「別人になってゲームを楽しめるように」 Rina Sawayamaが“スパイダーマンスーツ”に込めたこだわり
世界を代表するポップ・アイコンとして知られるRina Sawayamaが、PlayStation 5『Marvel’s Spider-Man 2』とコラボし、長年に渡ってポップカルチャーを象徴し続けているスパイダーマンのスーツをデザインする――。両方のファンとして、あるいは音楽とビデオゲームを愛する身として、これほどワクワクさせられることもない。
今回のコラボは、正直言って、マルチプレイタイトルのコラボスキンがリリースされるようなよくある出来事とはレベルが違う。なんと言ってもこれは、あの「スパイダーマンのスーツ」であり、ゲームを通して、誰もがRina Sawayamaのデザインしたスーツを身にまとって広大なニューヨークの街を縦横無尽に飛び回り、悪い連中に制裁を加えたり、親愛なる隣人として人助けに勤しんだりすることができるのである。これがクールでないわけがない。
本稿では、そんな今回のコラボレーションについて、Rina Sawayamaにメールインタビューを実施した内容をお届けする。ゲーム好きはもちろん、これまでゲームにあまり興味がなかったという方も、ぜひ『Marvel’s Spider-Man 2』を通してふたつのポップ・アイコンのクロスオーバーを楽しんでみてほしい。(ノイ村)
スーツ制作の手法は、ツアー用の衣装と同じアプローチ
――まずは、今回のオファーを聞いたときの感想について教えてください。
Rina Sawayama:このシリーズのファンだったので、とってもうれしかったです! まさか声がかかるとは思ってもいませんでした。
――デザインを拝見しましたが、バイカージャケットを着用したスパイダーマンの最高にクールな姿に魅了されました。今回のデザインに辿り着くまでのプロセスや、インスピレーションの源はどのようなものだったのでしょうか?
Rina Sawayama:これまでに見たことのないキャラクターの姿を試してみたかったんです。私が大好きなのは、PlayStationやInsomniac(『Marvel’s Spider-Man 2』の開発会社)がさまざまな冒険に対してオープンであるということ。たとえば、実際にゲームをプレイしたのですが、そのなかに(スパイダーマンを)ミュージシャンとしてプレイすることができる、素晴らしいスーツがあるんです。ゲームでは本当に実験的なことをしていて、すべてのキャラクターのデザインにおいて、境界を広げるような興味深い試みが行われています。だから、私のスーツがそうしたクリエイターたちの野心に見合うようにしたかったんです。
――「スパイダーマンのスーツ」といえば、ポップ・カルチャー全体においても極めてアイコニックな存在ですよね。今回のスーツもオリジナルのデザインに対する強いリスペクトを感じられたのですが、制作において、どのように「スパイダーマンらしさ」と「Rina Sawayamaらしさ」を両立したのでしょうか?
Rina Sawayama:オリジナルのスパイダーマンのスーツのシルエットを起点に、自分のツアー用の衣装をデザインするプロセスと同じようにアプローチしました。ステージに立つときは、衣装を変えるごとに異なるキャラクターになりきるので、ゲームにもその感覚を持ち込みたかったんです! まるで、私の手掛けたスーツを着るときは別人になって、また違うやり方でゲームを楽しむことができるように。実際にスーツをデザインしていくのは最高に楽しかったですね。
――今回のスーツはストリートウェアブランド・KidSuperのColm Dillane(コルム・ディレイン)さんとのコラボレーションでもありますよね。実際に共同制作をされてみていかがでしたか?
Rina Sawayama:コルムさんは素晴らしいコラボレーターで、彼のブランドの「KidSuper」も大好きでした。彼がルイ・ヴィトンとコラボレーションしたコレクションを見たときのことはいまでも覚えていますし、以前から彼の作品にインスピレーションを受けていたんです。
今回のInsomniac/PlayStationとのコラボは本当に円滑でしたね。何回も電話で話したり、デザインセッションを重ねたり、とにかく何度もやり取りを繰り返すことで、ベストな結果に持っていくことを目指しました。最終的なデザインには、しっかり私たちふたりの個性が入っていると思います。
――個人的には、オレンジのスーツの縫い目や、足元に描かれたウェブの柄が特にクールだと感じたのですが、今回のデザインにおけるこだわりのポイントについて教えてください。
Rina Sawayama:挙げていただいたところは、間違いなくスーツを目立たせる上でとても大事なポイントでしたね。いろんなアクセサリーも試してみたのですが、最終的にはバイカーというメインのアイデアに絞って、あまり複雑になりすぎないようにしています。色がとてもよく輝いているので、きっと上手くいったのではないでしょうか。まだ実際のゲームではプレイできていないので、早く(ゲーム内の)ニューヨークでスーツを見るのが待ちきれないですね!