おおしましゅんが描く“理想の自分像” HoneyWorksとの共同制作で活きたボカロ愛

 「おおしま兄妹」として妹のさくらと活動している、TikTokerのおおしましゅん。まるで双子のように動きを合わせて踊る‟双子ダンス”や、変顔からイケメンへチェンジする変身動画で注目を集め、いまではTikTokで1100万人を超えるフォロワーを誇る。

 また、彼はボーカロイド楽曲の歌ってみた動画も投稿しており、ジャンルへの造詣も深い。1月12日に配信リリースされたのは、憧れのHoneyWorksが作曲・編曲を担当し、しゅん名義では初の作詞・歌唱を手掛けた楽曲「絶対プリンセス」。HoneyWorksらしいキュンキュンメロディと、〈現実も加工も愛して!〉と可愛いを全力で推す自己肯定感の高いポジティブな歌詞が特徴の楽曲になっている。

 好きなものを熱心に推す、その飾らない人柄が魅力だと感じた。そんなしゅんが、インタビュー中にした意外な発言は、彼の情熱と愛が伝わるものだった。

一夜のバズによって近づいた“諦めかけた夢”

ーーしゅんさんは、双子ダンスや変身動画で注目を集めています。始めたきっかけを教えていただけないでしょうか?

おおしましゅん

おおしましゅん(以下、しゅん):実は中学生のころからアイドルになることをすごく夢見ていたんです。人前で歌うのが憧れだったんですけど、当時、重度の円形脱毛症になってしまって。それで「人前に出る仕事は無理かも」と挫折した経験がありました。

 髪もちゃんと伸びてきた高校を卒業した頃、ちょうどMIXCHANNEL (現:ミクチャ)というSNSで‟双子ダンス”というコンテンツが流行っていて。妹と双子ダンスを投稿してみたら一夜にして大バズりしたんです。これは、心のどこかにずっとあったアイドルになりたかった夢、人前に出る夢が、叶うチャンスかもしれないと思って、本格的に活動し始めました。

ーー音楽活動では、主にボカロ曲をカバーされています。ボカロはずっと好きだったそうですね。

しゅん:ボーカロイドは円形脱毛症になって心が沈んでいたときからもう10年以上聴いてきたジャンルで、自分の音楽のルーツって言えば、ボーカロイドなんですよね。双子ダンス、変身動画でも、時々ボーカロイドの曲を使いますし。そこからボーカロイド曲をカバーする歌い手さんの存在も知って、「自分も歌い手になりたい」と思ったんですけど、当時は音楽に関する知識がなくて、録音の仕方とかも全く分からなくて。最初は大金を払うのが怖かったので、安いマイクを買うところから始めました。でも、思うように録音できなくて、中学、高校生のころは、自分で録音はしてみたけど、なかなかアップロードには至らなかったです。

ーーつまり、アイドルにも、歌い手にもなれないと思っていた時期に、ほんの遊び心から始めたMIXCHANNELで、人前に出るという最初の夢に近づき始めた、と。

しゅん:そうですね。なにかの活動はしたいと思っていた矢先に、『ミクチャ(Mixchannel)』でバズりました。2018年頃には、いろんな方から知識をもらって録音した自分の歌を初めてYouTubeとニコニコ動画にアップロードして、歌い手にも挑戦してみたんです。僕は自分の人生で、なりたいものが多いほうでして。

ーー好きになった歌い手さんについても教えていただけますか。

しゅん:最初に好きになった歌い手さんはChouCho(当時はちょうちょ名義)さんです。ChouChoさんの「メルト」とか「初めての恋が終わる時」の歌ってみたがすごく好きで…。その後、ヲタみんさんとかvip店長さん、ぐるたみんさんといった歌い手さんたちの歌ってみた動画を聴くようになりました。特に歌い手になりたいって思わせてくれた人は、まふまふさんでした。まふまふさんについては彼の初めてのCDも持っているくらい好きで今も好きなんです。歌も歌えて曲も作れて、ルックスも良くて声も可愛くてカッコいい。彼のようになりたいと思って、歌い手への憧れが加速しましたね。

ーーそういえば、アコースティックギターが弾けるそうですね。

しゅん:大学のサークルでアコースティックギターに挑戦したのがきっかけです。趣味で曲作りもしていて、最初に弾けるようになったのがDECO*27さんの「弱虫モンブラン」でした。DECO*27さんは、中学生の頃からハマって、ファンレターを送るくらい好きだったんですよ。

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