『今日好き 夏休み編2023』最終話ーー成立した2組のカップルとは? 現役高校生しかできない“好き”の表現

 もうすぐ、夏が終わるーー。どんなパーティにも終わりがあるように、『夏休み編2023』もいよいよ運命の最終告白を迎えた。だが幸運なことに『今日好き』が育む恋愛成分は、どんなときだって最後の一瞬までぎっしりと詰まっているもの。本稿では、視聴者を漏れなく悶えさせたであろうふたつのシーンをハイライトとして振り返りたい。

みひろ、れいに想いを伝えた無理をしない最後のアピールタイム

 まずは、みひろ(小幡海潤)×れい(向井怜衣)から。ここまで、自身の恥ずかしさから明確に“好き”という一言を絞りだせていないみひろと、その一点のみを不満に感じているれい。“最後のアピールタイム”で、おそらくはサプライズなどが苦手なみひろがどんな行動を取るのか本当に気になっていたのだが......結果としては、まぁ見事だった。

 彼が用意してきたのは、iPhoneとAIrPods。そして、ウソツキ「一生分のラブレター」という楽曲だ。同楽曲の歌詞には、こんなメッセージが込められている。〈何回だって告白をしよう 君が好きだって伝えよう/何回だって恋をしよう うまく言えないけど/これからの毎日も僕と 付き合ってくれませんか?〉。あまりにもみひろすぎて、彼をモデルに綴られた歌詞なのではないかと思うほど、その想いを代弁してくれている。

 このアプローチ自体も、彼の内気な人柄を感じさせつつ、決して無理はしない、まさしく等身大な想いが備わっているものだった。そして最後には「自分はれいが好きだから」という、この4日間を通して待ち続けていた念願の言葉が。

 最後のアピールタイムで、れいが終始ニコニコ顔だったことが、告白の結果を示していたかのよう。もちろん、カップル成立である。名前は“れいみひ”カップル。だが、これだけでは終わらないのがこのふたり。カップル成立後、みひろが「なんで自分なんですか?」と、いつものロートーンながらも、微笑みを交えていつもよりもうれしそうな声色で、れいに素朴な質問を投げかけたり。れいもまた、彼から2ショットの相手に指名される回数が乏しかったことに「誘えよ」とツッコミ。さらには「好きって言われてないよ」とも指摘し、その言葉を引き出すと「知ってます」と一枚上手をいったり。

 極めつけには、みひろが北海道、れいが広島と、お互いに遠距離恋愛になることについて、みひろがれいに会いに行くことを少し渋ると、それを察知して「来い、暇だろ」と切り捨てる。『夏休み編2023』2話のダイジェスト記事でも振り返ったが、スタジオの“恋愛未届け人”である中川大輔、そして我々視聴者を最後の最後まで楽しませてくれる。いまなら確信を持って言える。「たまんねえな! コイツたまんねえぜ!」だし、“やればできるじゃん”とか言われたさしかない。

 余談だが、筆者が時代の流れを感じたのが、ふたりが同じイヤホンを共有していた瞬間。同じ音楽、同じ瞬間がゆっくりと流れ込む愛しさは、どんな時代でも変わらないもの。だが、かつては有線イヤホンを分け合い、お互いに瞳を閉じる光景が世の常だったが、『今日好き』に登場する高校生たちの世代は少し違った。みひろがここで取り出したのは、iPhoneとAirPodsのようなデジタル機器。イヤホンもワイヤレスとなって、有線イヤホンによって顔が近づくことがないあたりを悲しく思ってしまったものの、その代わりにスマホを使って、じっくりと一緒に歌詞を読むことができるようになったのだろう。

 大切な人と素敵な音楽に浸れる時間の尊さは、今後も変わらないもの。ただ、こうした何気ない光景の変化に、自身が大人になったと感じた視聴者が、多からずともいたのではないだろうか(ちなみに正確には、現代のステレオ音源では、L-Rで異なる音が流れるため、同じ音楽を聴いていると思っているカップルが、実際にはまったく別の音を味わっている......なんて指摘が、とある映画ではあったものだが、あまりに無粋すぎるので本人たちには伝えないでおこう)。

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