連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」(第14回)

15年分溜まりに溜まったiPhoneの写真を振り返って気づいた「撮りたいもの・見せたいもの」の変化

『iPhone 6 Plus』は“動画で残す”ことが増え、夜の撮影もかなりマシに

 『iPhone 6 Plus』の世代になると「タイムラプス」「スローモーション」といった動画が撮影できるようになったり、夜の撮影もかなりマシな仕上がりになっていたり少しづつカメラ性能が進化しています。

 そのおかげで夜景やイルミネーションなど、暗所で写真を撮ることが増えていました。プロジェクションマッピングもかなりキレイに撮れています。

 『iPhone 5』ではダメダメだった暗所のローストビーフも、『iPhone 6 Plus』ではそれなりに撮れています。なぜかローストビーフが比較用の写真になるというのも変なハナシですが……。

スられた『iPhone 7Plus』の悲劇と『iPhone X』の衝撃

 いまでも悲しいし悔しいんですが、筆者は海外旅行先で買ったばかりの『iPhone 7 Plus』をスられています。そのせいで一切写真が残っておらず、しかも『iPhone 7 Plus』はカメラ性能がかなり向上した機種なのに何も残っていないという……。悲しい事件でした。

 幸いクレジットカードに付帯していた海外旅行保険を利用することで事なきを得たのですが、あまりに悔しすぎて次の機種まで『iPhone 6 Plus』を使い回すことに。ということで一気に『iPhone X』まで飛ばします。

 『iPhone X』くらいになると流石にカメラがかなり進化しています。めちゃくちゃキレイです。このあたりからカメラや写真に詳しくないiPhoneユーザーの間でも被写界深度、ボケ感を意識する人が増えたんじゃないでしょうか。ライブラリを見ていて食べ物の写真ばっかり増えてるのがウケました。

そして「広角」が増える『iPhone 11 Pro』、『iPhone 14 Pro』へ

 そんなこんなで振り返ってきましたが、ここで冒頭で述べた「広角」が登場します。明らかに画角が広く、たとえば自分の腰から下を歩きながら写す……なんてのは広角ならでは。スクランブル交差点の信号待ちをしながら「QFRONT」(TSUTAYAなどが入っていたビル)をまるっと収められます。

 それから、景色やその場の雰囲気を撮りたいときは広角レンズを多用するようになった気がします。後から切り取れるから、なるべく多くの要素を写しておきたいから……そんな欲求に従って。

 「その場の雰囲気も含めて、より多くの情報量を写真に残したい」というのは、今の世代(のiPhoneユーザー)にもきっと広がっているのでしょう。そして、その意味では空間の情報すらも残しておける「空間ビデオ」の登場は必然だったのかもしれません。これからの「世代の表現」がどのようなものになるのか、今から楽しみです。

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