面倒な作業もパズルゲーム感覚で楽しめる クリエイター御用達の左手デバイス『Tourbox Elite』がクセになる
『Adobe Lightroom』の大量のパラメータを"楽しく"変更
写真編集は撮影した写真をMacに取り込み、多数のパラメータを調整しながら最適な明るさや色・角度を選んでいく作業であり、「ステータスバー」で数値を調整する作業がとにかく多い。TourBoxを導入する前はステータスバーをマウスでドラッグするか数値を打ち込んで増減を矢印キーで調整していたのだが、これが煩わしいことこの上なかった。
マウス操作でピタリと数値を決めるのは無理だし、かといってマウスホイールで操作すると数値が行き過ぎてしまう。じゃあホイールの感度を変えてみると、今度はLightroomを使っていないとき、たとえば文章を読むときなどにめちゃくちゃコロコロしなければならなくなり現実的ではなかった。結局キーボードで数値を打ち込んでいくのだが、いちいち手をマウスから離してキーボードに移して……と、とにかく忙しかったのでTourBoxを導入したらまっさきに試してみたかった作業である。TourBoxコンソールにはLightroom用の日本語プロファイルがすでに入っていたので、これを読み込んで使ってみた。
結果としては、予想通りの操作を予想以上のフィーリングで実行できた。というのは、"できること"の予想はついていたものの、いざ"できる"と想像以上に便利で、快適で、楽しいということだ。ホイールをコロコロと回すだけですべての数値をスムースに変更できることが超・快感で、触覚フィードバックのレスポンスも素晴らしい。操作に応じて求めた数値がグリッと変わる、という事自体は変わっていないのだけれど、「ホイールを左右に回すこと」が「ステータスバーが左右に動く」に連動するのは身体の動きに対して自然で、マウスで操作するよりも楽しさが数倍上だ。変なたとえだが、これまで「経理の処理」ぐらい面倒な気持ちでやっていたことが「パズルゲーム」に変質したような驚きがある。
具体的には左の大きなホイールに「ズーム」、真ん中の小さなホイールに「ステータスの数値変更」を割り当て、「前の写真」「次の写真」といった移動をボタンに割り当てた。こうすることで「写真の選択・移動」と「ズーム・色の変更」を左手の操作だけでできるほか、「写真から目を離さずにパラメータを変更できる」という恩恵があった。
「補正前」「補正後」「取り消し(Command+Z)」などもボタンに割り当てておくと便利だ。ワークフローにもよるが、他の写真との比較やレーティングなどにも活用できるだろう。
『Camera Raw』でも使ってみた。「Tab」「Shift+Tab」キーをボタンに割り当て、前後の入力項目を選択できるようにした。画像右部のように細かいステータスをたくさん扱うソフトウェアを日常的に使うなら、それだけで導入の価値があると思う。
Logic Proのカットアップ・サンプリング作業を高速化
つづいて音声編集における用途について考えてみた。ここでは「サンプルをカットアップする用途」での使用を想定し、『Logic Pro』で使ってみる。TourBoxコンソールにもWEBサイトにもLogic Pro用のプリセットが見つからなかったため、自分の使う機能を簡単にアサインするところから作業を始めた。なお、Logicにはキーボードショートカットを管理する環境設定があり、メニューバーの『Logic Pro』から「キーコマンド」→「割り当てを編集…」を押すと、各機能のキーボードショートカットをアサインできる「キーコマンドの割り当て」ウインドウが表示される。これとTourBoxを組み合わせることでアサインの自由度が格段にアップする。
「キーコマンドの割り当て」で「ナッジ単位で戻す」「ナッジ単位で早送り」にそれぞれキーボードショートカットをアサインし、このキーをTourBoxコンソールでダイアルに割り当てた。これにより、再生バーの細かい移動が可能になる。さらに「トラックのズームイン・ズームアウト」「Delete(トラックの削除)」「トラックを分割(Command+T)」を順にアサインし、「トラックを拡大縮小しながら再生バーを所定の位置に置き、トラックを分割し、範囲外のトラックを削除する」という行動を左手だけでできるように設定した。カットアップや一部フレーズのサンプリングが格段に楽になる設定だ。
「曲の頭から再生」や「取り消し(Command+Z)」などもアサインするとさらに便利だろう。個人的にはDAWを触っているときはマウスすら使いたくないので、こちらについては現在も「3つのホイールですべての項目を移動・選択できるようなアサイン」を模索している。
じっくり使いたい圧倒的な汎用性
写真編集と音楽制作、ざっと2つの用途で左手デバイスを試用してみたが、いずれにおいても非常に便利に使えるデバイスであると感じた。普段からマクロやアクションを設定して、自動化に余念がないというユーザには即おすすめできる一方、大した操作でなくともインターフェイスが違うだけで快適度が大きく変わるため、そうした自動化を普段はあまり使っていない、というユーザにもぜひ一度試してほしい製品だ。プロ用ソフトウェアはキーボードショートカットがとにかく多いので割り当てる機能には困らないだろうし、すべてのソフトウェアで使う汎用的なコマンド、たとえば「上下左右の移動」「取り消す・やり直す」や「コピー・アンド・ペースト」を割り当てるだけでも快適性が大きく変わる。
TourBoxはとにかく設定できる項目が多く、現状のキーアサインもまだまだブラッシュアップできそうだ。さらに最後に告白すると筆者は左利きで「左手デバイス」は自分には縁遠いものだと感じていたが今回、非常に楽しく使えた。気になる方はぜひ左利きの方も含めて、キーボードから手を離してボタンやホイールを活用する快適さを味わってみてほしい。
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