話題のSNS『Bluesky』はXの引っ越し先になり得るのか ITジャーナリストに聞いた

『Bluesky』はXの引っ越し先になり得るのか

ThreadsがXの代わりに慣れなかった理由は“ユーザー層の違い”

――他のサービスの例で言うと、Meta社のThreadsは出始めは盛り上がりを見せたものの、徐々に話題にならなくなってしまった印象です。ThreadsはなぜXの代わりになれなかったのですか?

鈴木:Threadsは2023年7月6日に使用開始となったのですが、当初予定していた予告よりも15時間ほど前倒しで開始しました。本来の狙いはわかりませんが、「話題性を作る」という意味では上手い戦略だったと思います。ただ、いざ利用してみるとキーワード検索やハッシュタグ機能が使えないことが発覚。前倒しにより最小限の機能でのスタートになったため、がっかりしたユーザーも多かったように感じました。

――出足に躓いてしまい、いまもなお尾を引いていると。

鈴木:また、Threadsを利用するためにはInstagramのアカウントが必要になります。Xのヘビーユーザーは男性が多く、女性と比較すると、Instagramのアカウントを持っていない人も多い。新たにアカウントを作成することがハードルになり、「Xでいいや」と思った人は少なくありません。さらには、いざThreadsを利用しても、ユーザーはInstagramに慣れ親しんだ女性ユーザーばかり。政治経済やアニメなど、Xで議論されやすいトピックはあまり見られず、結局は居心地の悪さを感じてXに出戻りした人も結構います。

――そもそも、ユーザー層が異なるため、“ThreadsはXの代わり”になることは最初からなかった可能性が高いと。

鈴木:そうかもしれません。ただ、Threadsも着々と地盤を築いています。普段は写真でInstagramを楽しみながらも、テキストでも楽しむために“サブ”としてThreadsを使っているユーザーは多いです。ThreadsはThreadsで独自の路線を順調に歩んでいます。

インプレゾンビとの共存は続く その背景には“有料ユーザー優遇”が

――結局のところ、Xがユーザーの意見と乖離したアップデートをやめれば、良いようにも感じます。そのアップデートにより生まれたインプレゾンビですが、Xはなぜそのインプレゾンビ対策をしないのですか?

鈴木:恐らく今後も行わないと考えます。 クリエイター広告収益分配プログラムを利用するためには、月額980円~の有料プランに登録する必要があります。Xとしてはお金を払ってくれるユーザーを大切にしたい。むしろお金を払っていないユーザーをインプレゾンビから守る理由がありません。

――とはいえ、インプレゾンビに嫌気がさしてXからユーザーが大量流出する事態も想定されますが。

鈴木:その辺も特に気にしていないと考えます。X社のイーロン・マスク氏はXを“スーパーアプリ”にしていこうと考えています。 スーパーアプリは中国のテンセント社が作成したWeChatが有名ですが、特定の人たちとの交流に加え、オンラインショッピングやタクシーの予約など、生活に関わる様々なやり取りに対応できるアプリです。

――現在、Xで主流になっている他者との交流は“あくまでサービスの1つ”と認識している……。

鈴木:はい。数あるサービスの1つとしてしか、ユーザー間のコミュニケーションは考えていないと思います。そのサービスでユーザーが不満を言ったところで、大胆な改善に踏み切るとは考えにくいです。

――しばらくはインプレゾンビと付き合う流れになりそうですね。

鈴木:Blueskyは自由度が高く、可能性を秘めたSNSです。SNSの勢力図は多少変わると思いますが、Xを追い越すことは難しいかもしれません。それでも、Blueskyも存在感を今後発揮すると予想しています。

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