク・カードゲームの金字塔に、どのような変化が盛り込まれるかに注目が集まっている。

待望の続編に期待される進化点は?

 完成されたゲームデザインによって多くのプレイヤーから高評価を獲得した『Slay the Spire』。ファンは、満を持して登場するシリーズ新作にどのような進化を期待しているだろうか。

 ひとつは、デッキパターンの多様化だろう。『Slay the Spire』には、アイアンクラッド、サイレント、ディフェクト、ウォッチャーという4種のクラスが登場し、それぞれに5つほどのデッキパターンが用意されている。たとえばアイアンクラッドなら、筋力増加と多段攻撃によってビートダウンをねらう「筋力デッキ」、ブロックと呼ばれるシールドのようなものを貯め、それをダメージへと変換する「ブロックデッキ」、ストライクと名のつくカードを多く採用し、特定のカードの効果で大ダメージを与える「ストライクデッキ」などだ。ランダムに手に入るカードと相談しながら、どのようなデッキパターンを目指すのか検討することが、『Slay the Spire』の楽しさのひとつでもある。デッキパターンが多様化するとなれば、その魅力は何倍にも増幅するのではないか。

 しかし、この点には、単純にプールの増加させるだけではクリアできない課題もある。カードの数/種類が増えるほど、ランダム性のある『Slay the Spire』のシステムでは、意図したものを手に入れづらくなってしまうためだ。もしデッキパターンの多様化を考えるのであれば、ゲームバランスに対する抜本的なテコ入れも必要となるだろう。大きな伸びしろが眠っている箇所ではあるが、非現実的な進化ポイントと言えるのかもしれない。

 ふたつ目は、クラスの増加だ。先にも述べたとおり、『Slay the Spire』には4種のクラスが登場する。彼らの選択肢を増やすことで、実質的にデッキパターンを多様化することも可能なのではないか。こちらのやり方ならば、ゲームバランスの見直しも必要ない。カードプールの増加にくらべれば、現実的な進化点だと言えるだろう。開発発表にあわせて公開されたSteamストアページでは、新クラスとみられる「The Necrobinder」の姿も確認できた。『Slay the Spire 2』はクラスの増加という形で、新たな楽しみ方をプレイヤーに提供してくれるのかもしれない。

 とはいえ、上述のような進化であれば、アップデートでも十分に対応できる部分ではある。実際に『Slay the Spire』では、そのような形でクラスを増やし、UXの向上を図ってきた。もし『Slay the Spire 2』の内容が、第1作で繰り返されてきたアップデートの延長線上にあるようなものだとしたら、同等、もしくはそれ以上の評価を得ることは難しいのではないか。困難な要求とは自覚しつつも、完璧に近いゲームバランスを維持したうえで、アップデートでは実現できなかったような進化を盛り込んだ第2作となることを期待したい。

 今回の発表を受け、SNS上では好意的に受け止める声が相次いだ。「睡眠不足になってしまうから、いっそ発売されないでほしい」といった称賛の裏返しのような意見も散見された。リリースが近づくにつれ、盛り込まれる変更点も明らかとなってくるのだろう。多くのファンがあっと驚くような進化を期待したいところだ。

 『Slay the Spire 2』は、2025年にアーリーアクセスを開始予定。現時点で価格は未定となっている。

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