新東京のワンマンツアー「NEOCRACY」ファイナル公演ライブレポート 『αU』とのコラボで示した“アーティスト×NFTの可能性”

新東京×『αU』が示した“新たな可能性”

KDDIのメタバース・Web3サービス『αU』とはいかなるものか?

 続いて、本公演で新東京とコラボしたKDDIのメタバース・Web3サービス『αU』の運営陣、並びに本取り組みのコーディネイトを行うNexToneに行ったインタビューをお届けする。


 『αU』とはいかなるものか、そしてサービス側から見るWeb3の現在地など、重要なトピックが語られた。もちろん、新東京とコラボレーションするに至った経緯についても聞いている。KDDIの武田裕子氏、丹羽衿華氏、NexToneの鈴木淳也氏の3名である。

「新東京コラボのようにNFTを横に広げてゆきたい」

ーーKDDIのメタバース・Web3コンテンツとして、2020年の『バーチャル渋谷』から追っています。『αU』については『バーチャル渋谷』が前身と考えて良いのでしょうか?

武田裕子(以下、武田):前身と言えば前身ですが、より厳密に言うと『バーチャル渋谷』は『αU』の一部です。このサービスは「αU market」、「αU metaverse」、「αU wallet」、「αU live」、「αU place」の5つで構成されているのですが、「バーチャル渋谷」はαU metaverseに含まれています。バーチャル渋谷のなかだけで完結させようと思うと、どうしてもアプリが重くなってしまうなど、お客さまに最適な体験を提供できなくなります。それでmetaverseはmetaverse、LIVEはLIVEといったように、アプリを分けてお客さまに提供するという判断に至りました。

ーーNFTも含め、サービス側からはWeb3の現状をどう見ていますか? 最近では「キャズムを超えた」と指摘する声もよく聞きます。

左からNexTone・鈴木淳也、KDDI・丹羽衿華、武田裕子

武田:数年前、メディアでも「Web3」という言葉がすごくもてはやされて、そこから少し落ち着いてきた印象があります。ただ、「バズ期」に踊らされず、落ち着いた時期の仕込みが重要だと思っています。ガートナーが提唱する「ハイプ・サイクル」のように、再び波が来ると感じています。NFTはまだ一般化とまでは至っておらず、界隈の人のみ保有しているのが現状だと思います。それをどう広げていくかが課題だと思っています。今回の新東京さんとのコラボのように、すそ野を広げていく努力はしたいです。例えば、チケットをNFT化して、NFTに興味がない人に触れてもらえる機会を作るような取り組みも実施しています。リアルな特典とNFTの組み合わせでマスアダプションを図っている最中です。

ーーNFTのクリエイター・エコノミー的な考え方では、まさにライブハウス規模のアーティストの存在が重要だと感じています。音楽シーンにおけるユースケースはもっと増えそうな気がしています。

武田:私たちがお声がけするアーティストも、すでに100万人のファンベースを抱えるミュージシャンだけではありません。積極的にご一緒したいと考えているのは、それよりもずっと規模の小さい、けれども熱量のあるコミュニティを持つアーティストです。1万人のファンダムに100件アプローチすれば、結果的に100万人かそれ以上の規模のオーディエンスにリーチできるという考え方です。



新東京をコラボ相手に選んだ理由

ーー中~小規模のファンベースを抱えるアーティストはたくさんいます。そのなかからなぜ新東京とコラボしようと考えたんですか?

武田:クリエイター・エコノミーの文脈でアップカミングなアーティストを探していました。そして丹羽がシンプルに新東京ファンだったので、今回お声掛けをしました。以前からNFTを提供していたとも聞いていたので、すごく親和性も高いと感じています。

丹羽衿華(以下、丹羽):どこかに所属して活動するというのがこれまでは一般的だったと思うんですけど、新東京は自分たちで組織を法人化して、自分たちで方針を決めているんですよね。そして私が彼らを知ったのが、我々がNFTのプロジェクトを始めるタイミングと重なってたんです。これはもう、ご縁だ! ということで、ご相談させてもらいました。

鈴木淳也(以下、鈴木):今日のライブもチケット取ってくれてたんですよ。

丹羽:スタッフとして来られることになったので、自分で買ったチケットは両親に譲りました(笑)。

鈴木:やはりアーティストが自力でNFTに手を出そうとすると、なにをやっていいか分からなかったり、投資するだけの効果が得られるのか不透明だったりするんです。いざ始めても途中でプロジェクトが止まってしまうのを、これまで結構見てきました。今回のようにKDDIさんのような企業からお話いただけることは、アーティストだけでなく、ファンの側からもNFTに触れる良いきっかけになると感じます。立場に関わらずユースケースを増やしてゆくことがいまは大事なのかなと考えています。

武田:間口を広げることには今後も注力していきたいです。音楽だけでなくイラストレーターのような方々も巻き込みながら、様々なクリエイターを応援したいです。

【αUについて】
メタバース/ライブ配信/バーチャルショッピングなど、現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービスです。メタバースでエンタメ体験や友人との会話を楽しめる「αU metaverse」、NFTになじみのない方でも簡単に楽しめるNFTマーケットプレイス「αU market」、NFTや暗号資産を管理できる「αU wallet」、クラウドレンダリングで高品質な360度自由視点の音楽ライブを楽しめる「αU live」、実店舗を再現したバーチャル店舗でショッピングができる「αU place」を提供しています。

URL:https://alpha-u.io/

【NexToneが展開するキャスティング事業】
アーティストブッキングやライブ協賛、楽曲タイアップに関わる音楽コンテンツの権利処理等を通じたコンテンツ利用促進をコーディネート。また、家庭向けライブ配信やライブビューイング等のサポートも行うキャスティング事業を展開しています。

URL:https://www.nex-tone.co.jp/business_support/casting.html

■新東京 ZEPP Shinjuku 公演概要
日時:2024年11月22日(金)
会場:Zepp Shinjuku
開場:18:00〜 開演:19:00〜
URL:https://shintokyo.city/show/neoverse/

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