『Weekly Virtual News』(2023年9月4日号)

注目集まる“VTuberとゲーミングコミュニティ” 公式パートナー続出の『VRChat』には傑作宇宙博物館が登場

一週間で三社登場 加速する『VRChat』公式パートナー契約の流れ

 先週は驚くことに、『VRChat』の公式パートナー契約締結のリリースが3本も舞い込んだ。

 一社目は株式会社V。ファッションやアバターを中心に『VRChat』へ注力している企業である。今年は「ANREALAGE」のバーチャルアパレル展開を手掛けたほか、アバターのカスタム例を画像でシェアできるWebサービス『kaihen』の開発・運営も行っており、とりわけファッション領域での活躍が目立っている。今後は「ブランドとのアバター制作・販売」「アニメIPとのワールド制作」に注力するとのことだ。

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 二社目は株式会社スケブ。クリエイターに対してイラストや音声データなどの有償リクエストができる、コミッションプラットフォーム「Skeb」の運営企業だ。一見すると無関係のようだが、じつは「自分の3Dアバターのイラスト依頼」が全体取引の13%超という一大ジャンルとなっているとのことだ。公式パートナー契約によって、「Skeb」でリクエストしたイラストを展示できるアートフレーム開発などを進めるとのことで、「アバターとイラスト依頼」というカルチャーの推進がさらに進むかもしれない。

 三社目は株式会社ポリゴンテーラーコンサルティング。クリエイター即売会「メタフェス」や、JTの特設ワールド作成など、『VRChat』を中心としたVRメタバースコンテンツの企画立案・制作・運用をワンストップで行う企業である。様々なイベントやコンテンツ制作を手掛ける同社にとって、公式パートナーシップの恩恵は特に大きいだろう。今年の11月には、『メタフェス2023』の開催も予定されており、その恩恵が早速発揮されるかもしれない。

 日本における『VRChat』の(正確には米・VRChat社の)パートナーシップ契約事例は、2023年に入って急速に増加している。華やかな文化が息づくメタバースである『VRChat』に、国内事業体からの熱い視線は着実に重なっている。

圧倒的な展示物と展示体験 『VR宇宙博物館 コスモリア』で宇宙と天文学に触れる

VR宇宙博物館 コスモリア 紹介映像 (30s)

 そんな『VRChat』に、またひとつ白眉なワールドが生まれたので、本稿にて軽くご紹介したい。VR宇宙コミュニティ「天文仮想研究所」が制作した、『VR宇宙博物館 コスモリア』だ。

 『VRChat』を中心に活動する宇宙同好会・社会人サークルによる有志制作ワールドだが、そのクオリティは圧巻だ。全7テーマで構成された常設展では、様々なクリエイターが制作した3Dモデル・コンテンツが豊富に展示されている。スペースシャトル、宇宙ステーション、天体望遠鏡、CERNの「LHC(大型ハドロン衝突型加速器)」に日本の「スーパーカミオカンデ」など、宇宙に関わるものが無数に制作され、眼前で見える場所に展示されている。

 展示体験も非常に良く練られている。「惑星ごとの重力の違い」は「ジャンプ操作時の挙動」で実体験でき、人工衛星が飛行する高度へ飛ぶこともできる。原寸大再現の「ISS(国際宇宙ステーション)」や「LHC」を、その足で歩いて(あるいは、浮いて)見ることができる。果ては「星の一生」を、核となる星の大きさごとに眼前で再生し、見ることもできる。遠目で見る模型や教科書のテキストでは感じられない“実体験を伴う展示”は、深い理解をもたらしてくれるものだ。

 展示導線や、プラネタリウムにも変貌する天文台など、あらゆる面で突き詰められた「VR博物館」の傑作ともいえるワールドである。訪問できる人はぜひ訪れてみてほしい。誇張抜きで、これは学習用の教材にもなり得る逸品だ。

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