“廃墟”と化した鬼怒川温泉に女性YouTuberが迫る 恐怖から垣間見える人間性
昨今、YouTubeでは廃墟コンテンツが増加傾向にある。直近では旅系YouTuber「ふじわらのみい」が廃墟動画を投稿、エンタメ動画で人気のYouTuber・水溜りボンドも廃校を舞台にした動画を公開しており、幅広いYouTuberたちが廃墟に注目している様子がうかがえる。そこで今回は、廃墟コンテンツのおもしろさを紐解いてみたい。
国内外の定番スポットからディープなスポットまで、ひとりで旅をするYouTuber「ふじわらのみい」は2023年9月27日、鬼怒川温泉でのひとり旅動画を投稿。
廃墟化したホテルが建ち並ぶ鬼怒川温泉駅周辺を、23歳のふじわらの目線でレポートしている。ふじわらの動画には、駅から徒歩1分ほどの距離にもかかわらず、誰一人として歩いていない道が写っており、動画の前半から廃墟群の現状が伝わってくる。さらに「タイムスリップしそう」と表現するトンネルや、かつて温泉好きの人びとから愛されていた老舗温泉旅館、1999年廃業の『きぬ川館本店』、『鬼怒川観光ホテル東館』などからは、鬼怒川温泉が賑わっていた日々を思い起こさせる。
ふじわらがコンテンツにした鬼怒川温泉は、廃墟となった旅館・ホテルの取り壊しが地域の問題となっており、しばしばニュースでも取り上げられている。しかしながら、ニュースではあまり触れられない地域の歴史や現在の観光客の動向に関する説明は貴重で、とくに若い世代がバブル時代の繁栄を知る機会として、有益なコンテンツではないだろうか。バブル世代を経験した視聴者からすると、懐かしさと寂しさを感じる内容も、若年層にとっては新しい知識である。さまざまな視聴者が、それぞれの想いで見られる動画といえる。
一方の水溜りボンドは2023年10月7日、とある廃校を舞台にした新シリーズをスタート。夜遅い時間から朝方まで、心霊系YouTuberや都市伝説系YouTuebrたちが用意したミッションをクリアしていく様子が写されており、肝試しをしていくといった内容だ。全部で12個あるミッションのなかには、御守りや布団をもらえるなどといった“当たり”があったが、ハズレ枠には「真っ暗な和室で知恵の輪」「屋上に置かれたSDカードの収められている心霊映像を見る」など、ゾクゾクするような怖さがあるミッションが用意されている。
エンタメ系動画で人気を博してきた水溜りボンド。これまで無人島で行っていた企画を、廃墟に応用させたかたちとなっていた。旅動画とはまったく異なるハラハラ、ドキドキ感を味わえる肝試しはやはりおもしろさがある。怖い状況に陥った際に垣間見れる人間の本質は、かなり興味深い。普段の動画ではなかなか見られない、彼らの飾らない姿もまた、廃墟コンテンツの見どころといえそうだ。
これまでにYouTubeで投稿されてきた廃墟をテーマにした動画といえば、旅動画を中心に制作、公開している「ジョーブログ」チャンネルの『バブル遺産』シリーズが代表的だ。このバブル遺産シリーズはしっかりとしたリサーチによる歴史的背景の説明が支持を集め、YouTubeの急上昇にたびたびランクイン。同チャンネルのなかでも人気のコンテンツとなっている。
今回取り上げたふじわらや水溜りボンドの動画をみると、廃墟コンテンツには歴史や現状、人間の本質まで丸裸にするという特徴があることがわかる。とくに水溜りボンドの肝試しシリーズは、これまで旅が中心だった廃墟動画をエンタメに昇華させる新たなコンテンツとしての可能性を見せており、幅広い視聴者から支持される企画になる予感を感じさせる。廃墟をテーマにした動画は今後も、旅やエンタメをはじめとした幅広いジャンルでさらに注目されるコンテンツとなるかもしれない。
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