連載:エンタメとテクノロジーの隙間から(第四回)

辻ちゃんこそ“主人公”にふさわしい 落ち込みがちな若手社会人が辻希美の動画を観てみた

 リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。ガジェットやテクノロジー、ゲームにYouTubeやTikTokまで、ありとあらゆる「エンタメ×テクノロジー」に囲まれて過ごす編集部のスタッフが、リレー形式で毎週その身に起こったことや最近見て・試してよかったモノ・コトについて気軽に記していく。

 第四回は「いつからYouTubeを観てるの?」という問いに対して、「ヒカキンがセブンイレブンの生姜焼き弁当をレビューしていた頃から」と答えるようにしている動画クリエイター担当・丹治がお送りします。

今年影響を受けた人物:太宰治(大庭葉蔵)、夏油傑、辻希美

 コンテンツから影響を受けやすい人っていますよね? たとえば、ヤンキー漫画を読んだら、自分まで喧嘩が強くなった気がしちゃう人。それ、私です。今年は『呪術廻戦 懐玉・玉折編』(TBS)での夏油傑、帰省した際に読み返した『人間失格』の主人公・大庭葉蔵に強く影響を受け、2度の闇堕ち(気だるげに振る舞うだけ)を経験しました。

 そんな2度の闇堕ちを経験した筆者が、最近潜在的に影響を受けているんじゃないか? と睨んでいるコンテンツ(人)が、辻ちゃんこと辻希美さんです。特に下半期は、弊メディアで辻ちゃんの動画を取り扱わせていただくことが増えました。家族のために疲労困憊な状態で夕食を作る動画や夫・杉浦太陽さんを含む一家団欒の様子を切り取った動画etc.。

 いつだって、私は主人公を含む主要キャラクターのマインドや置かれた特殊な状況に影響されてきました。今回の辻ちゃんも例外ではありません。どんな状況でも前向きに立ち向かう辻ちゃんの姿勢は主人公そのものです。事実、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦氏は取材にて、下記の主人公論を語っています。

「少年漫画の登場人物(主人公、悪役)は常に前向きでなくてはいけないというのがルールです。後ろ向きになる、闘うことを悩み続けるというマイナスな要素を入れ込むと、読者はうんざりしてしまう。『ジョジョ』はこのルールに忠実にのっとっている。だから、王道だと言ってきました。主人公たちを過酷な状況に追い込み、成長しながら道を切り拓かせる。闘うときに、偶然や誰かに頼っているようでは『ジョジョ』は成立しません。1人で立ち向かわなければいけないのです」

(参考:「これ以上、王道の漫画はない」――荒木飛呂彦が「ジョジョ」を描き続ける理由

 モーニング娘。時代から厳しい競争に勝ち、いまはYouTubeを伸ばしながら、一人で家事に奮闘している。辻ちゃんほどの主人公はいないんです。上京する際にいろんなものをかなぐり捨ててきた筆者にとっては、辻ちゃんの成長を映すコンテンツは境遇に共感すると共に、「こんな生活が自分にも待っているかもしれない」という希望になりました(あんな豪邸には住めないとはわかっている)。

 辻ちゃんの動画を観るようになってから、同じ意味が伝わるなら、丁寧な言葉の言い回しを選ぶようになったり、以前より自炊をしたりするようになりました。そして、絶対に明るくなった。これが一番大きいです。いま、私は結構明るい。

 今度、「最近、なにも上手くいかない……。」と落ち込んでいる友人がいたら、ありきたりな選択肢である筋トレやサウナを勧めるのではなく、辻ちゃんの動画をおすすめしてみてください。主人公である辻ちゃんの動画はメンタルに効くので。

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