ゲーム開発エンジン「Unity」の新利用料金システムに批判殺到 謝罪と条件変更に至るまでの騒動全容
相次ぐ批判により謝罪・条件変更へ
We have heard you. We apologize for the confusion and angst the runtime fee policy we announced on Tuesday caused. We are listening, talking to our team members, community, customers, and partners, and will be making changes to the policy. We will share an update in a couple of…
— Unity (@unity) September 17, 2023
内外から巻き上がった反発の末、9月18日にUnity Technologiesは声明を発表。この件をめぐって正式に謝罪し、「チームメンバー、コミュニティ、顧客、パートナーに耳を傾け、話し合い、ポリシーを変更する予定」とコメントした。
Here is an open letter to our community:
https://t.co/qadAWzdGkb— Unity (@unity) September 22, 2023
そして、9月23日に、Unity CreateのMarc Whitten氏より声明が発表され、以下のような方針が明かされた。
・「Personal」プランには「Unity Runtime Fee」は適用されず、引き続き無料で利用できるように。また、適用条件となる収益・調達資金の上限が10万ドルから20万ドルに引き上げられ、起動時の「Made with Unity」スプラッシュスクリーン表示要件も撤廃。
・「Pro」「Enterprise」の「Unity Runtime Fee」適用条件のうち、収益条件が「100万ドル以上」に変更。
・また、「Unity Runtime Fee」は、2024年リリース予定のLTSバージョンから適用されるように変更。それ以前のバージョンを利用する場合、「Unity Runtime Fee」は適用されず、そのバージョンの利用規約適用を保証すると明言。
・「Unity Runtime Fee」適用条件を満たす場合でも、支払いは「Unity Runtime Fee」によるインストール数に基づく料金か、「収益の2.5%」のどちらかを選択できる。なお、インストール数も収益金額も「開発者の自己申告」で構わないとのこと。
「Unity Runtime Fee」こそ残るものの、条件などは大幅に緩和される形になった。インストール数についても自動追跡から自己申告制に変更され、特に不安視されていた過去のインストール数への遡及についても、「バージョンを上げなければ適用されない」と宣言がされることとなった。
失われた信頼
おおむね穏当になった「Unity Runtime Fee」だが、今回の一件はゲーム開発者たちの間に「使っているゲームエンジンが同意なき改訂をするかもしれない」という疑念を植え付ける事態となった。「Unity」は今回、大きく利用者へ歩み寄ったとはいえ、今回失われた信頼をすべて取り戻すには心もとないだろう。
ゲームを遊ぶ人たちにとっては、「Unity Runtime Fee」の導入はただちになにか影響を及ぼす可能性は低いと思われる。ただし、上記のような理由から、開発中のタイトルのエンジンを変更し、その結果発売が遅れる……ということも十分に考えられる。今回は撤回されたが、『Cult of the Lamb』のように「ストアから削除する」という展開も、可能性としてはゼロではない。
9月23日の発表により、「Unity Runtime Fee」をめぐる騒動にはある程度の収束の見込みが立ちそうである。しかし、「Unity Runtime Fee」発表以後、この話題はあまりにもめまぐるしい速度で事態が進展しており、「もう終わり」と判断するのも難しいところがある。もうしばらくは、「Unity」とその周辺の動向に注視が必要だろう。