ThreadsのリリースによりMetaが違法に問われる? 「独占禁止法の問題を深刻化させる可能性も」

 MetaがThreadsをリリースしてわずか5日でユーザー1億人を獲得した。これは日本の総人口にほぼ匹敵する数だが、Twitterはそれと対照的に大きくユーザー数を減らしている。

 このところTwitterの施策や不具合は物議を醸すことが度々あり、Threadsという代替の選択肢が提供されることは、消費者にとってありがたいことだったのだろう。また、この平手打ちでTwitterの目を覚まし改善が図られれば、既存のTwitterユーザーにとっても有益となる。

 華々しい船出をしたThreadsだが、Metaには手放しで喜んではいられない事情がある。米国連邦取引委員会(FTC)が、反トラスト法(独占禁止法)違反の調査を行っており、訴訟は現在も完全には決着していないからだ。

 ソーシャルメディア黎明期に頭一つ抜けたFacebook(現Meta)は、WhatsAppやInstagramといった新興勢力を札束攻勢で買収し、ライバルとなりうるプラットフォームを傘下に置くことで市場での優位性を維持する戦略をとった。しかし現在はこの手が軽々しく使えなくなったため、Threadsは自社で開発するに至った。これによりMetaが主要なソーシャルメディアのプラットフォームを多く所有するという事実はより明白なものとなる。「Threadsは世界最大のソーシャルメディア帝国に新たな命を吹き込んだ。しかし、Metaの独占禁止法の問題を深刻化させる可能性も」とThe Washington Postは伝えている。

 米司法省で独占禁止法の実務経験があるJeff Blattner氏は「マニアックな億万長者が運営するプラットフォームは1つよりも2つあるほうがよい」と述べる。

 「ThreadsがTwitterにサービスを向上させる圧力をかけて競争になる」とInternational Center for Law and Economicsの創設者Geoffrey Manne氏は述べる。一方で「より広範なソーシャルメディア産業の権力集中につながるとしたら、競争は減少する。それは市場をどのようにとらえるかによる」とも指摘。

 「Metaに対する独占禁止法の監視がさらに行われる可能性がある」とCNNは伝えているなか、「Metaの事業を成長させるように」と株主から突き上げにあうマーク・ザッカーバーグは、成長させたその先にある「独占禁止法」との板挟みになり、悩ましいところだろう。

(source)
https://www.washingtonpost.com/politics/2023/07/10/metas-threads-is-competition-conundrum/
https://edition.cnn.com/2023/07/07/tech/meta-social-media-dominance-threads/index.html

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