『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』でも不変 “史上最強ゴール”だった「ゴールポール」

『マリオワンダー』でも不変だった「ゴールポール」

 2Dマリオシリーズ最新作、『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』が、10月20日に発売された。2012年の『New スーパーマリオブラザーズ U』から数えて、実に11年ぶりの完全新作となった同作は、「ワンダー」と称されたステージ(コース)上の地形に仕掛け、果てはマリオを始めとするプレイヤーキャラクターの外見が大胆に変化するシステムを最大の売りとしている。

スーパーマリオブラザーズ ワンダー 紹介映像

 また、システム面では地味なところにも大きな変化が生じている。それまでの2Dマリオシリーズでおなじみだった制限時間、スコアの2つが廃止されていることである。制限時間に関しては、前述の「ワンダー」が発動した際に生じるパターンこそあるが、基本的には無制限にコース内を行き来でき、過去のシリーズのように時間に追われることがなくなっている。スコアもプレイヤー自身がどれだけゲーム本編をやり込んでいるかという指標以上の意味を持ち合わせていなかったためか、制限時間とは異なり、存在自体が消滅。いずれも1985年発売の初代『スーパーマリオブラザーズ』から定番のシステムだったが、今回の『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』をもって見直しが図られ、片方は立場を変え、もう片方は役割を終えるという転機を迎えたのである。

 逆に変化しなかったシステムもあり、そのひとつが残機制だ。残機制は2017年発売の3Dマリオシリーズの新作『スーパーマリオオデッセイ』にて廃止されたことから、その流れを汲むのかと思われたが(意外にも?)変わらなかった。

 もうひとつが各コースのクリア条件。今回の『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』でも、(一部を除いて)コースをゴール(クリア)する際には「ゴールポール」に飛びつくことが条件となっている。

 正直なところ、筆者は特にこの「ゴールポール」が変わらなかったことに拍子抜けしてしまった。初代『スーパーマリオブラザーズ』からシリーズを追ってきた人間として、派手に変化させてきた本作ではゴールも変わるのだろうかと、ちょっと楽しみにしていたのだ。

 しかし、結果的にはこれまでと変わらず「ゴールポール」が採用された。なぜ「ゴールポール」は変わらなかったのか?

「ゴールポール」だけではなかったかつての2Dマリオシリーズ

 「なにを言っているんだ? 2Dマリオシリーズのゴールはずっとゴールポールだろう!」

 そのように異義を申し立てたくなる人も少なくないかもしれない。しかし、初代『スーパーマリオブラザーズ』から2Dマリオシリーズを追いかけている世代からすれば、「ゴールポールだけじゃないぞ!」と反論したくなるはずである。事実、2006年の『New スーパーマリオブラザーズ』の前に発売された2Dマリオシリーズには「ゴールポール」ではないゴールの例が存在しているのだ。

 以下に挙げるのが「ゴールポール」以外のゴールを採用した2Dマリオ作品である。

◆『スーパーマリオブラザーズ3』

 「スーパーキノコ」「ファイヤーフラワー」「スーパースター」が記されたパネルがシャッフルし続ける「ゴールパネル」が登場。

 ジャンプして触れると、いずれかのパネルが手に入り、画面右下のパネル欄に記録される。絵柄を問わず3枚揃うと残機が1つ増加。絵柄を揃えると残機量が増え、「スーパースター」を3つ揃えた時なら5つまで貰える。

◆『スーパーマリオランド』シリーズ

 『スーパーマリオランド』『スーパーマリオランド2 6つの金貨』のいずれもゴールはドア(扉)となっており、基本的にマリオがそこまで到達すればクリアとなる。ただし、『スーパーマリオランド』の場合、ドアは上下に2つあり、上に入るとパワーアップアイテム、残機を増やす「1UPハート」が獲得できるあみだくじ風のボーナスゲームに挑戦できる。

 『スーパーマリオランド2 6つの金貨』では上の方に「ベル」があり、飛びついて鳴らすことができれば、パワーアップアイテムと「1UPハート」を獲得できるボーナスゲームに挑戦できる。

 なお、以降のワリオに乗っ取られた『ワリオランド』シリーズでもドアのゴールは続投している(※一部のコース、他の続編などではターゲットの仕掛け、宝箱といったドアとは異なるゴールも登場している)。

◆『スーパーマリオワールド』

 ラグビーを思わせる「ゴールバー」が登場。上下するバーにジャンプして飛びつくと「ゴールスター」を獲得でき、バーの位置に応じた数が画面上部にある「ゴールスター」の情報欄に記録される。この「ゴールスター」が100個以上に達すると、残機を増やせるビンゴ風のボーナスゲームがプレイできる。

『スーパーマリオワールド』

 ゴール時に獲得できる「ゴールスター」の最大数は50個で、バーが頂点に達したときにジャンプして触れられたときに限定される。また、頂点に飛びつけたときに限り、残機が3つ増えるボーナスがある。

◆『スーパーマリオUSA』

 鷹の頭を模した「マスクゲート」がゴールとして登場。

 各コースの終盤に戦うボスを倒したときに現れる水晶玉を持ち上げると口が開き、中に入ればゴールとなる。

◆『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』

 『スーパーマリオ』の名を冠しているほか、海外版では『Super Mario World 2』、『スーパーマリオワールド』の続編を指す名称が付けられていることからピックアップする。この作品では「ゴールルーレット」がゴールとして登場。輪っかをくぐるとルーレットが始まり、それが「スペシャルフラワー」の位置に止まるとさまざまなボーナスが得られるミニゲームに挑戦できる。

 なお、「スペシャルフラワー」はコース内で獲得した同アイテムの数に応じて変動。5つ集めればルーレットに5つ登場する反面、1つも集めていないとルーレットには登場せず、強制的に「はずれ」となる。

 これらの作品のうち、『スーパーマリオランド』以外は『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』、『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』、『ゲームボーイ Nintendo Switch Online』にて遊ぶことが可能だ。

 ほかにも「ゴールポール」以外のゴールを採用した2Dマリオ作品では、1994年にゲームボーイで発売された『ドンキーコング』、その流れを汲む新作で、2024年にリメイク版がNintendo Switchで発売予定の『マリオvsドンキーコング』がある。

『マリオvsドンキーコング』(Wii Uバーチャルコンソール版)
『マリオvsドンキーコング』(Wii Uバーチャルコンソール版)

 この2作では、施錠されたドアが多くのコースでゴールとされており(※『マリオvsドンキーコング』はさらにその先のステージで「ミニマリオ」を救出することも必要)、それを開けるためのカギを持ち運ぶことがプレイヤーに要求される形となっている。

 また2Dマリオではなく、3Dマリオシリーズは『スーパーマリオ64』以降、キーアイテムである「パワースター」(※シリーズ作によっては「シャイン」「パワームーン」など)の獲得がゴールに設定されている。

 このように歴史をさかのぼってみると、「ゴールポール」を基本のゴールとして採用しない例は結構ある。特に本流のシリーズ作である『スーパーマリオブラザーズ3』、『スーパーマリオワールド』の2作で「ゴールポール」ではない違うタイプのゴールを採用していたというのは、注目に値する事実と言ってもいいだろう。

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