漫画飯と声真似は相性抜群? 『カイジ』声真似クリエイターから紐解く“再現料理の進化”

 YouTubeでいま、声真似クリエイター・かいんじゅの再現料理動画が注目を集めている。得意な声真似を活かし、人気漫画に登場する料理をつくる動画とは、一体どのようなものなのか。今回はかいんじゅの動画から、再現料理の進化をみていきたい。

 今回取りあげる「かいんじゅ」は、人気漫画『賭博黙示録カイジ』の主人公・カイジのモノマネを得意とする声真似クリエイターだ。2023年11月1日にYouTubeチャンネル開設11周年を迎えたばかりのかいんじゅは、声真似をしながら料理する動画が話題を呼び、チャンネル登録者数は55.6万人を突破(2023年11月4日時点)。いま、注目必至の人物である。

 2023年10月21日に投稿した「【ハンチョウ飯】『長ネギと生姜たっぷりつみれ鍋』を完全再現して食らうカイジ」という動画では、週刊ヤングマガジンで連載中の『1日外出録ハンチョウ』に登場する“長ネギと生姜たっぷりつみれ鍋”を調理。慣れた手際で材料を切り進めているのだが、基本的にはカイジの声真似をしながら料理するとあって、なかなか興味深い。今回の動画では「めんどくせぇからな」といいつつ、ニンジンを花形に飾り切りするなど、なんだかんだ漫画に出てくるとおりに完全再現しているのがおもしろい。

 漫画では想像するしかない味については、「どっしりした鶏の旨味のなかに柚子の皮の爽やかな香りがふわっと香る」と表現。あまりの美味しさに、たまにかいんじゅの素が出ている感じもするが、「身体のなかからじわじわと、生姜の効果も相まってすっげぇ温まる」などと感想を述べている。ちなみにこの動画の最後には、撮影時に風邪の前兆がみられたこともあり、つみれ鍋と同じ回に登場した“卵酒”も調理。視聴者のなかでもこのつみれ鍋が人気のエピソードだったこともあり、かいんじゅの動画をお手本として「自分でもつくってみたい」といったコメントが書き込まれるなど、多くの視聴者が動画を楽しんだようだ。

 実はかいんじゅのチャンネルでは、2022年5月に公開された「1週間カイジ飯だけで生活する男【ギャンブル飯】」が再生回数158万回を突破しており、人気動画となっている。1本の動画のなかで「オムレツライス」や「ネギトロ豆板醤丼」「カニチャーハン」「鷲掴みステーキ」など、『1日外出録ハンチョウ』に出てくる複数の料理を再現しているなか、料理中に調味料を滑らせるシーンまでも真似したことでコメント欄は大盛り上がり。なによりもかいんじゅの声真似のクオリティが高く、視聴者から大好評だったようだ。

 YouTubeで再現料理を投稿するチャンネルには、ケンタッキーのフライドチキンを再現し、話題となった「Genの炊事場」や漫画料理を再現する「ズボラの漫画飯再現料理」などのチャンネルが存在する。とくに漫画やアニメに出てくる料理は多くの読者が1度は憧れをもったことがあるようで、動画によっては再生回数が大幅に伸びることもある。かいんじゅのチャンネルをみると、通常の料理動画は10万回から30万回再生のものが多いのだが、「1週間カイジ飯だけで生活する男【ギャンブル飯】」のほかにも、「1週間ハンチョウ飯だけで晩酌するカイジ【ギャンブル晩酌】」が144万回再生を記録するなど、人気漫画に登場する料理を再現するコンテンツに注目が集まっていることがわかる。

 “実際につくったらどうなるか”を視聴者に届けてくれる再現料理動画は、それだけでも原作ファンにとっては興味をそそられるコンテンツだ。そこに、クオリティの高い声真似と動画のところどころに出てくる原作に関する小ネタといった魅力が加わったことで、最近は新たな局面に突入した模様だ。再現料理動画は今後ますます見どころが増え、より魅力的なコンテンツに進化を遂げていくに違いない。

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