Meta「VR×ゴーストバスターズ」イベントレポ 往年の名作を介して得た“あの頃の手触り”
思い起こされる「あの頃の手触り」
思えば、「ゴーストバスターズ」は、我々を“外”ーー自宅以外のどこかへ連れ出そうとする作品だった気がする。親戚や友だちの家に泊まりに行ったときにみんなで同シリーズを観たり、メディアミックスとして展開された『Newゴーストバスターズ2』のようなゲームソフトを複数人でコントローラーをシェアしたりしながら楽しんでいた記憶がある。愛知県・ラグーナテンボスの中にあるテーマパーク『ラグナシア』内で期間限定実装されたARアトラクション『ゴーストバスターズ ラビリンス』もまた、ユーザーに「外向的なエネルギー」を求めるコンテンツだったし、ハロウィンの時期になれば、このシリーズにまつわる仮装に身を包む人が散見される。
しかし、バーチャル空間においてはこれらの“内”と“外”の関係にパラダイムシフトが起きている。ホームパーティという、限りなく外向的なコミュニケーションを、そこへ物理的に移動することなくおこなうことができる。もちろん、それを根拠に「積極的に引きこもりましょう」と言いたいのではなく、選択肢や手段が増えたことを歓迎したいのだ。
そしてそれは、このイベントの後半に行われたゲームセクションを通してもあらためて実感した。
我々参加者はこの日、「Meta Quest」のゲーム『ゴーストバスターズ: ゴーストロードの覚醒』をプレイし、ゲーム内のスコアを競い合った。MR空間に現れた巨大なマシュマロマンに向け、小さなマシュマロマンと爆弾を投げつけるのである。MRデバイスを装着しているとはいえ、要領はFPSのそれに近いものだ。『VALORANT』で鍛えたエイムと立ち回りが火を噴く。
……と息巻いていたが、筆者は全くマシュマロマンを倒せず、箸にも棒にも掛からぬスコアで散った。ハイスコアを出した参加者には、このイベントのために作られたTシャツが贈呈された。惜しくも(?)景品は他の方に譲ることとなったが、この日『ゴーストバスターズ: ゴーストロードの覚醒』を通して得た感覚は、子供の頃に「ゴーストバスターズ」によってもたらされている“外”へ連れ出されたときの手触りを思い出させるものだった。それはいとこの家、ファミコンが置かれた友達の部屋かもしれないし、テーマパークで「ゴーストバスターズ」のアトラクションを楽しんだあの瞬間かもしれない。
MR空間では、そういった体験が自身のベッドルームにいながら起きうる。未曽有のロックダウンを経た我々にとって、これがいかに画期的な発明であるか、多くの人は感覚で理解できよう。人はいとも簡単に孤独になれてしまうが、そういう時に他者の存在を身近に感じられる手段はきわめて貴重で、重要だ。
またMRでは、リアルワールドがうまくいかなかったとしても、“異世界の住人”が我々を励ましてくれることもきっとあるだろう。現実世界の物理的な環境とバーチャルな要素とが融合し、その境界線が曖昧になる。今回のイベントでいえば、比喩でなくマシュマロマンがそこに「いた」のだ。
そして今回のイベントでは「ゴーストバスターズ」がフォーカスされたが、原理的にはほかのIPでも実現可能である。「なぜ我々の世界にはあのキャラクターがいないのだろう」「あのキャラクターとふれあいたい、グリーティングをしたい」と誰しもが妄想したSFやファンタジーの物語が、すでに実現しつつある。
この日、筆者や多くの参加者がマシュマロマンに勝てなかった。しかし、それでもその大半がそれ以上の“戦利品”を持ち帰ることができただろう。
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