自粛で“勝ち組”になったガジェットはどこに向かうのか? 『東京ゲームショウ2023』で感じたこと

自粛で“勝ち組”になったガジェットはどこに向かうのか?

 「自粛要請により、ゲーミングデバイスなどのガジェットが“勝ち組”になった」

 それは誰の目にも明らかであるが、この「すそ野が広がった」タイミングだからこそ、企業は次の一手が難しい。

 少しでも誤った打ち手をすると、瞬く間に競合他社に差をつけられてしまうからだ。

 筆者は2023年9月開催の『東京ゲームショウ2023』のゲーミングハードウェアコーナーを取材。本稿では、会場で出会った注目ガジェットを紹介するだけでなく、各社の展示から見えてきた「ガジェットの潮流」について記述する。

『東京ゲームショウ2023』とは

 『東京ゲームショウ2023』とは、9月21日から24日までの4日間(21日~22日はビジネスデイ、23日~24日は一般公開日)の4日間にわたって幕張メッセにて開催された日本最大のゲーム見本市だ。

 コロナによる自粛期間を経て、4年ぶりとなる幕張メッセ全館を利用してのフル開催(昨年は一部の館を利用しての開催)、総来場者数は243,238人となった。

気になったガジェット5選

 まずは会場を回っていて、気になったガジェットをいくつか紹介する。

 下記で紹介するガジェット以外にも、GuliKitのゲーミングコントローラー、ONEXPLAYERのポータブルゲーミングPC、CORSAIRの開放型のゲーミングヘッドセット、VoidGamingのカスタマイズコントローラーなど、個人的に気になったものは多くあったが、キリがないので割愛した。

ポケカの開封動画に便利? 自撮り&物撮り兼用Webカメラ

 そこまでブースが盛況だったわけではないが、個人的に気になったガジェット。

 自撮りと物撮りが同時にできる、2-in-1のWebカメラである。

 2023年の春に発売されて、徐々に認知度が高まっている。

 左のカメラを上に向けて自撮り、右のカメラを下に向けて手元を映すといった使い方ができる。ゲーム配信の際に手元を映したい時や、トレーディングカードの開封動画を撮影したい時に使え、2つのWebカメラを用意する必要がないので便利だろう。

 昨今、ポケモンカードを始めとしたトレーディングカードの開封動画が盛り上がっており、屋外で撮影したい場合にも使えるので、これから注目のガジェットといえるかもしれない。

■企業ブース紹介
企業名:AVerMedia Technologies
アバーメディア・テクノロジーズは、台湾に本社を置く、映像キャプチャーデバイスやマイクといった配信用機器のメーカーです。東京ゲームショウ2023では、最新のゲーミングキャプチャーや、誰でも簡単にVTuberで配信ができるソリューションなど、配信をもっと簡単に楽しめる機器を展示いたします。

フライトシミュレーター「VIRPIL CONTROLS」

 フライトシミュレーター用のコントローラーであり、飛行訓練用のシミュレーターとして、企業向けにも販売されている本格的なガジェットである。

 一式を揃えると60万円程度だという。

 ここでの一式とは、フライトスティック、コレクティブ、コントロールパネル、スロットル、ラダーペダル、アクセサリなどを指す。

 実際にこれらの機器でゲームをプレイしてみたが、(派手に攻撃や回避をするのではなく、計器類を弄りながら飛行をするという)リアル志向なゲーム性も相まって、没入感のある体験となった。

 Microsoft Windowsとの互換性があるので、一般のユーザーも機器を揃えれば同様の体験ができる。これまでは海外からユーザーが直接、取り寄せるしかなかったが、2023年1月に日本法人が立ち上がったので、(多少は)手軽に手に入れられるようになった。

 担当者に聞いてみたところ「輸入を始めてみたら、そこそこ問い合わせがあった」とのことで、本物志向のユーザーにとっては、うれしいガジェットのようだ。

■企業ブース紹介
企業名:VIRPIL CONTROLS JAPAN
フライトシミュレーター用周辺機器の製造販売メーカーです。高品質で精密な製品を提供し、飛行体験をリアルかつ没入型に高めます。東京ゲームショウではRAZBAM社の新商品「F-15Eストライクイーグル(DCS World機体)」や「Star Citizen JP」をVIRPIL製品で体験できます。ハイクオリティな操縦体験ができる機器を多数展示(フライトスティック、スロットル、コントロールパネル、ラダーペダルなど)しています。AR/VRコーナーのRAZBAM JAPAN - VRgineers , DCS World -(09-E03)でも本格シミュレーターを体験できます。

そろそろ実用段階?ARグラスもここまで進化「XREAL」

 最近のテック系の展示会では、常連となっているARグラス。

 (若干、食傷気味ではあるので)ガジェット系の特集記事として、ARグラスを紹介するのは“負け”を意味する気もするが、最新のARグラスの動向をキャッチアップしておくためにも紹介する。

