「審査では嘘じゃない歌を聴きたい」 小西遼×TonyGumboのプロデュース楽曲への想い

ようやくミュージシャンとして生きていける気がする

――制作に当たって音楽以外の話もされたということですが、具体的にはどんな話を?

Tony:パーソナルな話を笑いながらしました。

小西:スタジオに入る前も何度か電話しましたよね。

Tony:最初はコンセプトなどは伝えていませんでした。でも初めて伴奏が付いた最初のアレンジ案を聴いたときに、自分が伝えたかった音色だったことに感動したんですよ。そこからは「小西さーん」と飛び込むような感じで、よく“お便り”をお送りしてます(笑)。

――音楽に“お便り”的な部分はやはり必要……?

Tony:私にとってはそうです。

小西:今回の楽曲にとっては特に大事でしたね。録音物としていまある歌を仕上げていく、という観点では歌詞を書いている人と歌う人の感情は大きい要素です。特に今回の楽曲は人生のターニングポイントのいくつかが題材となっているので、話し合うことが必要でした。逆に、だからこそ音楽にそれを反映させすぎないようにも意識しています。わかりやすく音で表現してしまうと、ただの見せかけになってしまうので。「ふーん」くらいの感度で仕上げていきました(笑)。

Tony:個人的なテーマにすると「わかってほしい」という念が残りがちじゃないですか。でも小西さんは音として曲を活かすことを考えてくださるんですよ。そこに「なんでも言えるな」という安心感があって。あとは最後に「Tonyさんはなにを伝えたい?」という質問に「希望ですかね」と返したことも覚えています。

小西:エンディングをどうするのかもポイント。物語としては絶望でも、観た人のなかに希望が残ったりしますから、僕はバッドエンディングも好きなんです。でも彼女は「光があるもの」と強く話していたので、楽曲の美しさを称えた締め方もいいなと。

――ボーカルのレコーディング時のエピソードなどもあれば教えてください。

Tony:小西さんとの最後の作業で、かなりガチンコでしたね。8時間くらいやりましたっけ?

小西:そんなにやってた?

Tony:録るよりも打ち合わせたり、話している時間の方が長かったですけど……。

小西:歌で手間取った印象が全然ない。

Tony:あと曲をプロデュースしてもらうことだけでなく、歌をディレクションしてもらうのも初めての経験で。「もっと息をこれくらいにして」などの体の使い方についての指示が基本なのですが、それを試してみると普段の自分の声に行きつくんですよ。すごく楽に歌えたし、「この声でいいんだ」ということが嬉しかったですね。

小西:懐かしいね。  

――色々な想いや、やり取りが凝縮された楽曲がいよいよ本日12月4日(月)よりとなります。

Tony:ここまで自分を詰め込んだ楽曲を世に出すのは始めてなので、緊張はあります。でも色々な方々が関わってくれたからこそ、自分を出せたんじゃないかなと。企画チームの皆さんが「TonyGumboさんがやりたいようにやってください」と言ってくれたのは本当に大きかった。

小西:みなさん優しい人ばかり。こういう現場はあまりない。

Tony:最初のデモはグループLINEにアップしたので全員聴けるのですが、ポップな曲じゃないから怒られるかもと思ってましたから。でも「楽しみにしてます!」と言ってくれて。

小西:クリエイティブ最優先ですべてが動いた現場でした。おかげで悔いのないところまでは作りこめているので、リリースできて嬉しいです。

――またコラボレーションの機会があったらやりたいですか?

Tony:私はやりたいです。

小西:僕も全然やりたいですよ。

Tony:いつにしますか?今回は自分のディープなところを探ったものだったので、次は「元気になりました!」みたいな曲ができたら。

小西:90~100BPMくらいで、シンガーとしてのTonyGumboの魅力にフォーカスした曲にしたいですね。

Tony:いままでは解消した自分の傷を曲に落としこんできましたが、本作の制作を終えてようやくミュージシャンとして生きていける気がします。「生きてて楽しい」というエネルギーの曲がいいな。

――こういう話ができたり、新たな気持ちになれるという点で「曲を一緒に作る」という行為は楽曲制作以上の何かをはらんだ行為ですよね。

小西:そうだと思います。それからTonyさんが本作を作ったことと、世界情勢の不穏な感じは僕のなかではリンクしているんですよ。とてつもなくパーソナルだからこそ、大きな視野で語ることができるんじゃないかな。

――Tonyさんは今後の展望などありますか。

Tony:今年からソロになって心細い面もありましたが、今は「売れるために頑張らなくていい」と思わなくなってハッピーです。色々なチャレンジもして、「こんなこともやる人だったんだ」と楽しんでもらえれば。

小西:Tonyさんはめっちゃ真面目なのに、完全にぶっ飛んでる面もあるから面白いよね。

Tony:ありがとうございます。音楽には誠実にやっていこうとは思っています。来年あたりにまた新曲を出せれば嬉しいです。

■楽曲について:
Title:「さよなら、ガリバー」
Written by TonyGumbo
Produced by Ryo Konishi
Drums by Takuto Okayama
Guitar by Hiroshi Takayama
Rec,Mix,Mastering engineer by Nobuhiko Kuroshima
STREAMING&DOWNLOAD: https://linkco.re/u4uTaxSm
配信開始日:2023年12月4日(月)
※配信時間はストアによって多少時間差がございます。

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