さらに田中が抱えていた悩みはこれだけではない。個人で活動するYouTuberは、企画から撮影、編集と、すべてひとりでやらなければならない。そうなれば、グループやチームで活動するYouTuberに比べ、自ずと投稿頻度は減ってしまう。この状況に、「なかなか長続きするような方法ではない」と感じていたところ、田中は論破王・ひろゆき氏の著書に記載されていた「テレビのMCの役割」にヒントを得たという。

　テレビ番組のMCは、ゲストの面白いエピソードを引き出すことが主な役割。自身について話すことは質問されたときのみのため、誰かの魅力を引き出すという役回りになれば、ネタに悩むことなく、動画を投稿し続けられると考えたわけだ。

　MC役の話にも触れたうえで、今後は「人と関わる動画っていうものにも挑戦していきたい」という田中だが、今回の動画ではこれまで視聴者の理想とは異なる動画を投稿した際には、心無いことをいわれることが多かったことも告白。このような経験から、田中は「視聴者と適切なバランスを維持することも重要」と、「程よい距離感で人と関わったり、視聴者と接したりしていきたい」とも述べている。

　ちなみに「今後一気に方向性を変えるといったような計画があるわけではない」というが、今回の動画から今後は田中がMC的な立場となった“人と関わる動画”が見られる日が近々やってくることが予想される。この点について、視聴者はどのように思っているのか……。

　これまでの活動でぼっち系YouTuberというイメージがしっかりと定着している田中には、人と関わっていることだけで釈明しなければならない状況に、温かいコメントが多く寄せられている。初期から動画を見続けている視聴者からは、「今でもずっと見続けてる人は恐らく田中自身に興味がある人だと思う」という声も挙がっており、視聴者が求めているのは“ぼっちの田中”だけではないということが読み取れる。

　ぼっち・陰キャ系ジャンルを極めた田中は、実は出来事を俯瞰的に捉える力に長け、理工出身という武器も持ち合わせている人物。頭脳明晰な田中はぼっちや陰キャだけではなく、人と関わり、新たな一面を強く打ち出した動画でも、多くの視聴者から支持されることは間違いないだろう。