NewJeansライブやT1・Faker4度目の優勝に熱狂 LoL世界大会『Worlds2023』韓国決勝レポ

『LoL』世界大会『Worlds2023』レポ

世界で一番有名なeスポーツ選手? 『LoL』のレジェンド・Fakerの軌跡

 Bo5の大会でセットスコア3-0という一方的な試合展開は、往々にして盛り上がりに欠けやすい。そんななかで今回、これだけの白熱ぶりを見せたのは、やはり「T1」不動のキャプテンであり、スーパースター・Faker選手の存在が大きいだろう。「生ける伝説」とも評される彼が母国・韓国で優勝することを待ち望んでいたファンが大勢いるのだ。

 Faker選手は2013年にプロゲーマーとしてデビュー。今年10周年を迎えたベテラン選手であるにもかかわらず、第一線で活躍し続けているレジェンドだ。世界大会の優勝経験は今回を含め4回目、韓国国内リーグ・LCKの優勝経験数は10回にものぼり、最多試合出場や最多勝利など数々の記録を保持している。

 実績だけを見ても韓国eスポーツ史上最高の選手であることはお分かりいただけるかと思うが、この選手がスター選手たる所以はそれだけではない。中国チームからの高額オファーすら断り、キャリアをスタートさせた「T1」を愛し続けるその姿勢に魅了されたファンも多い。2020年からは「T1」の共同オーナー契約を結び、引退後も役員として経営に携わることが発表されており、T1の顔役といっても差し支えないほどに支持を集めている。

 またFaker選手といえば品行方正な言動と、謙虚な姿勢を崩さないことでも有名だ。世界中のファンのみならず、多くのプロゲーマーからも「見習うべき手本」として尊敬されてきた。Faker選手の伝説や功績を挙げはじめれば、それだけで記事1本分になってしまいそうなので割愛するが、試合終了後に行われた優勝インタビューでも、「今後もたくさん学んで成長していきたい」と世界一になった直後にもかかわらず謙虚な姿勢を崩さなかった。このエピソードだけでも、十分に彼の人となりがご理解いただけるのではないだろうか。

韓国eスポーツの「いま」の熱量を感じて

(左から)JapaneseKoreanUG氏と、現地ウォッチパーティを実施したSHAKA氏、Obo氏、k4sen氏 JapaneseKoreanUG氏のほかにも、らいじん氏など複数のインフルエンサーが交代でゲスト参加していた

 今回、試合以外の面でおどろいたのは、日本から3名のストリーマー(SHAKA氏、k4sen氏、Obo氏)が招待され、現地からのウォッチパーティを実施したことだ。韓国と日本が地理的に近いことも関係しているのかもしれないが、とは言え『LoL』の競技シーンにおいて日本のプロリーグ『LJL』はマイナーリージョンという立ち位置である。それにもかかわらず、現地でのウォッチパーティが実現していること。これは日本のストリーマー文化の影響力の大きさを物語っているのではないだろうか。そして、その通りに彼らを通じて、多くの日本人に韓国eスポーツの盛り上がりぶりが伝わったに違いない。

(左から)猫宮さき氏、清川麗奈氏、katsudion氏、らいじん氏、たかやスペシャル氏、しゃるる氏

 また、何人か日本のインフルエンサーの方々も会場を訪れていた。筆者も長年eスポーツシーンに携わっている者として、実況解説やストリーマー、タレントとして活躍する方々の『LoL』への愛情の深さが垣間見えるたびに勝手に親近感を持ってしまう。機会があれば、彼らの感じた韓国eスポーツについても話を聞いてみたいものだ。

 そして筆者もあらためて、今回の「Finals」を通じて韓国におけるeスポーツの「いま」の熱量を感じることができた。それは会場の熱気にとどまらず、国全体にまで影響を及ぼしていた。なんと「Finals」の翌日に、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「T1」に向けた祝福メッセージを発表したのである。コメントには出場した5名の選手の本名とともに、「今回の優勝で韓国の名声を世界に知らしめ、国民や世界の人々へ大きな楽しみと感動を与えた」と記されていた。

 取材を通して長年韓国のeスポーツシーンを見てきたが、時代が移り変わりゲームタイトルや活躍する選手が変わっても、eスポーツファンの熱量や盛り上がりは変わらない。それどころか、世界中を虜にしてさらに大きなセンセーションを巻き起こしてすらいる。この世界最高峰の大会を現地で観戦できたことに感謝しつつ、会場レポートを締めくくりたい。

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