Kevin's English Room・かけが語る“伸びる動画の法則” 「サムネイルを変えただけで再生回数が300倍に」
計算して生み出した「ヒーローコンテンツ」
――YouTubeチャンネルを開設してから現在に至るまで、かけさんが考えるターニングポイントは?
かけ:勢いよく伸びるというよりは同じぐらいのスピードでここまで来たので、大きなターニングポイントといえるものはあまりないかもしれません。でも2020年の夏終わりに専業YouTuberになろうと決めたことはひとつのポイントだったと思います。それまではカフェをやりながらYouTubeを続けていましたが、YouTube一本にしたのがそのころでした。
――たくさんのコンテンツを作ってきた中で、かけさんの印象に残っている企画は?
かけ:「1週間の食事生活シリーズ(1週間アメリカの食事だけで生活してみたら日本人の体調がオワったwww)」と「帰国子女の人狼(海外経験が無いのに英語がペラペラな人は誰?帰国子女人狼!)」です。これらはすごく計算して、練って作った企画でした。かなり時間をかけて作った動画だったのでそれが的外れだったらどうしようと不安だった分、思い入れもありますね。
――実際、再生回数もかなり回っていますね。
かけ:この2つのシリーズはほかの動画の起点にもなっていて、チャンネル内の別ジャンルの動画を観るきっかけのような役割をしてくれています。だから、すごく重要な動画になったと思いますね。
――同じロケーションで撮る動画が多いなかで、その2つはロケーションをがらりと変えている印象です。
かけ:実は「1週間の食事生活シリーズ」は、そこを狙って企画を作りました。それぞれの家から撮った動画をくっつけるということをやりたかったんです。僕らのチャンネルに合っていてかつ面白い企画はないかと作ったので、まさにロケーションから着想を得た企画でした。
――「Kevin's English Room」では英語や文化の違いについて配信していますよね。YouTube自体は、大食いや爆買いみたいに過激で突き抜けたネタの方が伸びる傾向にあると思いますが、その中で「英語」という勉強を想起させる題材でここまで伸ばすことができた理由についてはどう分析していますか。
かけ: 実は、YouTubeで本気で勉強したい人がどのくらいいるのかというのを疑問に思っていたんです。本当に勉強になるのは予備校の授業動画のようなものですが、たとえ勉強したい人でも、常にそういった動画をYouTubeで見たいわけではありませんよね。「勉強はしたいけれど、したくない」という本音が僕自身にも実体験としてあったので、あくまで「エンタメ」の動画を作ろうと考えました。勉強に絞ると裾野が狭くなってしまうけれど、勉強じゃなくなった瞬間にマーケットが広くなると思ったんです。
YouTubeは過激な企画が伸びると思われがちですが、僕はそうではないと考えていて。過激であろうとなかろうと、それぞれの動画には“伸びる要素”が含まれているはずなんですよ。その要素を分解して僕たちの動画にも応用しているので、僕らも過激な動画と同じ要素を使っていることになる。全然違う方法で伸びているわけではなく、要素の使い方と見せ方が違うわけです。
――なるほど。マーケットの中でまだ取り込めていない層を意識することはありますか?
かけ:そうですね。Googleは、マーケットに合わせたサイズのコンテンツを「〇〇コンテンツ」という風に呼び分けています。自分たちのフォロワーよりもすごく大きい層を狙った動画は「ヒーローコンテンツ」というのですが、現在の僕は、その「ヒーローコンテンツ」を強く意識して作っています。だから企画を作るときにも、「ヒーローコンテンツ」にきちんと当てはまるのかを何度も考えるようにしています。