 特筆すべきは、女性と子どもが多かったことだろう。一般公開日にブースを訪れたが、ギャラリーの約半分が女性と子どもだったので驚いた。独特な可愛らしいデザインがウケているのだろう。

 常に指摘されていることではあるが、ARグラスの課題は、重量と視野角である。

 「XREAL」の最新作air2シリーズは、重さと厚さをともに10%低減、重量は72g、厚さは19mmとなり多少の技術進歩が見られた。

 とはいえ、装着した際の体感的な重量感はそこそこあり、女性や子どもが装着するにはさらに改良が必要であると感じた。

 このARグラスはゲームやスマホにつなげることもでき、最近はモニターの代わりとしての需要も出てきているとのこと。部屋の間取りの都合上、大きなデスクとモニター&テレビを買わない世代が増えていることが背景にあるようだ。

■企業ブース紹介
企業名:XREAL
XREAL(旧Nreal)は、世界的に急成長中のAR(拡張現実)企業です。ARグラス製品「XREAL Air」や「XREAL Light」など、自社開発の3Dインタラクティブアプリケーション「Nebula」 とともに拡張現実体験を革新してきました。新商品「XREAL Beam」の販売開始に伴い、より一層ユーザーの皆様にお楽しみいただけるようになりました。展示では日常の生活空間をイメージし、「XREAL Air」と「XREAL Beam」をゲーム機などのデバイスとつなげて体験できるようなブースをご用意いたします。

ただのコラボではないガチなゲーミングイヤホン『CRAZY RACCOON EARPHONE』

 e☆イヤホンは初展示ということもあり、かなり気合の入ったブースだった。

 『CRAZY RACCOON EARPHONE』は、2023年9月21日に発売したゲーミングイヤホンであり、価格は8,580円。

 ただのコラボ商品ではなく、Crazy Raccoonに所属する選手&ストリーマーの意見を取り入れて開発されたイヤホン。

 半年間の開発期間を要しており、イヤホン内のスピーカーには「ゲームに勝つため」「ゲームを楽しむための」チューニングが施されている。

 倍音を強化して、音の解像度を高めたことで、足音や銃声の方向を正確にキャッチできるようになっただけでなく、長時間プレイしても耳が疲れないようになっている。

 イヤホンのフロント筐体部分がステンレスなので、ずっしりと重量感がある。

 会場で実際に体験してみたが、会場内が爆音すぎて良くわからなかったので、機会があれば実店舗で試してみたい。

■企業ブース紹介
企業名:e☆イヤホン
「e☆イヤホン」が、東京ゲームショウに初出展! 「e☆イヤホン」は、世界中の製品を自由に聴き比べて選べるイヤホン・ヘッドホンの専門店です。プロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」に所属する選手&ストリーマーが、FPSに最適なチューニング監修を行ったイヤホン「CRAZY RACCOON EARPHONE」を9月21日に発売。ブースでは、「CRAZY RACCOON EARPHONE」の展示に加え、約150機種のイヤホン・ヘッドホンをオススメのゲームジャンル別に展示します。e☆イヤホンブースで、あなたにピッタリのイヤホン・ヘッドホンを見つけてください!

『VALORANT』の公式大会で使用されたオーディオミキサー『ZG 01』

 YAMAHA(ヤマハ)が有名ストリーマーSPYGEA氏をアンバサダーに迎えて、絶賛売り出し中のミキサーである。

 今回はアニメ『NieR:Automata Ver 1.1a』特別コラボレーションモデルが展示されていた。

 特徴は、接続するケーブルをHDMIケーブルのみに限定して、配線面をシンプルにしたことで、ゲーム配信初心者でも使いやすくなった点だろう。

 ツマミやフェーダーも必要最低限のものに厳選されており、ゲームをプレイしながら直感的に操作ができる。

 FOCUS MODEで音がどこから鳴っているか聞き分けやすくする、EQをいじって足音を設定ができる等、FPSプレイヤーにとってはうれしい機能が備わっている。

 配信用の機能は備わっていないが、友達とボイスチャットをしながらゲームをする場合、これで十分だろう。

■企業ブース紹介
企業名:ヤマハミュージックジャパン
ヤマハは楽器や音響機器製品で培った技術をもとに、ゲーム体験をより豊かにする製品を開発しています。ブースではボイスチャットとゲーム配信のために設計されたまったく新しいオーディオミキサー「ZG01」を体験できるほか、配信者向けに発売された、ヤマハ防音室アビテックス「セフィーネNS カスタムベースモデル」を展示します。「カスタムベースモデル」は多くの配信者に愛用されている「セフィーネNS」をベースに機材配線用の通線穴が追加、音場も使用者の好みにカスタムが可能となっており、期間中はその中で試遊体験ができます。

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