芸人のルームシェア×YouTubeはなぜ相性がいいのか? 板橋ハウスらの背景から探る
近年、ルームシェアをしている芸人のYouTubeチャンネルが人気だ。それぞれコンビで活動しながらシェアハウスで生活する3人組「板橋ハウス」(登録者数64.7万人)、元相方同士とニートの3人でルームシェアをし、書籍も発売した「ニートと居候とタカサキ」(登録者数28.9万人)、『M-1グランプリ2023』優勝コンビ・令和ロマンの松井ケムリがメンバーである「僕らの別荘」(登録者数31.3万人)※1など、メンバーに芸人がいて、尚且つ同じ部屋で生活をするスタイルのYouTubeチャンネルが、軒並み人気を博している(数字は2024年3月11日時点)。
※1:「僕らの別荘」はメンバーのシドニー石井の家に集まって撮影をしている。ルームシェアに近しいトークコンテンツを配信しているチャンネル。
なぜ芸人のルームシェアチャンネルはYouTubeで伸びるのか。今回は、その背景について探っていく。
芸人フィルターがいい意味で“ない”ことが、人気の要因?
芸人が運営しているYouTubeチャンネルは大きく分けて2パターンある。ひとつは構成作家がついて企画を行うもの、もうひとつは撮影・企画などすべて出演者自身で行うものだ。両者が入り混じっている場合もあるが、ルームシェアをしている芸人のチャンネルは、普段の日常生活の流れでカメラを回していることもあり、後者であることが多い。
また、芸人のルームシェアはグループを組んでいない者同士が同居していることが多いため、ルームシェアの空間でしか生まれない掛け合いを見ることができるのだ。表舞台では組んでいるお笑いグループのネタを楽しむことができ、YouTubeではまた違ったコミュニティのお笑いを楽しむことができる。視聴者にとっては、同じ芸人に注目していても、2度楽しむことができる。
芸人のルームシェアチャンネルが人気を伸ばしている要因のひとつに、“お笑い好き以外の層も自然に取り込まれる”という点がある。筆者もそのひとりなのだが、「YouTubeは見るけどお笑いはあまり見たことがない」という層にとって、芸人のルームシェアチャンネルはとてもとっつきやすい。なんなら、途中まで出演者が芸人だということを知らないで見ていた、ということもあるくらいだ。
芸人のYouTubeチャンネルのなかでも、とくにルームシェアのチャンネルは“芸人感”があまりないように感じる。出演者側も日常の延長でカメラを回しているので、限りなく素の状態に近い。その壁のなさから、とっつきやすいと感じる人も多いのではないだろうか。
動画も、日ごろの会話やくだりから生まれたような掛け合いが人気シリーズになることも多い。
たとえば、「板橋ハウス」のメンバー・竹内が健康を意識するあまり、青汁や健康器具などをいくつか所持していることから、健康になろうとしているものを取り締まるという“健康警察シリーズ”。
作り方や調味料などをいっさい調べず、本能だけでつくる「僕らの別荘」の人気料理企画
“本能クッキング”など、日々の生活のなかで生まれた“おもしろ”が、チャンネルで人気シリーズとなっている。
また、出演する芸人側にとってもYouTubeでヒットすることは利点だらけだ。そもそも芸人のルームシェアは収入が少ない若手芸人が生活のためにするイメージがあるが、YouTubeで動画が再生されればそのまま収入に還元できるため、生活も安定する。さらに登録者数が増えれば認知度も上がり、ファンを増やすことができる。
そんなWin-Winの関係である、芸人ルームシェアチャンネルは今後も増えていくのではないだろうか。お笑い初心者の入り口としても最適なこのコンテンツを、これからも楽しみにしたい。
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