「Xbox Game Pass」成功の秘訣は“三方良し”を作り上げたこと? Microsoft Xbox担当の副社長、サラ・ボンドに聞く

マイクロソフト副社長に聞く、Game Pass成功の秘訣

 9月21日〜24日にかけて、千葉・幕張メッセで『東京ゲームショウ2023』が開催された。このなかのイベントとして、Microsoftが「Xbox Digital Broadcast」を配信、Xboxの責任者であるフィル・スペンサーと、Xbox Creator Experienceの責任者であるサラ・ボンドが登壇し、さまざまな発表がおこなわれた。

 最新作『Forza Motorsport』の情報や『The Elder Scrolls Online』日本語版の追加といった最新情報から、「逆転裁判」シリーズや『龍が如く7外伝 名を消した男』『龍が如く 維新!極』といった日本発の人気作品が「Xbox Game Pass」に対応するなど、数多くのアナウンスがなされた。

 今回、リアルサウンド テックではサラ・ボンド氏にグループインタビューを実施する機会を得た。好調が続く「Xbox Game Pass」に関する話題から、eスポーツやアクセシビリティ機能といったゲームの多様な楽しみ方について、そしてサラ氏自身とゲームの関わりまで、さまざまな話を聞いた。(編集部)

アジア圏におけるPC版「Xbox Game Pass」の登録者数は過去3年間で4倍に

ーー今年の発表について、たくさんのアジア発タイトルがXboxプラットフォームに参加していて驚いています。昨年から今年にかけて日本メーカーのタイトルがXboxに展開されることで、日本のユーザー・メーカーからはどのような反応がありましたか?

サラ・ボンド(サラ):まずはじめに、Xboxとしてはユーザーのみなさんが遊びたいゲームを遊べることが重要だと考えています。そのうえで、どこの国のゲームなのか、どういうジャンル・雰囲気なのか、など様々な要素と好みがあるなかで、自分が想像していなかったタイトルと出会えたときに「触ってみようかな」という気持ちになってもらえるのだと思います。

 そしてアジアのゲームクリエイター、とくに日本はゲーム産業においては非常に歴史のある国だと認識していますので、Xboxはこの数十年、日本のクリエイター・プレイヤーの方々との関係構築に努めてきました。

 実際、日本のゲームタイトルがXboxで遊べるようになることで、日本のユーザーはもちろんメーカーからも好意的な反応をいただいています。現在アジア圏からは600以上のクリエイター・スタジオの方々がXboxプラットフォームに参加し、非常に活発にゲームを開発してくださっています。そして、そのうち半分は日本からの方々なんです。

ーーユーザーの獲得も好調であるということでしょうか?

サラ:日本に限定した具体的な数値は集計していないのですが、アジア圏におけるPC版Xbox Game Passの登録者数は過去3年間で4倍に増加しています。過去5年間でXbox・PC向けに日本発のタイトルを500タイトル以上ローンチしてきた甲斐がありました。それ以外のタイトルも含め、幅広いゲームで遊べるという点に価値を見出していただいているようです。

 それから、日本発のタイトルがXboxプラットフォームに参入してくださったことで、アジア以外のユーザーも喜んでくださっています。「ペルソナ」シリーズや「龍が如く」シリーズ、「キングダムハーツ」シリーズなど、海外人気の高い作品も多いですから。

 ユーザー・クリエイターとの関係構築や、アジア発タイトルの増加といった継続的な投資が実を結んだことを非常にうれしく思っていますし、こうした投資は今後も継続していきたいと考えています。

ーービジネスモデルとして、Xbox Game Passが成功しているととらえてよいのでしょうか?

サラ:間違いなく成功といえるでしょう。それは2017年にサービスをローンチして以降、継続的に投資をしてきている理由でもありますから。

 Xbox Game Passに加入したユーザーは、純粋にゲームで遊ぶ時間が増えたり、それまで遊んでこなかったようなジャンルのタイトルに触れたりする機会が増えます。すると、Xbox Game Passに収録されていないタイトルを進んで購入するということも増えたんです。それから、他のプラットフォームと異なる点として、Xbox Game Passに入っているユーザー同士は同じタイトルをプレイできるわけですから、コミュニティ内で広まっていくというのもありますね。

 クリエイターの方にとっても、Xbox Game Passを通じて自分たちのタイトルを見つけてもらいやすくなるという恩恵がありますし、ゲームというコンテンツは映画や音楽などのサブスクリプションサービスと比較して、ダウンロードコンテンツなど追加のマネタイズ手段を用意するという選択肢が取れるのも大きいです。

 実際にクリエイターの方からもよく言われることなのですが、Xbox Game Passが登場する以前は、「プレイヤーに遊んでもらえるのだろうか?」というリスクを気にしている方が多かったようなんです。ですが、Xbox Game Passがあることで手に取ってもらいやすくなった。それならもっと革新的で新しいタイトルの開発に挑戦してみよう、そう思えるようになったと。

 総括すると、Xbox Game Passの現状については非常に満足しています。ユーザーはもちろん、クリエイターにとってもメリットがあり、私たちのビジネスとしてもいい事業に成長しています。先程も少し触れましたが、ゲームパスのタイトルを1年間で倍に増やせたのも、事業が好調である証だと考えていただいてよいかと思います。

ーーコンシューマーについてもお聞かせください。先日、『Xbox Series S』の1TB・ブラックモデルが登場し、ユーザーの選択肢がより広がったと感じています。ユーザーからの反応はいかがでしたか? ちなみに、ちょうど私(インタビュアーの一人)の友人が前からXboxに興味を持っていて、今回の新モデルを機に購入していましたよ。

サラ:そうなんですね、ありがとうございます! 私たちはユーザーのみなさんには幅広い選択肢を用意してあげたいという風に思っていますし、『Xbox Series S』にはポジティブなフィードバックをたくさん頂いています。ご友人の例もまさに素晴らしいフィードバックの一つですね。

 私たちとしては、ユーザーからのフィードバックやコミュニティの声にはなるべく耳をかたむけるようにしておりますし、今後もそうしていきたいと考えています。実際、今回の新モデルの発売はそうしたフィードバックを受けて決定されたものなんですよ。それ以外ですと、もっと簡単にいろんなゲームを試してみたいですとか、カタログにキュレーション機能を追加してほしいといったお声をいただいています。

 やはりXboxでの体験価値というものはユーザーのためにありますから、デバイスや機能をどんどん開発していくことで、ユーザーの方々がいつでもどこでも遊びたいときに遊んでいただけるようにすることが私たちの使命かな、と考えています。またその一方で、クリエイターとユーザーの方々がしっかりと、かつ簡単に接点を持ち続けられる環境づくりも大切だと考えています。

サラ・ボンド氏

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