『ピザハット』がTikTokで急成長を遂げた要因とは? キーパーソンが語り合う“成功の秘訣”

「無茶振り企画」はTikTokの勝ちパターン

ーー日本ピザハットさんとしては、当時からメニュー開発企画や飲食業界の他社とのコラボは頭にあったのでしょうか。

フィギギ:『パクチーすぎて草』や『【衝撃】多分それ違うwwwウインナーコーヒー』は弊社のTikTokメンバーで開発した商品なんですが、こういった奇抜な商品を誕生させることができたのは、LCさんのおかげなんです。

 我々にはいくつかTikTokの勝ちパターンといえる企画があって、そのひとつに視聴者のリクエストにお答えしてピザを作る「無茶振り企画」があります。寿司やもつ鍋、おでんなどを使ってピザを作る企画をTikTokで始めたことで、こういう自由な発想で商品を作ってもいいんだと、型にはまらない思考で考えられるようになりました。

井上:TikTokはエンタメ寄りなものが好まれることもあって、ユーザーに「あれやってほしい」とリクエストさせるというのも“TikTokっぽい”んです。いろんな企業をみていますけど、ユーザーを巻き込んでコンテンツを作っているのは、たぶんピザハットさんくらいだと思います。

ーーパクチーとウインナーコーヒーピザがヒットした理由は何だと思いますか?

フィギギ:SNSでバズりそうなところを狙いました。『パクチーすぎて草』の「草」は「笑い」という意味なので、「パクチーがモリモリすぎてこんなの売っちゃヤバいだろ」のような話題を生めるような商品にしたんです。『【衝撃】多分それ違うwwwウインナーコーヒー』は、ウインナーソーセージが入ったコーヒーだと勘違いしている人が一定数いたので、みみにウインナーを入れて「勘違い」を、ピザの上にはコーヒーソースとホイップクリームをのせて「正解」を、「ウインナー×コーヒー×ホイップクリーム、なのにピザ。どういうこと⁉」というような疑問を生み出せたことがヒットに繋がったのかなと思っています。

株式会社Leading Communication SNSマーケティング事業部 取締役 事業本部長を務める井上光 氏

井上:ほとんどの企業はこういうぶっ飛び企画はやらせてくれないんですよ。まず、こういうことやろうという話が社内で出ることはあんまりないでしょうし、ピザハットさんはぶっ飛び方のセンスがもともとあった。ここもピザハットさんの魅力なんだと思います。

ーーピザハットさんと天下一品さんのコラボメニュー『こってり風ラーメンピザ』も話題になりましたね。飲食業界の企業とコラボすることにはどういった狙いがあったのでしょうか?

井上:YouTubeではコラボは当たり前でしたが、当時TikTokではまだそんなになかったんです。企業でやっているところはおそらくなく、ピザハットさんに一発目になってもらおうとコラボを提案しました。

 ただ、会社間コラボにすると凝々しくて、決済の話が始まって遅くなると思ったので、商材だけお貸しいただくコンテンツコラボという形にし、スピーディーに動くことを目標にしました。そうしたら意外と乗っかってくださったんですよ。コラボコンテンツは面白いし、伸びるだろうなと思っていたんで、それもあってやらせていただいた企画でした。

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